第2回・1週間が経過。超ビギナー3人が買った株はどうなった?週1回リアルタイム連載「誠倶楽部」

» 2007年07月17日 18時31分 公開
[高橋暁子,Business Media 誠]

 先週から始まった素人集団のバーチャル株取引企画「誠倶楽部」。超ビギナーとダメ投資家が「持ち金100万円」「期間3カ月」の制限内で気になる株を買い、運用してみるという特集連動企画だ(7月9日の記事参照)

 3人が先週買った(つもりの)銘柄は、どうなったのだろうか? まずはメンバー紹介から始めよう。

誠倶楽部メンバー紹介


Business Media 誠の編集部員、土肥義則

土肥義則

 Business Media 誠 編集部員。3人の中で唯一株式取引経験ありということで一歩リードか。最近、証券関係者に取材することが多いので、株を買うコツをよく聞く。「トヨタ自動車のような大型株は、多くのアナリストが分析しているので、個人投資家が新しい情報を手に入れるのは難しい」らしい。ということはダメ個人投資家は何を頼りにすればいいの? 改めて株の買い方の難しさを痛感中。


営業部員、真野裕章

真野裕章

 アイティメディアで「Business Media 誠 」を担当する営業部員。入社後3食とも腹一杯食べる日々が続いて太ってしまい、先輩社員にダイエットを命じられた新卒の真野。流行の『ビリーズブートキャンプ』を手に入れたいと思ったが、売り切ればかり。やっとオークションで見つけて入札したところ、詐欺で商品が届かず……。被害者約100人の中の1人になってしまったことを悔やみ「もう騙されない」と誓う日々。


フリーライター、高橋暁子

高橋暁子

 株についての知識はないが“ママがすごい”(7月9日の記事参照)。お母さんにブラックマンデーの時の資料を送ってもらった高橋。お母さんは、売ると大損なのでずっと持っていたというまさに“20年定期”だった。最近、当時ブラックマンデー前に150万円で買った住友不動産の株が465万円で売れて(うち1割は税金で取られる)、やっと赤字の補てんができたとか。つまり250万円以上は損をしていたんですね、お母さん……。ちなみに高橋本人は、最近ホットヨガでダイエットに成功、佐藤江梨子の体型を目指す。ただし夏は気温と室温がいつもよりずっと高いため、がんばりすぎると気分が悪くなるらしい。

企画概要

 週1回(金曜日の午後3時東京証券取引所終了後)、誠倶楽部のメンバー3人が集まり、その週に買った株の値段の動きをチェックし、翌週どの株を買うかを決める。自分が保有する株に関するウンチク、来週に向けての意気込みを語るほか、他のメンバーに対する意見も飛び交う予定。その議論の模様と銘柄の価格、各自の資産状況(折れ線グラフ)は、翌月曜日に記事を掲載する(祝日の場合は火曜日)。期間は7月〜9月の3カ月間。

ルール

  1. 最初の持ち金は1人100万円。
  2. 1度に持てる株は、1人2銘柄まで。それぞれをどういう割合で持つかなどは、個人の裁量に任せることとする。
  3. 原則的に金曜日に清算する。翌週に同じ銘柄を持ち越すことも可能。
  4. 売る場合、終値(市場取引で最後についた値段)で売り、別の銘柄を終値で買ったことにする。そして、その銘柄を月曜日から1週間保有し、金曜日に清算する。
  5. 空売り(他人から借りた株券を用いて売却を行う取引)は禁止とする。あくまで買いだけ。信用取引(株式投資の資金を証券会社から借りて行う取引)もナシ。
  6. 実際には売買の際に手数料がかかるが、証券会社や売買方法などによって違うので、本企画では考えに入れないものとする。

予想通り(?)レベルの低い争いだった誠倶楽部

 まずは今週(7月9日〜13日)の結果から。気になる結果を早速チェックしてみよう。結果は7月13日(金)の終値だ。

3人が買った銘柄の結果は以下の通り。

土肥 テレビ東京 4090円×200株=81万8000円

→4040円×200株=80万8000円

フルキャスト 16万2000円×1株=16万2000円

→14万5000円×1株=14万5000円

先週比 −2万7000円(−2.75%)

持ち金合計 100万円→97万3000円

真野 ファーストリテイリング 8400円×100株=84万円

→8000円×100株=80万円

関西汽船 235円×500株=11万7500円

→219円×500株=10万9500円

先週比 −4万8000円(−5.01%)

