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» 2007年12月27日 22時24分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング: 郵便に将来へのエコメッセージをのせて

1人当たり、平均すると3日に1通は封書を受け取る――。資源を考えると無視できない数だ。今回は“2度使う、使わない、手作りする”エコな封筒を紹介する。 

[郷好文,Business Media 誠]

年の瀬も押し詰まってバタバタしているが、年賀状はもう出しただろうか? その昔、年賀状を新聞紙で作った友人がいた。新聞紙を細かく切り水にさらして型に入れて固めて、白く塗って文字を書いていた。それを意中の彼女に送ったところ、彼女のお父さんから「こんな変な奴とは付き合うな!」と言われたそうだ。彼にしてみればオンリーワンを意識したのだが……。

 その年賀状、今年は発売枚数が2年ぶりに増えたが、国内では年間約70億通のハガキ、110億通の封書、20億通の小包が配達された(2006年)。もっとも多い110億通の封書では国民1人当たり年間平均100通、3日に1通受け取る計算だ。資源を考えると無視できない。受領した封筒を捨てずに社内便に使う会社も多いが、増えてゆく一方で使い切れない。そこで“2度使う、使わない、手作りする”エコな封筒を紹介しよう。

封筒を切って2度使う

 まず封筒1枚で2度使えるアイデア。印刷会社の野口製袋所(長野県)が実用新案を取得している封筒で、「エコA4封筒」と名付けた。A4サイズの封筒の下部にあるミシン目に沿って切り取ると、長3の封筒ができあがり。

yd_ECO4-21.jpg エコA4封筒

 のり付けフラップまで計算され、往きの郵送中に切り取り線が切れないように粗めに切れ線を入れる工夫もある。小さな町工場がこんな実案を取ってどうするんだろう? という周囲の心配をよそに、今では全国から注文があるという。

 2度使えるエコ封筒には類似のものがある。セイコーメールシステム(埼玉県)では下半分を切って使うA4サイズの「Rエコ封筒」だけでなく、手の込んだ角形20号サイズの返信封筒も販売している。アウトドアギアはこの封筒を採用しており、パタゴニアの通販カタログを送付している。その封筒には、長3タイプの封筒が切り取り線付きで印刷されている。しかしその封筒エリアには“パタゴニアでは環境保護のために封筒の再利用を……”などといった企業アピールは一切ない。さりげないのだ。

yd_type-s.jpg Rエコ封筒

 エコメリットだけでなくアンケート回収、変更手続きなどの返信、検収書など押印返送にも便利だ。返信封筒コストも削減できるし、企業イメージがぐっと上がると思う。

そもそも封筒を使わない手もある

 トウメイエンジニアリング(岐阜県)が開発し、オン・ザ・ロード(名古屋)などが販売するエコメール便は「ごみになる封筒は、もう送らない」というコンセプトのテープ封筒。はがせる特殊なテープで冊子の見開き部分を留めるだけ。テープを十字に巻けば中にチラシも入れられる。はがせる宛名ラベルでポン! DMの開封率もアップするだろう。

yd_ecomail.gif エコメール便

 

 エコメールを使った“ビジネスコンビニ”を郵便局に提案したい。カウンターでエコメールのテープを切り売りするのだ。書籍小包を送る人は、本屋から郵便局に直行する。例えばお客さまから「カタログ送れ」の連絡を受けた営業マンは、最寄りの郵便局に直行。郵便局でピピッとテープを貼って封筒なしで本やカタログを送ることができる。これならエコで便利だ。テープを切手代わりにできれば、街角のコンビニで“エコテープの切り売り”もできる。

封筒テンプレートで封筒がアートになる

 イノブン(京都市)で販売する封筒テンプレートはオツな一品。半透明の樹脂製の定形封筒サイズのテンプレートで、これを好きな雑誌や包装紙にあててカッターで切り取る。折り目のスリットにカッターの反対側で軽くスジをあてると折りやすい。あとはのり付けしてできあがり。ラベルは自作になるがそれもまたよし。自分表現とエコ封筒を手作りで合体させる。C6定型サイズは926円。ラベル会社とタイアップして、封筒テンプレートを住所ラベルとセットにして販売するのもいい。

yd_733-1.jpg C6定型サイズは926円

 この商品にはグッときたが、ちょっと待てよと思った。このテンプレートでエコ雑誌から封筒を作ると、ちょっと嫌みな感じがしないか? なぜエコが広まりにくいか、なぜ広める気持ちにブレーキがかかるか。気付きがあった。

エコ封筒はエコのメッセージ・メディアになる

 紹介したエコ封筒をどう思うだろうか。「エコ封筒はちょっとね(恥ずかしい)」「“エコわざとらしい”のは嫌」「個人でエコな活動をしても環境改善はタカが知れている」そんな声が聞こえてきそうだ。

 その証拠に2007年はエコバッグやエコグッズが流行ったものの、メッセージは「さりげないエコ」「デザイナーズエコ」「エコリュクス(エコな贅沢)」だった。エコグッズや活動から「ワザワザやる」「かっこ悪い」「面倒くさい」を取っ払いたい。これがエコ・サプライヤーに共通する思いだ。かく言う私はエコバッグやマイ箸を使うが、時にあっという間に包まれていたり、慣れた手つきで割り箸を割っていることもあるので“エコ途上人”である。

 そう、今年はエコ途上人が増えた。酷暑やエコ映画もあり空気が変わった。エコバッグ・コレクターが増えたのはどうかと思うが、メンズノンノでもエコバッグ特集があった。マイボトルも街の風景になじんできた。エコ活動家VS企業、エコ生活派VS消費快楽派、そんな対決構図が今年は少し弱まった。それがエコ封筒ならみんなでできるのではないか。

 エコ封筒のよさは、産業界も消費者も、みんな「同じ気持ちですよ」と表現しあうメッセージ・メディアになる。封筒1枚を2度使うのは“リサイクル+リユース”、封筒を使わないエコテープはリデュース、封筒テンプレートは“エコで自分表現”の楽しさ。個人から個人へ、企業から企業へ、企業から個人へメッセージが100億回も交換される。こんなエコメディアは他にはない。

エコは将来への恩返し

 封筒ではなくハガキで送られるメッセージもある。「森のゆりかご」は2007年のred dot corporate design賞を受賞した、デザイナーの木寅玲子(きとられいこ)さん、木寅篤人(きとらあつひと)さんのコンセプト。授賞式は12月6日、建築と緑とビールとソーセージが調和した美しい町、ドイツのエッセンで開催された。

yd_cradle.jpg 森のゆりかご

 森の落ち葉を微粉にして、養分をしみこませた針葉樹の補強材で圧着して作る。スタンプに種子を埋め込み水をあげればハガキが“葉”書きになる。「お元気ですか」のメッセージが森の将来への恩返しになるのだ。 

go_book.jpg

著者プロフィール:郷 好文

 マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年よりビジネスブレイン太田昭和のマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


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