あなたの年金大丈夫?――まずは手帳の色をチェック! キャスター・目黒陽子の「今、これが気になる」:

» 2007年06月13日 15時51分 公開
[目黒陽子,Business Media 誠]

 最初に質問です。あなたの手帳は何色ですか? 青ですか? オレンジですか? それとも会社に預けているから分からない?

 即答で“青!”と言える方は、まずは安心しても大丈夫かもしれません。というのは、1997年に年金番号を1人1つに統合し、手帳の色を変えたからです。青手帳は番号統合以降の人。表紙がオレンジ色の手帳の人は、国民年金と厚生年金を別の番号で加入していた人です。まずは急いで確認してください。

振り込め詐欺が急増中

 社会保険庁の職員を装い、「差額を支払うから」と高齢者をATMに行かせて、“振込みボタン”を押すように促す振り込め詐欺が急増中です。それもこれも、根底に国民の年金への不信があるからでしょう。年金不信はどこまで広がるのでしょうか。

 先日、社会保険事務所前で取材を始めて間もなく、10人にインタビューするかしないかのうちに、年金記録が消えているという63歳の女性に遭遇しました。この女性は20歳〜27歳当時、市役所の職員が自宅まで徴収に来る、任意加入の国民年金に加入していたといいます。当時は年金の徴収を全国の市役所が社保庁の代行で行っていたのですが、その担当者がなんとそのまま各々自分の懐に入れてしまっていたという事実が発覚しています。彼女は何十年も前の“振り込め詐欺”の被害者の1人だったのです。“お上”がこんなことをしていたなんて……一体この国では、何を信じてこの日本で生きていけばいいのでしょうか? このときは、本当に悲しい気持ちになりました。

 私自身ファイナンシャルプランナーでもあり、今まで資産運用などについて学んだりもしましたが、今回の国民年金問題は、まざまざと将来の自分たちの年金について深く考えるきっかけとなりました。きっとみなさんも「自分たち自身で身を守らなければ!」とお考えではないでしょうか。

社会保険庁解体の前に、年金の仕組みを変えて!

 一般的な振り込め詐欺の解決としては、まず詐欺グループが逮捕されることを願うばかりです。そして同時に、私たちは賢くならなければならない、ともいえます。

 社保庁解体などは実は二の次で、まずはなぜそのようなことが起きたのか、捜査権を活用してでも担当者をさかのぼり、徹底的に調べ上げる。その後で、今後の年金制度のあり方を今度こそしっかり考えていくべきではないのか、と思えてなりません。もしまだ隠している実態があるのなら、社会保険庁はとことんさらけ出すべきです。当然国民は今以上にパニックになるかもしれません。でも、現実を知らなければ前には進めません。

 もう1つ、宙に浮いた年金ではなく、本当に消えてしまった年金に関しては、公務員の使い込みが起きていることが分かっています。公務員の年金(共済年金)は財務省管轄ですから、社会保険庁職員は自身の年金について全く心配がないんですよね。それもあって、一連の騒動がどうしても他人事になってしまうのではないでしょうか。共済年金・国民年金・厚生年金を一元化し、みんなが共通の立場に立って初めて本当の改革になるのではないでしょうか?

社保庁改革、新制度はどうなる?

 米国や英国では、年金を徴収するところと支払うところを別にして、徹底的に業務を行うと聞きます。日本なら、徴収は国税庁で、支払いは社会保険庁といった具合でしょうか。

 日本でも新しい制度が始まっています。まずは今年の3月に「ねんきん定期便」がスタートしました。年金加入期間・今までいくら支払ったか・それ時点での将来の年金見込み額などを、年に一度、一斉に本人へ送るというものです。初めは、今年満35歳になる人を対象に誕生日の前月に送付されます。その後徐々に加入者全員へと対象を広げる予定です。

 海外ではすでに、このような制度が始まっているようですね。例えばスウェーデンでは『オレンジの手紙』という通知制度があり、公的年金の見込み額を年一回送ることによって、国民の年金への信頼感を高めているのだそうです。もらえる年金額が多いか少ないかを現役時代に知ることで、どれだけ将来に対して準備をすればいいのか考えることができる、ありがたい制度といえるのではないでしょうか。

 私たちも、ねんきん定期便のような通知制度を利用して将来受け取れる年金の額をまずは知り、それを踏まえて、今後は自己責任で対策をしていく必要がありそうです。

今後は年金だけでいいの?

 最近では大学生が、授業中に手を上げ「先生、ボクの国民年金はどうなるのでしょう?」と質問するそうです。それはそうです、20歳から国民年金を支払うからには、将来自分たちに本当に年金がもらえるのか心配ですよね。

 そもそも年金とは、国庫負担と、国民から集めた年金を国が運用して増やすことで、老後や、万が一の時に備えるものです。国民の数が将来減らない、という前提に立っているこの制度では、高齢化社会が訪れて日本の人口分布が逆ピラミッド型になれば、ますます厳しい年金財政になることは簡単に予想できます。

 今後年金だけで、本当に私たちの将来は安心なのでしょうか?

 一部の企業では、確定拠出年金・401Kなどを導入し始めています。増やすも減らすも運用は自己責任で、という年金です。MMFのような預金タイプも安定していていいでしょうが、バランスファンドやライフサイクルファンドといった、リスクのある商品も検討し、積極的に財を増やすことを考えることが必要な時代かもしれませんね。

 今後、そのあたりについてもより具体的にお伝えしていきたいと思います。

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