サザンオールスターズがヒットすると、4分の3の確率で夏相場は上昇

[土肥義則，Business Media 誠]

　「ウィンドサーフィンが注目されると株価は上がり、サーフィンでは株価は下がる」――夏相場を占う法則は的中するのか。大和総研の投資戦略部はウィンドサーフィン（ウィンド）との株価との関係に注目した。「ウィンドサーフィン」の記事件数を「サーフィン」の記事件数で割り、ウィンドレシオ（市場の過熱感を見る指標）を作成。その結果、ウィンドレシオの前年比が上がると、翌月の日経平均が上昇する傾向が強く、レシオが下落すると上昇しているが、期間平均を下回っている。中央値で見ると、ウィンドの注目と株価が連動していることが明らかになった。ウィンドが注目されるとレシオが上昇して翌月は7.83％上がり、レシオが下落すると3.74％下落している。

　こうした関係について大和総研のアナリスト・吉野貴晶氏は、3つの点を挙げて分析している。ウインドの方が道具が高いため「景気や個人の所得が高ければ、コストの高い道具を選びたくなるものだろう」。2つ目にウインドの組み立ては大変だが「人々の気持ちに余裕がある方が注目されやすいだろう。余裕がある社会は資本市場の発展と関連する」と指摘。3つ目として「ウインドは運搬や保管場所の面も、サーフィンと比べると大変だ。これも2つ目の要因と通じる」という。実際にこの分析が当てはまるかどうかはともかく、面白い分析ではある。

映画「Life　天国で君に逢えたら」ヒットでウインドサーフィンが注目？

　今年の夏はウィンド人気が出るかもしれない。全国東宝系で8月25日に映画「Life　天国で君に逢えたら」が公開される。末期がんになった世界的プロウィンドサーファーの半生を描いている作品で、原作の小説「天国で君に逢えたら」は22万部のベストセラー。映画がヒットすれば、ウィンド人口が増える可能性が高くなる。そうなればウィンドと株価が連動し、夏相場に期待できるかもしれない。

　もう1つ注目したいのが、この映画の主題歌を担当するサザンオールスターズの桑田佳祐だ。ソロとしては映画の主題歌は初めてで、サザンオールスターズとしても映画音楽を手掛けたのは「モーニングムーンは粗雑に」「彼女が水着に着替えたら」「稲村ジェーン」の3作品のみ。そのサザンと株価に関係があることも調査で明らかになったという。

サザンオールスターズと株価の関係

　サザンオールスターズ（桑田佳祐含む）が大ヒットすれば、夏の相場は株高傾向にあるという。サザンオールスターズがシングル版をリリースするのは7月が最も多く、夏をイメージさせる曲が多い。そこで「夏をイメージする曲のヒットが、その夏の投資家を含めた人々や社会環境を表し、夏相場と関係するのではないか」と考えた。

　シングルCDがミリオンセラー（100万枚）に達していればヒットとし、夏は7月と8月に限定した。調査の結果、夏に100万枚を超えた年は4回で、その年の夏の日経平均騰落率を平均すると6.99％のプラスであった。一方で、ヒットしなかった夏の平均騰落率は−3.99％だった。こうした傾向の背景には「人々の情熱や気持ちの盛り上がりがサザンの曲をヒットさせる背後にあるのかもしれない。それが株式市場への盛り上がりにつながるのかもしれない」としている。

サザンがヒットする年は、夏相場は波乱が多い

　夏のヒット曲は「涙のキッス」（1992年）「エロティカセブン」（1993年）「あなただけを」（1995年）「波乗りジョニー」（2001年）で、マイナスとなったのは2001年だけ。この年はITバブル崩壊後であったことと、米同時多発テロの影響で相場が悪かった。

　2001年以外の夏相場は好調だったが、一本調子でもなかった。1992年は8月に、日経平均がバブル崩壊後の最安値1万4309円を付けた。しかし、政府が大規模な財政措置をとったため、夏相場は反転した。1993年6月は安値からの戻り相場だったが、9月には緊急経済対策の出尽くし感などで調整した。1995年の7月には円高などの影響で下落していたが、日米、円売りドル買い協調介入を機に株価は上昇した。こうして見ると「サザンがヒットする年は夏相場は高いが波乱も多いことが分かる」。

　桑田佳祐は5月16日にテレビドラマの主題歌「明日晴れるかな」をリリース。さらに映画「Life　天国で君に逢えたら」の主題歌がミリオンセラーになれば、夏相場に期待してもいいかもしれない。ただ乱高下も多いため、“逃げ足”が遅ければ大変なことになるかも。