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» 2007年10月17日 12時10分 UPDATE

神尾寿の時事日想:“携帯電話ウィジェット”がもたらす波及効果とは?

auが発表した新機種で将来性を感じたのは「au one ガジェット」。各種情報などが利用できるためユーザー側にとってのメリットはあるが、コンテンツ系のビジネス拡大にも期待がかかる。

[神尾寿,Business Media 誠]

 10月16日、KDDI(au)が2007年冬商戦モデル8機種を発表した(10月16日の記事参照)。今回のauラインアップのコンセプトは、夏商戦に引き続き「ライフスタイル重視」。その上でソニーと協業し、携帯電話の着うたフルと、ソニーのウォークマンやNET JUKEを連携させる「au×Sony MUSIC PROJECT」を立ち上げた。auの優位性のある分野を伸ばし、冒険はせず、堅実に冬商戦に臨む姿勢だ。

 記者発表全体の模様や新端末の評価は別記事に譲り、今回は筆者が特に注目した部分について書きたいと思う。

「au one ガジェット」の将来性に期待

 auが今回発表した新機能・新サービスの中で、筆者が特に注目し、将来性を感じたのは「au one ガジェット」である。これは携帯電話のデスクトップ(待ち受け画面)に常駐する小さなアプリケーション群で、それ自体が個々に小さなウインドウを持ち、情報サービスを提供するというものだ。コンセプトとしては、AppleやMicrosoft、Google、Yahoo!などが最近力を入れている「ウィジェット」と同じであり、日本でもjig.jpなどが携帯電話向けのウィジェット環境提供に取り組んでいる。今回の「au one ガジェット」は、このウィジェット環境をKDDIが公式に提供し、au携帯電話向けに載せようというものだ。

 KDDIではau one ガジェットの開始に合わせて、Google検索やau one メールなど複数のガジェットを用意する。これらは「(au one ガジェット対応の)新機種にプリインストールされた上で、すぐに使えるように初期設定しておく」(KDDI)という。携帯電話を開くと、待ち受け画面上から即座にGoogle検索などが利用できるわけだ。また、利用するガジェットはユーザーが自由に選べるため、携帯電話のデスクトップを自分に使いやすいようにカスタマイズできる。

 au one ガジェットのような携帯電話ウィジェットの仕組みは、Google検索やブログ、Eコマースなど各種情報サービスを利用しやすくする。さらにガジェットは日常的かつ頻繁に利用するものなので、キャリアにとってはパケット料金定額制の利用を促し、ARPU※拡大に貢献。Eコマースやキャラクターコンテンツ系のガジェット利用が活性化すれば、コンテンツ・サービスプロバイダーの収入も増える。ユーザーが便利なだけでなく、キャリアのビジネス拡大にもつながるため、今後、新たな情報プラットフォームとして成長。市場を拡大していくだろう。

※ARPU:電気通信事業収入のことで加入者1人当たりの月間売上高。

ウィジェットが液晶の大画面・高解像度を後押し

 さらに携帯電話ウィジェットの広がりは、携帯電話のハードウェアにも影響を及ぼしていく。特に液晶サイズや性能のニーズを底上げする。

 ウィジェットは個々で見れば小さいものだが、デスクトップ上の一部をを占有するため、複数のウィジェットを同時利用するとより広い表示エリアが必要になる。au one ガジェットでは左右キーで画面切り替えをして、テレビのチャンネルを変えるように複数のガジェットを切り替えることが可能だが、やはり利用頻度の高いものは「1画面の中でまとめて表示しておきたい」となるだろう。となると、必然的に3インチクラスの大画面で、なおかつワイドVGA対応の高解像度液晶が欲しくなる。

 携帯電話向け液晶のニーズについては、ここ最近はワンセグが牽引しており、そこでは解像度よりも明るさや色合いといった「画質」が重要視されていた。しかし、携帯電話ウィジェットで求められるのは画面上の表示面積や文字の視認性だ。画面サイズと解像度の高さが重要になる。

 ちなみに今回auが発表したラインアップを見ると、3インチ/ワイドVGA対応の機種はW54SAの1機種しかない。auの冬商戦モデルでは、ハイエンド機種はガジェットの他にも画面分割による「マルチウインドウ」に対応し、大画面・高解像度を必要とするサービス内容になっている。それにも関わらず、液晶の高解像度化が進んでいないのは残念なところだ。次期ラインアップでは、ガジェットとマルチウインドウが活用できる大画面・高解像度液晶の機種が増えることに期待したい。

 携帯電話ウィジェットは、KDDIが「au one ガジェット」として開始し、今後、同様のコンセプトは他のキャリアにも広がるだろう。ウィジェットとして提供されるサービスやコンテンツ、その波及効果として起こる液晶ニーズや端末形状の変化など、幅広く注目である。

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