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» 2007年09月07日 19時14分 UPDATE

投資特集「銘柄分析」:キヤノンVSニコン、どちらの株が“買い”か?

デジタル一眼レフカメラの市場が騒がしい。世界市場で8割のシェアを占めるキヤノンとニコンが新機種の投入で火花を散らす。キヤノンとニコン、両社の株を買うなら……。

[土肥義則,Business Media 誠]

 年末商戦を控え、デジタル一眼レフカメラの2強――キヤノンとニコンの競争が激化しそうだ(8月24日の記事参照)。世界市場で合わせて約8割のシェアを占める両社だが、2007年上期(1月〜6月)の販売台数はトップが入れ替わった。ニコンは2006年から、小型・軽量タイプのエントリーモデルを投入。若者を中心に初心者の囲い込みに成功したニコンは、販売台数のシェアを42%とし、初めて首位に躍り出たのだ。

デジタル一眼レフカメラの販売シェアトップはキヤノンからニコンへ

 キヤノンはハイアマチュア向けの「EOS 40D」を8月下旬に発売した(8月20日の記事参照)。これまでの「EOS 30D」に比べ、画質や連写機能を向上させたものの、価格は1万円安い15万円ほどに抑えた。さらにプロ向けの「EOS-1Ds MarkIII」を11月に投入する。

 対するニコンもハイアマチュア向けに「D300」を、11月に発売する予定だ。また、プロ向けの「D3」も発売する(8月23日の記事参照)

 キヤノンのEOS-1Ds MarkIIIに対抗して、「ニコンもプロ向けのクラスを新たに投入する可能性は高い。一方のキヤノンは、エントリーモデルのラインアップ充実を図るだろう」(アナリスト)という見方が強い。今回の新機種投入で、キヤノンとニコン――2強の牙城は当面揺るぎそうもない。

yd_canon.jpg キヤノン「EOS-1Ds MarkIII」は1秒で約10コマの連続撮影が可能

2ケタ成長が見込まれるニコンに対し、キヤノンは1ケタ

 CIPA(カメラ映像機器工業会)の調べによると、デジタル一眼レフカメラの販売台数は、2ケタ成長が続いている。2004年度は対前年度比192.9%増の247万6000台、2005年度は同53.0%増の378万8000台、2006年度は同39.0%増の526万6000台だった。

 JPモルガン証券の予想によると、ニコンのデジタル一眼レフカメラの販売台数は2008年3月末に、対前年度比92万台増の300万台、2010年度には400万台に達する見込みだ。一方のキヤノンも2008年3月末に300万台、2010年度には400万台と、両社の販売台数は同じペースで拡大すると予測している。

 デジタル一眼レフカメラの販売台数が増えると、交換レンズも連動して売上増が見込まれる。「特にニコンの業績予想は、今後上方修正する可能性がある」(アナリスト)という。

yd_nikon.jpg ニコンのデジタル一眼レフカメラD3

 レンズ一体型のデジタルカメラ市場を見ると、2007年3月末でキヤノンのシェアは20.1%でトップ、次いでソニー、オリンパスと続き、ニコンのシェアは7.6%で第6位。しかしJPモルガン証券では、ニコンのシェアは2010年に10.2%となり、第4位に上昇すると予想している。レンズ一体型のデジカメ市場で現状維持が予想されているキヤノンに対し、ニコンはシェアを上げそうな気配である。

 JPモルガン証券の予想では、キヤノンはデジタルカメラ市場での急成長は見込めないものの、数年後でもシェアトップを維持しているだろう。デジカメ以外に、カラー複写機やレーザービームプリンタなど多くの主力事業をもつキヤノンの業績予想はどうか。

 キヤノンは2002年〜2006年まで、経常利益と当期利益で2ケタ成長を続けてきた。しかし2007年12月決算は、成長スピードが鈍化しそうだ。四季報の予想では、2007年12月期の経常利益は対前年度比9.57%増の7880億円、当期利益は同9.81%増の5000億円。2008年12月期では、経常利益が同2.79%増の8100億円、当期利益が同3.00%増の5150億円を予想している。

 一方のニコンは、2008年3月期の経常利益は同22.84%増の1100億円、当期利益は同20.39%増の660億円。2009年3月期の経常利益は同18.18%増の1300億円、当期利益は同18.18%増の780億円で、2ケタ成長が見込まれている。

 前述のアナリストによると「ニコンの株価は2ケタ成長を織り込んでいて、割高の状態が続いている。ただ上方修正があれば、株価は上昇する可能性が高い」と指摘する。

米国の個人消費が上向き、円高が進行すれば両社の株価に期待

キヤノンの株価チャートキヤノンの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)ニコンの株価チャートニコンの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

 フィスコの佐藤勝己チーフアナリストは、キヤノンの株価について「主力事業の1つであるデジカメは、伸び悩みが予想される。ただ、キヤノンは複写機やプリンタなどの事務機は好調。業績が安定しているためリスクは少ないものの、急成長は見込めないため、上値(現在の株価より高い値段)を追っていくことは危険」と警告する。さらに「キヤノンは輸出が多いため、為替の影響を受ける“代表的な銘柄”と言える。現在の相場は為替と株価が連動しているため、円高が進行すれば、株価の下落につながりやすい。上値を追う展開と円高の局面では、買いの推奨はできない」という。

 一方のニコンも為替の影響は大きいが、「主力事業がデジカメと半導体・液晶用露光装置しかないことが不安材料だ」。米国の個人消費が低迷すればデジカメの売り上げが減少する可能性が高く、「そうなればキヤノンよりも主力事業が少ないニコンの方が業績に影響が出てくるかもしれない」と話す。

 キヤノンとニコン、どちらの株が“買い”か――。佐藤氏は「デジカメの売り上げがスローダウンしないという前提で、ニコンの株が買い」という。

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