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» 2007年11月30日 21時43分 UPDATE

ルール変更で“揺れる”信販会社――クレジットカード事業へシフト

信販会社が揺れている。改正貸金業法や割賦販売法改正案などが経営環境を直撃。生き残りを図るため、各社はクレジットカード事業にシフトしているようだ。

[土肥義則,Business Media 誠]

 信販会社の収益構造のもろさが露呈されている。これまで信販事業は、高収益が見込まれる個人ローンに誘導する“入口”という位置付けだった。つまり高コストの信販事業を補う形で、個人ローンに依存してきたのだ。

信販会社とは?

 「信販」は「信用販売」の略で、「信販会社」とは消費者に対して個品割賦(こひんかっぷ、個別の商品ごとの分割払い購入のこと、いわゆる分割クレジット払い)システムを提供する会社を指す。「割賦購入あっせん業者登録簿」(割賦販売法31条)への登録が必要となる。

 主な業務にクレジット契約がある。消費者が商品などを購入する際、信販会社が代金を立て替えて販売店に支払う。そして消費者は、信販会社からの請求に対し、分割で支払わなければならない。

 信販会社の大手には三菱UFJニコス、オリコ、ジャックス、セントラルファイナンスなどがある。


 しかし改正貸金業法の影響により、従来のビジネスモデルに綻びが生じた。その構図は消費者金融と同じだ(別記事参照)。貸出金利の上限が年率29.2%から20%に引き下げられることによって、高収益体質が見込めなくなった。さらに過払い金返還訴訟※によって、その引当金の計上に各社は悩まされることになったのだ。

※本来支払うべき金額以上のお金を返済している場合、信販会社や消費者金融に対し、余分に支払った分を請求すること。

 さらに追い討ちをかけるように、割賦販売法改正案が11月29日にまとまった。改正案の狙いは、高額商品を立て続けに売り付ける悪質商法の業者から消費者を守る。被害に遭った消費者は、信販会社に支払った代金を取り戻すことができる。悪質業者と付き合っていると信販会社は処分を受ける可能性があるため、今後は取引先の絞り込みが予想される。このため、信販取扱高の減少につながっているのだ。

企業名 営業収益 最終損益
三菱UFJニコス 2130(16.9%) −1199(−562)
OMCカード※ 778(0.1%) −272(108)
ジャックス 696(−8.6%) −63(7)
セントラルファイナンス 489(−9.0%) −39(−34)
クレディセゾン 1773(7.1%) 122(−58)
オリコ 1445(−6.1%) 46(91)
イオンクレジットサービス※ 904(8.1%) 98(97)
アプラス 544(−5.1%) 37(5)
クレジットカード・信販大手8社の連結業績(2007年9月中間期)、単位億円、カッコ内は前年同期比増減率、最終損益のカッコ内は前年同期の実額、※は2007年8月中間期

クレジットカード事業へシフト

 信販事業の市場規模が縮小する中、信販各社は成長が見込まれるクレジットカード事業への傾斜を強めている。クレジットカードはこれまで利用ができなかった公共料金や、病院での支払いなど利用範囲が広がっている。今後も市場拡大が予想されるため、各社はクレジットカード事業へシフトし、生き残りを図る構えだ。

 「このような経営環境でも信販会社及びクレジットカード会社の中には、収益源の多角化により成長が見込める会社が存在している」(外資系証券会社)と分析し、イオンクレジットサービスとクレディセゾンの2社を挙げた。イオンクレジットに関して「上限金利の引き下げによる一時的な減収はあるものの、中国や東南アジアでの展開で成長が見込まれる」と指摘している。

 またトレーダーズ・アンド・カンパニーの池田允史アナリストは、クレディセゾンの成長性に注目する。「クレディセゾンはクレジットカード事業が順調なうえ、国内の不動産関連融資や不動産事業が好調」と分析する。

企業名 信販 クレジットカード
オリエントコーポレーション 5211(−3.9%) 9056(12.1%)
ジャックス 4389(−3.1%) 6535(13.8%)
セントラルファイナンス 4096(−7.8%) 4962(14.4%)
三菱UFJニコス 1987(−29.4%) 39067(37.5%)
アプラス 1521(−10.4%) 3769(41.3%)
信販大手5社の取扱高(2007年3月期)。単位:億円、カッコ内は前年同期比増減率

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