持ち金合計 100万円→95万2000円

高橋 ミクシィ 95万3000円×1株=95万3000円

→88万9000円×1株=88万9000円

先週比 −6万4000円(−6.72%)

合計 100万円→93万6000円


3人の持ち金は90万円台に

 この1週間(7月9日〜13日)の日経平均を見ると、9日に年初来高値1万8261円を付けたが、11日には米国の株安を受けて200円強の下落。13日には反発して終値は1万8238円、9日の始値1万8226円から12円高。6日の終値1万8140円から見ると98円高という結果だった。しかし、誠倶楽部は全員下落だ。マイナスからのスタートとなったが、3人の反応は?

高橋「日経平均は上がったのに、すごいショックですね。私が買ったミクシィの株が1日1万円近く下がったと考えると、株の恐さを実感しました」

土肥「それでは反省と言い訳の弁を述べてもらいましょうか」

真野「ファーストリテイリング(証券コード9983)は、ニュース(7月4日の記事参照)が発表されて数日経ってから買ったのがまずかったのかもしれません。タイミングを逃したのかと」

土肥「『知ったらしまい』という有名な格言があって、みんなが知っている情報は、ただの知識にすぎないと言われています。だから好材料の情報が発表されても、値下がりすることがよくあるんですよ。

 それとファーストリテイリングは12日に、『2007年8月期の連結経常利益予想』を発表し、従来予想から下方修正をしましたね。これを受け13日には、モルガンスタンレーが目標株価を引き下げました。この影響が大きかったかもしれません」

真野「あと関西汽船(9152)は下がった理由が分かりません……」

3人は自分が買った(つもり)の株価を調べる

高橋「ミクシィ(2121)も大きく下がりましたが、その理由を私なりに分析しました。米国のインターネット視聴率解析会社ニールセン・ネットレイティングス社が12日に、「サイトのランキングをPV(ページビュー)より滞在時間で決める」ことにしたというニュースがありましたよね。SNS(Social Networking Service)はPVが多めに出るサイトなので、視聴率の測定方法が変わると不利だと思います。ミクシィもその影響をこうむったのかもしれません。

真野「ほほお、なるほどね」

高橋「土肥さんはどうなんですか?」

土肥「みなさんより下落率は低いものの、お恥ずかしい結果でした。テレビ東京(9411)は月曜日もやはり下がって、東証1部全銘柄の中で下落率7位で、2日間で約10%も下がったんですよ。逆張り狙いで反発に期待しましたが、やはりダメ個人投資家ですね(笑)。フルキャスト(4848)は「天引きしていた業務管理費を返還する」というニュースが出ました。発表時には業績に影響が出るかどうか分からなかったためか、株価の動きは少なかった。その後、返還額が『40億円に達する可能性』という報道を受けて、株価は下がっていきました」

3人が今回買う銘柄は?

 ルールでは翌週に株を持ち越すことができるが、3人とも売りに出た。そして選んだ銘柄は……。

ヤマダ電機の株価チャートヤマダ電機の株価チャート(1年:縦軸の単位は1000円)トランスコスモスの株価チャートトランスコスモスの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

真野「株好きの友達からのアドバイスなんですが、今度は家電量販店チェーンの日本最大手のヤマダ電機(9831)を買いたいと思います。小売りでは1位を占めていたのですが、これまで郊外中心で都心は弱かった。ですが、これから都心にも店舗を出すことにしたそうです。池袋に続いて、新宿にも出すそうです。きっと、都心に来ても強いんじゃないかと思うんですよね。都心部に出した例でいうと、大阪の「LABI1(ラビワン)なんば」店は好調らしいですよ。もう既に株価は上がり調子で、来週まではまだもつだろうという予想を立てます」

土肥「たしか『ファーストリテイリング』を買う時も『とくダネ!』の小倉智昭さんが褒めていたから……と言ってましたね。今回は友達の勧めですか(笑)」

高橋「たしかに人の情報をうのみにし過ぎかも。他力本願ですね(笑)」

土肥「あと1銘柄は何を買うの?」

真野「時期的に参議院選挙が近いので、選挙関連の会社の株を買ってみようかな。投票用紙を作ったり掲示板を作っているところとか、選挙の電話代行会社、調査会社もいいですね。よし、アウトソーシングやデジタルマーケティングビジネス事業のトランスコスモス(9715)にします。選挙関連の代理店をやったりしている会社なんです。2日前に営業に行ったばかりで、良い印象を受けましたから(笑)」

