ミシュランガイドの調査員ってどんな人?――こっそり教えてもらいました

» 2007年12月28日 10時04分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 11月22日に発売された「ミシュランガイド東京2008」。初版12万部が3日でほぼ完売、150軒のレストランを掲載し、すべてのレストランに星が付いていることなどが大きな話題になった。

 ミシュランガイドの出版にあたっては、相当情報漏れに神経を使っていた。雑誌などでは「早刷り」と称し、発売前に出回ることがある。ミシュランは印刷会社や運搬に至るまで、守秘義務の契約を結んでいたのだ。

 それでは格付けをした調査員とは、どういった人物なのだろうか? 匿名で食事をし、レストランの評価をするミシュランガイドの調査員。飲食代金をきちんと支払うのは「一般の方と同じサービスを受け、クオリティを評価するため」だという。

 しかし、これだけでは物足りない。そこでミシュランの広報に、ベールに包まれた調査員のことを“少しだけ”語ってもらった。

調査員の仕事を家族に話してもいいのか?

 ミシュランガイド東京2008の出版が決定した際、調査員として日本人を採用することが決まった。採用された日本人調査員はフランスで6カ月間の研修を終了した後、晴れて調査員のメンバーに加わった。ミシュランガイド東京2008の調査員は全員で5人、うち3人はフランス人で、残りの2人は日本人。「ただ将来的には、すべて日本人にする予定」と話す。

 仕事は食べることと、評価することだ。ランチとディナーを1週間に計12食を平らげ、年間240件のレストランを評価し、130件のホテルに宿泊。そして、1100以上のレポートを提出しなければならない。

 「調査員は家族にも仕事内容を隠さなければならない」という噂がある。これはきっぱりと否定する。自分が調査員の仕事をしていることを家族に打ち明けてもいいが、どこのレストランを調査するかは守秘義務があるそうだ。

調査員の平均体重は70キロ

 「一見さんお断り」の店に対しては、「良いレストランを探したいという読者や旅行者が対象のため、ミシュランガイドでは掲載していません」。じゃあ、一見さんお断りの店は食べていないんですね? と尋ねると「一見さんお断りの店でも、(調査員は)食べていますよ。どうやって? それは調査員の独自のルートがあるためです」と煙に巻かれてしまった。

 ミシュランガイドで星を取得すると、予約を取るのが難しくなるという。そうなれば調査員は、星が付いているレストランで食べられない、という事態に陥るかもしれない。この質問には「独自のルートがあるため、食べられないということはありません」と否定する。どうやら調査員は、レストラン業界で幅広い人脈を持っているようだ。

 “ベールに包まれた調査員”――この神秘的な響きが、ミシュランガイドの魅力を生んでいるのだろう。ちなみに世界中の調査員の平均体重は70キロ。「カップルを装ってレストランを訪れることがあるため、太った人ばかりだと調査員であることがバレてしまうかもしれない」というのが理由だそうだ。

 1週間に12食を食べなければならないとなれば、かなりハードな運動をしていると思われる。それでは健康状態はどうだろうか? コレステロールなどの数値は正常なのだろうか? 「他の会社と同じと思いますが、調査員も健康診断は年に1回きちんと受けていますよ」

 →なぜミシュランガイドに“粉もん”がないの?

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