個人投資家の8割が“塩漬け”、現金化した人は再投資へ

» 2007年12月03日 21時55分 公開
[Business Media 誠]

 米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題を発端に、株式市場は不安定な状態が続いている(別記事参照)。欧米の金融機関が計上した損失は、合計で7兆円を突破、日本の金融機関も6000億円を超えた。株価の下落により、個人投資家の82%が株を“塩漬け”(保有している株価が下がり、売るに売れない状態)していることが、ロイターの調査で分かった。一方で18%が“現金化”し、そのうちの63%は相場動向を見ながら、株への投資を考えているようだ。

 「タイミングを見て日本株に投資する」と答えた回答者からは「外需に頼らない割安銘柄に投資」(30代男性)、「日経平均が1万4500円程度になってから」(60代男性)といった声があった。

 「別の金融商品に投資する」との答えからは、外国証拠金取引(FX)や新興国市場で運用する投信に対し、興味を示す意見が目立った。

 ロイターは「個人投資家調査」を実施、インターネットによる調査で、回答者は722人。回答者の資産残高は500万円未満と1000〜1999万円が22%、500〜999万円が19%、2000〜2999万円が12%、3000〜4999万円が11%、5000〜9999万円が10%、1億円以上が4%。調査期間は11月19日から11月22日まで。

投資ムードは盛り上がりに欠ける

 調査機関の労務行政研究所によると、東証1部上場企業の冬のボーナスは74万8621円(別記事参照)。一方、日本総合研究所の調査では、中小企業を含めた冬のボーナスは33万2000円で、前年比を下回るようだ(別記事参照)

 一部の大企業を除き支給額が減少する中、ボーナスでの株式投資の予定を聞いた。50%の人が「これまでと変わらない」と回答、このほか「今回は見送る」が29%、「これまでよりも減らす」が10%。「これまでよりも増やす」は11%にとどまり、投資ムードの盛り上がりはやや欠けているようだ。

日本株への投資スタンスは「弱気」

 日本株への投資スタンスを示すDI※を調べたところ、2006年1月の調査開始以来、最低の水準を更新した。年齢別でみると、「弱気」の割合は50代が最も多く82%、次いで60代の75%。すべての年齢層で「弱気」が60%を超え、「強気」の割合を大幅に上回った。

※DI……Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略。投資スタンスの判断を指数化したもの。

 「弱気」の回答者からは「サブプライムローン問題での損失が今後も膨らむ懸念がある」(40代男性)、「円高、原油高などで将来の企業業績が不透明」(60代男性)といった声が出ていた。

 一方「強気」の回答者からは「業績に比べて売られ過ぎ」(30代男性)、「日本企業の基礎体力が強く、新興国の経済が好調」(60代男性)などの指摘があった。

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