レイク買収に意欲を見せるアコム、他の大手3社は静観

» 2007年11月14日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
プロミスの神内博喜社長

 大手消費者金融4社(アイフル、アコム、武富士、プロミス)の2007年9月中間期の決算が出そろった。決算に大きく影響したのは、出資法の上限金利(年29.2%)と利息制限法の上限(年15〜20%)の間の「グレーゾーン金利」だ。この過払い金返還により、2006年9月期は各社とも大幅な赤字に転落。その一方、取り過ぎていた利息に対する引当金が大幅に減少し、2007年9月中間期は黒字に転換した。

 最終利益はアイフルが214億7500万円、アコムが248億4500万円、武富士が297億4500万円、プロミスが118億6700万円だった。

 過払い金返還についてアイフルの福田吉孝社長は「5月をピークに減少を続けているが、しばらく動向を注視する必要がある」と話した。具体的な件数は公表していないが、5月に比べ10月は17%減少したという。プロミスの場合は7月がピークで、8〜9月は減少したものの、10月に再び上昇に転じた。プロミスの神内博喜社長は「過払い金の返還は計画通り推移しており、来年度以降は減少するだろう」との見通しを示した。一方、アコムの木下盛好社長は「この水準が来年度も続く可能性がある」と判断が分かれた。

過払い金返還は、いつ終わるか分からない

 9月中間期の過払い金返還額はアイフルが前期比154.4%増の355億5400万円、アコムが363億9700万円(同167.0%)、武富士が454億9300円(同105.1%)、プロミスが366億100万円(同136.4%)となった。

消費者金融4社の過払い金返還額と最終利益

 対前年同期比で大幅に返還額が増加したが、2007年3月期のような引当金の積み増しは行わない予定だ。このため各社とも2008年3月期の最終利益は黒字を見込んでいる。

 ただ11月13日には、過払い金返還を求める訴えが各地で起こった。23都道府県の債務者1650人ほどが、消費者金融とクレジットカード会社合計127社を相手取り、約24億円の過払い金返還を訴えた。こうした一斉提訴は今年に入って5回目で「過払い返還の訴訟は、いつ終わるか分からないのが本音。2〜3年続くかもしれない」(大手消費者金融)という声も聞かれた。

アコムがレイク買収に意欲

アコムの木下盛好社長

 貸金業法の改正によって、2010年までにグレーゾーン金利が撤廃されるほか、年収の3分の1を超える貸付が禁止される。このため各社は審査基準を厳格化し、貸付金残高が減少した。アイフルの落ち込みが最も大きく対前年同期比−15.6%、次いでアコムとプロミスが−10.3%(同)、武富士が−5.1%(同)となった。

 消費者金融のマーケットが縮小するなかで、武富士の近藤光社長は「(消費者金融の数が)急激に減少するかもしれない。急ピッチで再編が進むだろう」と見ている。業界再編による生き残りを図るため、武富士は手元資金を増やす構えだ。9月末の手元資金997億円から、年度末までに倍増させる方針だ。

 プロミスの神内社長はM&Aについて、コスト削減効果があるとするものの、「買収資金と調達資金の確保が難しい」と述べた。アイフルもM&Aには興味を示さなかったが、アコムの木下社長は「選択肢の1つとして考えている」と積極的な姿勢を示した。

 GEコンシューマー・ファイナンスは「レイク」の売却を進めている。レイク買収に必要な資金は数千億円とみられているが、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下のアコムは「(買収資金は)MUFGと検討していく」(アコム・木下社長)と買収に意欲を見せた。

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