高橋「分析しましたね。しかも足を運んで……」

エルピーダメモリの株価チャートエルピーダメモリの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)りそなホールディングスの株価チャートりそなホールディングスの株価チャート(1年:縦軸の単位は1000円)

土肥「じゃあ僕は、エルピーダメモリ(6665)にします。DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)で日本における唯一のDRAM専業メーカーです。チャートを見ると26週線と13週線、この2つの移動平均線が交差しようとしています。このように短期の移動平均線(13週線)が長期の線(26週線)を下から上に突き抜ける状態を『ゴールデンクロス』というんです。こうなると株価が上昇しやすいんですよ。逆は『デッドクロス』といって、一般的に下落する可能性が高いです。テクニカルチャートの基本的な見方の1つです」

高橋「なるほど、チャートの分析ですね」

土肥「取材先で聞いた話では『参議院選挙を控え、来週(17日〜20日)の株式市場は盛り上がりに欠けるため、値動きの少ない銘柄』を勧めていました。あと気になる情報として、8月以降に金利が上昇するのではないか、という見方があります。金利上昇による影響が大きい銘柄を『金利敏感株』と言い、一般的に金融が強い傾向があるので、銀行株を狙ってみます。さらに銀行株から個別銘柄を絞っていくと、過払い金が増加している消費者金融の決算が気になります(5月16日の記事参照)。大手銀行の中では2007年3月期決算で、消費者金融の持ち分法適用会社によって、業績が悪化しました。その中でも、りそな銀行は消費者金融との資本提携を結んでないので、影響が少ないと思います。ということで、りそなホールディングス(8308)を買います」

エルピーダメモリのチャート。13週の赤い線が26週の緑の線を突き抜けようとしている
アサヒビールの株価チャートアサヒビールの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)東芝の株価チャート東芝の株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

高橋「私はスーパードライのアサヒビール(2502)を考えています。2007年上半期ビール出荷数で、アサヒが0.1ポイント差でキリンを抑えてトップに立ちました。ただし、ビール出荷数は過去最低らしいので、懸念はあるんですが。これから暑くなったらビールの売り上げは伸びてくれそうなんですけどね。そういえば第4のビールもいまいちですが、今回は賭けてみようかな。

 それからもう1つは東芝(6502)にします。東芝は、政府と環境配慮型原子炉を開発するらしいです。今は石油より原発と言われているので追い風かもしれませんから。あ、でも株価が100万を超えていて買えない……」

土肥「そういう時にはミニ株ですよ。ミニ株なら、通常の売買単位の10分の1で投資できるんです」

高橋「じゃあそれで買います!」

 悩みに悩んで今回3人が買った株は次の通りだ。ちなみにこの会話が交わされたのは7月13日。その後15日に起きた新潟地震で、柏崎刈羽原子力発電所から煙が上がる映像がテレビで繰り返し流されることになるなど、この時高橋は知る由もなかった……。

今回、3人が買った株はこれだ!

土肥

りそなホールディングス 285000円×1株=28万5000円

エルピーダメモリ 5700円×100株=57万円

真野

ヤマダ電機1万3180円×20株=26万3600円

トランスコスモス2270円×300株=68万1000円

高橋

アサヒビール  17万9400円×2株=35万8800円

東芝(ミニ株) 11万3300円(100株)×5=56万6500円(500株)


 果たして3人が買った株はどうなるか? 次回7月20日(金)の結果をお楽しみに。今回3人が買った銘柄や、買い方についてご意見・ご感想はこちらから。また記事へのトラックバックもお待ちしています。

今回学んだこと

ゴールデンクロス:

短期の移動平均線が、長期の移動平均線を、下から上に突き抜ける形に交差(クロス)している状態をいう。ゴールデンクロスが出ると、その銘柄はこれから上がっていく兆候だと言われる。

デッドクロス:

短期の移動平均線が、長期の移動平均線を、上から下に突き抜ける形に交差(クロス)している状態をいう。デッドクロスが出ると、その銘柄はこれから下がっていく兆候だと言われる。

ミニ株:

株式投資を行っていく上で、投資を行う最低水準というものが各企業により定められている。これを「単位株」という。例えば、1000株を単位としている企業で、株価が100円の場合、最低1000×100の10万円の資金が必要になる。ところが、このミニ株はその10分の1で株式投資をする事が可能となる。


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