インタビュー
» 2007年08月20日 21時55分 UPDATE

教えて! 目黒さん:初心者の「株と投資信託」の選び方

投資には興味があるけど、不安や疑問があるため、はじめの1歩が踏み出せない。初めて投資をする人への銘柄選び、どんな投信が向いているのか――そんな疑問にFPの目黒陽子さんが答えてくれました。

[土肥義則,Business Media 誠]

 前回「『僕らはいくら投資できるのか』の考え方」では、収入と預貯金からいくら投資に回すことができるのかを紹介しました(7月20日の記事参照)。大切なのは中長期的な視野で投資を考えること。また、見直すべきポイントとして挙がったのが生命保険でした。特に「定期付終身保険」のように10年ごとに保険料がアップする保険は一度チェックを、というのが前回のおさらいです。

 今回も初めて投資をする人を対象に、株の銘柄選びでどういう点に気をつけるべきか、どんな投資信託が向いているのかなどを聞いていきます。「Business Media 誠」で連載しているキャスター兼ファイナンシャルプランナー(FP)の目黒陽子さんに、株や投信について質問しました。

教えて! 目黒さん:「僕らはいくら投資ができるのか」の考え方

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会社の決算のほか、相場や為替をチェック

 前回に引き続き、20代後半、独身の誠くんに登場してもらいましょう。株式投資を始めようとしている誠くんは、株も投信も購入経験ゼロ。何をしていいかよく分からない、という状態です。

 前回、目黒さんは誠くんの年収や預貯金をリサーチして「誠くん向けおすすめレシピ」をつくりました。120万円の預貯金がある誠くん。投資に回せる予算は大体12〜36万円と考えています。

誠くん(20代後半・独身)向けおすすめレシピ

普通預金:30〜40%(36万円〜48万円)

定期預金、財形、国債など確実に増やすお金:30〜50%(36万円〜60万円)

投信・株式・確定拠出年金:10〜30%(12万円〜36万円)

※カッコ内の金額は預貯金120万円の場合


 初めて投資をする人は「株から始めるべき? それとも投信から?」と迷うことが多いようです。どちらから始めても大丈夫ですが、「株の方が身近な銘柄に投資ができて、相場観を体験できる。だから初心者は、まず株から」という声が多いようですので、まず株から話を進めましょう。

yd_meguro.jpg キャスターでFPの目黒さんに銘柄選びで大切なことを話してもらいました

誠:ニュースを見ていると、日経平均株価が大きく下がったりして、不安になってきました。このタイミングで株を買っても大丈夫なのでしょうか?

目黒:基本的なことですが、株は安く買って高く売るということが大事です。何らかの原因で大幅に下がっても「相場は強い」「企業の業績は順調だ」と判断すれば、株を買うチャンスかもしれません。まずは将来有望だと思ったり、応援したい会社を選びましょう。そして、自分が投資をしたいと思う会社を分析してください。会社の概要はもちろんのこと、決算書や業績予想なども忘れてはいけません。他社との比較や業界の動きも大切ですよね(7月24日の記事参照)

 あと為替の動きにも要注意ですよ。円高・円安によって企業業績にどれほど影響を与えるかもチェックしましょう。ただ為替の動向を予測することは大変難しいことです。最低でも自分が買おうと思う銘柄は、「円安に強いのか」それとも「円高に強いのか」を調べてから買うようにしてくださいね。一般的には円高になれば、内需関連株(主な事業基盤が国内にある企業)が高くなり、輸出関連株(海外への輸出が多い企業)が安くなります。円安になれば、反対に内需関連株が安く、輸出関連株が高くなる傾向があります。

 気になる銘柄については、チャートで株価を分析してください。株価の動きを追っていると、徐々に“目利き”ができるようになってきます。今の株価が高いか安いか、そして「この株価になったら買う」とルールを決めておくことも大切ですね。

まずは身近な銘柄で情報収集

誠:やはり最初は、身近な銘柄を選んだ方がいいのでしょうか?

目黒:そうですね。仕事の関連や自分の趣味に関する銘柄を買うのは悪くないですよ。誠くんはどんなことに興味がありますか?

