Second Lifeで人は正直になる──ヒューマンスキルの鍛え方“誠”のビジネスパーソンを目指せ!

課長になったのはいいけれど、部下がなかなか言うことを聞かない──。チームリーダーの皆さんも、そんな経験をしたことがあるでしょう。ビジネスパーソンにはマネジメント能力が欠かせません。どうやったらチームをまとめていけるのか、一体何から手を付けたらいいのかが分からず困っていませんか?

» 2007年09月03日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 仕事ができて、能力があって……。しかしマネジメント業務を任されたとたんに、あれ? となるビジネスパーソンは少なくありません。ほかの人が関わった途端、1人のときよりできることも大きくなりますが、同時に難易度も高くなってしまうからです。

 今回は、“誠(まこと)のビジネスパーソン”を目指すために不可欠なマネジメント力について、仮想世界「Second Life」での建築プロジェクト、「Google Earth」を使ったマッピングプロジェクトなどを行っている、フォトン代表取締役の渡邉英徳さんにインタビューしました。

 ある意味、もっともマネジメント能力が必要とされるのが起業するときです。渡邉さんのお話から、ビジネスパーソンが今日から活用できる“マネジメント力”に迫ります。

『戦わない、殺さない』コンセプトを体感

──まずは自己紹介をお願いいたします。

 フォトンという会社を経営しています。『戦わない、殺さないゲーム』というコンセプトを元に設立した会社です。毎日何時間もゲームをプレイする子供たちに、殺人、格闘、争い、不安が渦巻くコンピュータ・ゲームが与える影響は、計り知れないものがありますよね。事実、日本や米国では、子供達が悲劇的な殺傷事件を起こす頻度が高くなっています。だからこそフォトンは、“戦わない、殺さない、愛が動かしていく世界”を伝えるコンピュータ・ゲームを提供したいのです。こんな世界になるといいな、という事をイメージすることのできる想像力こそが、そういう世界を作っていくと思うからです。

──なるほど。「戦わない、殺さない」というテーマはいいですね。

 『戦わない、殺さない』は、ただシュプレヒコールをするのは簡単ですが、それだけではダメだと思うんですよ。触れていくうちに、『戦わない、殺さない』気持ちになれるゲームを作りたいのです。

非同時音楽セッションソフトウェア「リズムエンジン」

 2002年に発表した非同時音楽セッションソフトウェア「リズムエンジン」がフォトンとしてのデビュー作です。これは、どこかの誰かが過去に操作した行動がサーバに記録されていて、ランダムに呼び出されたすべての記録が同時に再生されるというものです。つまり、1年前のニューヨークの誰か、1カ月前の東京の誰か、もしかすると数時間前の自分自身とセッションができるのです。キーボードをたたくと音楽が鳴るんですが、たとえば誰かが「逝ってよし」などと書いても、きれいな旋律になってしまいます。たとえよくない言葉を発したとしても、音楽になると美しい旋律になるのです。そのような、“荒らそうと思えば荒らせるけれど、荒らす気にならないシステム”というスタンスのものを作り続けていきたいと思っています。私たちの作ったものを通じて、社会全体がいい方向に向かっていけば嬉しいですね。

──同時ではないセッションができるというのが面白いですね。

 オンラインはリアルタイムというイメージがありますよね。でも本来は、電子メールを見れば分かるように、Webは同じ時間でも同じ場所でもないコミュニケーションから始まっています。また、インターネットは一度流すと情報は残りますし、アーカイブでつながっていきます。この「リズムエンジン」を体験することで、「自分がやったことは未来永劫続く。争い事を書いても仕方がない」と思ってくれるのではないかと考えて作りました。

 それから単純に、キーボードをたたくと音楽ができるというのは、子供の頃楽しかった記憶に共通していますよね。それが、『戦わない、殺さない』未来につながるだろうと思うのです。

撮影した「桜の写真」と「居場所」をメールで投稿し、衛星画像の上にマッピングして、みんなで「桜前線」を創ってゆく「さくらマッピング」

──ほかにはどんなものを作っているのですか?

 コンセプトはすべてに共通しています。たとえば、ゲーム利用料金がNGOを通じて植林事業へ寄付され、誰でも簡単に環境保護に参加できる「シーフォレスト」や、個人が撮影した桜の写真を投稿してもらい、Google Earth上にマッピングしてみんなで桜前線を作っていく「さくらマッピング」などがあります。世界EDN(Earth Day Network)の「アースデイ2006気候変化ソリューション・キャンペーン」と連動して、身近な桜の写真を通して、地球を考えるきっかけになったらいいなというコンセプトでスタートしました。

 これらは参加者が時間と場所を越えて出会う仕掛けと、リアルとバーチャルが結びつく仕掛けが融合したものです。現在は、マッピング関連の新事業や、「Second Life」などの仮想空間でのプロジェクトを今年末から来年以降に向けて進めています。


自らを客観視することで問題解決

──起業したきっかけは?

 起業した頃の自分は何もできませんでした。そもそもはフリーランスで、某大手ゲーム会社でゲーム内の建築物を造る仕事をしていました。ある人からお声がけいただき、チャンスがあったので、足を踏み入れてみようと思ったのがきっかけです。

──仕事をしていて、うまくいかない時ってありますよね。そんな時、どうしますか?