誠:ニュースなどを見ていて「環境問題」が気になっています。特に地球温暖化の問題では、二酸化炭素の排出量をどうしたら少なくできるのか、考えさせられます。自分でもできることとして、家ではクーラーを使いません。

目黒:環境問題を意識することはとてもいいことですね。最近は、原子力発電を評価する声が世界中で高まっています。原発の発電時には二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策の1つとも言われています。すでに米国では原発の新設計画がありますし、欧州でも予定されています。

 こうして原発の新設計画が世界中で広がっているので、発電所を建設できる会社や関連企業に注目し、株を買ってみよう……という考え方はどうでしょう? 米国からの受注も決まっているので、今後の株価に良い影響があるかもしれません。誠くんは環境問題について、たくさんの情報を入手してくださいね。いろいろな情報を通して、どこの企業の技術が高いか、安全性は大丈夫なのか、企業を分析した上で、銘柄を選ぶといいでしょうね。

誠:あと株主優待にも興味があります。食品メーカーだと、自社商品を優待でもらえるところも多いですよね? 映画のチケットとか、レストランのクーポンとかもらえたら嬉しいな。

目黒:もらって嬉しい株主優待がある銘柄を選ぶのもいいかもしれません。私の友人でも毎年、お米をもらっている人がいます。また、航空会社の株を保有して航空チケットをもらう知人もいます。娘さんが上京しているため、帰省の時には航空チケットをプレゼントするそうです。優待のことを考えながら投資をするのも、株を買う楽しみの1つだと思います。

投信の3つのメリット

yd_meguro1.jpg 投信には3つのメリットがあります

誠:最近、投信(投資信託)がよく売れていると聞きます。株は“企業に投資する”という意味で分かりやすいのですが、そもそも投信というのはどういうものなのでしょうか?

目黒:誠くんのほか大勢の人から集めたお金を、運用の専門家が株や債券などに投資する商品です。市場の環境などによって運用成績は変わってくるので、預貯金と違って元本が保証されているわけではありません。

 投信は、証券会社や銀行、郵便局などで販売しています。ですが、作っているのは投資信託会社で、そこのファンドマネージャーが運用をします。投資信託会社から運用の指示を受けて、預かった資産を信託銀行が管理しています。

誠:なんだか複雑ですね。

目黒:大勢の人から預かった資金は、販売、運用、管理と役割分担をしています。効率的な運営をするために、こうした仕組みになっていますよ。

 一般的に投信には、3つのメリットがあると言われています。1万円前後の資金から手軽に始められることや、分散投資をしているのでリスクが少ないこと、株や債券などについてよく分からない人でも、代わりに専門家が運用してくれることがメリットでしょう。

誠:投信と一言でいってもたくさんの商品があって、どれを選んだらいいのか、よく分かりません。

目黒:先ほども言いましたが、投信は投資先が分散されているので、株と比べると一般的にリスクが小さいと言われています。デメリットは手数料が高いことです。投信の運用はプロにお任せしているため、いくつかの手数料がかかります。買う時の販売手数料のほか、保有している期間の信託報酬、さらに解約時に手数料がかかるものもあります。販売会社や投信によって手数料は違うので、事前によく確認してから購入してくださいね。

 手数料の高さが投信のデメリットですが、販売手数料が無料のノーロード投信があります。ネット証券を中心にノーロード投信の販売を充実させています。販売手数料は2〜3%のものが多い中で、無料というのは誠くんにとってもメリットは大きいでしょうね。ただノーロード投信は、信託報酬を高めに設定しているものもあるので注意してください。最近はノーロード投信が増えてきていますが、まだまだ種類は多くないので、選択肢が少ないのがデメリットでしょうね。

yd_toushin.gif 投信の仕組み。投信は投資信託会社で作り、証券会社や銀行、郵便局などで販売する。投資家から集められた資金は、販売・運用・管理され、それぞれ分担して運営している

分散投資タイプでリスクを軽減

yd_meguro3.jpg 投信は中長期の運用で考えてください

誠:4カ月後に2割くらい増える投信はありませんか? 

目黒:誠くんの投資の目的は何ですか? 結婚資金ですか、それとも車の購入? 将来的にどれぐらいの資金が必要かによって、運用期間が決まってきます。それによって選ぶ商品も違ってきますね。

誠:実は、冬休みに海外旅行に行く予定なんです。投資に回すお金は減らしたくないし、できれば投信の運用で……。

目黒:数カ月後にまとまった資金だからという理由で、投信で運用するのはお勧めしません。投信を短期で売買して、「儲かってラッキー」といった考え方もできるでしょう。ですが基本的に投信は、中長期運用で考えてください。投信は、株のように日々の値動きに一喜一憂するのではありません。“ファンドマネージャーが誠くんの資産を育ててくれる”という投資スタイルなので、短期売買にはあまり向いていません。

 最初は値動きの異なる株式や債券、Jリート(不動産投信)などに分散投資をしているバランス型の投信はどうでしょう? 一般的に分散投資はリスクを減らすことができるため、中長期的な運用には向いているでしょう。

 また、購入する前には目論見書(もくろみしょ)をよく読んでくださいね。目論見書には、販売手数料や運用期間など重要なことが記載されています。情報量が多いので驚くかもしれませんが、最低でも投信の概要は読んでおくことを忘れてはいけませんよ。

yd_mokuromisho.gif 目論見書には、投資対象や販売手数料のほか、ファンドについて重要な情報が記載されている

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