 仕事で苛々したり、つまずいたりした時は、ただ身体で受け止めるのではなく、3Dソフトで感情を形にしています。

──え、感情を形にできるんですか?

 ええ。怒りとか悲しみ、イライラ、充実など、その時々によって軸になる感情は違いますよね。自分を客観視してみて、その時の感情を分析し、軸を決めてモデリングしていくのです。そうすると、うまくいっていない時はどこかが尖っていたり、不安定な形になっていたりします。それを見ながら、『ここを引っ張ったらいい形になるかな』などと考えることが、自分を客観視していくことにつながるのです。一度スクリーンの中に自分の気持ちを置いて、もう一度自分の身体に戻すと、すっきりと整理もできて、実行に移せるようになるのです。

──どういう形になるといいのでしょう?

 円とか立方体とか、それ以上間引けない形になるといいですね。試行錯誤の段階では、あえてどこかを尖らせていろいろな形にするのもありだと思いますが、最終的にはシンプルで安定した形にするのがいいです。物事がスムースに流れている時には、あまり描いたりはしません。逆に不安な時には一度モデリングをして、考えをすっきりさせてから動くようにしています。

──可視化して整理するという考え方は面白いですね。一般のサラリーマンが取り入れるとしたらどういうシーンでしょう?

 私は元々建築科の出身なのですが、最初の段階で頭の中のものを図面に引くという作業を行います。頭の中にあるだけでは問題点がはっきりしないことが多いので、図式化などをして客観的に見られるようにすると問題点が浮かび上がってきます。

 必ずしもモデリングまでしなくても、例えば頭の中にあることを書き出して整理するだけで、営業のスキルアップやプロジェクトの成功など、多くのことが解決できるようになると思いますよ。また、自分の職歴など過ごしてきた場所を、地図の上にマッピングしてみたら面白いかもしれませんね。地図には嘘をつく要素が生じにくいでしょう。だから、地図の上に情報を載せると嘘をつきにくく、誰でも正直になるんじゃないかと思います。Second Lifeでみんなが正直になるのも、根っこは同じことかもしれません。また、視点がグローバルになるので、新しい見方ができるようになるかもしれませんね。

マネジメントは“巻き込み“から

──どういう風にプロジェクトを進めているのですか?

 以前は従業員がいてタスクを割り振って作っていましたが、だんだんと経営陣とフリーのクリエイターやエンジニアが、プロジェクトごとに集まって作るようになってきました。昔はコンテンツ1つ作るにも人がたくさん必要でしたが、現在ではAPIを駆使すれば、1人でも大きな影響を与えられるものを作ることができます。会社の将来像としては、経営者・社員という構図が少しずつ緩くなっていき、1人1人が有機的にプロジェクトごとに集まって作ってまた散って──というのがいいなと思っています。このまま、ほかの会社や国に広げていっても面白いですよね。

──チームのメンバーとなるのはどういう人たちなのでしょう。

 数年前から、自分でマネジメントできて、しかも収入が得られるだけの力がある人たち──つまり本当のプロフェッショナルとだけ仕事をやっていきたいと思うようになりました。食べていける人は、そもそもそういうスキルを持っていると思うのです。

 「空いた時間ができて楽だな」ではなくて、「空いた時間があるならこういうことができる」と考えられる人です。1秒1秒、お金を稼ぐことはできるはずなんですよね。もちろん、そのためには私もそうでなくてはなりません。今は会社だけ見ると社員は私1人ですが、外部のプロフェッショナルな人たちと集団で仕事ができていますね。

──そういう人たちとのプロジェクトを成功させる秘訣は?

 “面白い”と思ってもらうことから始めるから、成功するのだと思います。金銭の話はあえて後でするようにしています。まずは相手に、「面白い、これはやってみたい」と思わせて、巻き込むことが大切です。会社なら、上司が部下にそう思わせるべきだと思います。プレゼンをしたり、実際に見せて“面白い”と思わせる必要があるでしょう。たとえば、私が取り組んでいるサービスは文字上では面白さが分からなくても、PCを持って行って直接見せれば、誰もが面白がってくれます。そのように、伝える努力はしていかなければならないと思うのです。

──そういう人たちを巻き込むにはどうしたらいいのでしょう?

 とにかく一緒にやりたいと思うような人たちがたくさんいる場所に出かけていき、こういうものがやりたいとアピールし、ひたすら話し続けることですね。もし一致したらその場で実現できますから。

ヒューマンスキルを身につけて、巻き込み型マネジメント力アップ

 仕事ができて、能力があって……。しかしマネジメントはうまくいかないというあなたは、もしかしたらほかの人たちを巻き込む力──ヒューマンスキルが足りていないのかもしれません。

 管理職には、部下の力を引き出し、プロジェクトを成功させることが求められますが、これこそがヒューマンスキルです。部下のモチベーションをアップさせ、マネジメントするコミュニケーション能力が必要とされるのです。

 マネジメント能力が欠けていたら、上司としての業務は果たせません。誠のビジネスパーソンを目指すなら、欠かせない能力です。今からしっかりとヒューマンスキルを向上させておくことをお勧めします。

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提供:株式会社社員教育研究所
制作:Business Media 誠 編集部/掲載内容有効期限:2007年10月31日