米労働者、4人に1人が有給休暇なし

» 2007年05月18日 20時06分 公開
[ITmedia]

 米国では4人に1人の労働者が有給休暇を支給されていない――米経済政策シンクタンクCenter for Economic and Policy Research(CEPR)がこのような調査結果を発表した。

 この調査は経済協力開発機構(OECD)加盟国を対象に行われた。それによると、米国は先進国では唯一、労働者の有給休暇が法律で保障されていないという。このため4分の1が有給休暇を与えられず、支給されている年次有給休暇は1人当たり平均15日と、欧州などの国家で最低要件とされている19日に及ばない。「企業が自主的に有給休暇を与えるのを当てにしてもうまくいかない。2800万人が有給休暇を支給されていないのは国家的恥」と報告書を執筆した上級エコノミストのジョン・シュミット氏は述べている。

 一方、欧州の労働者は1年に20日以上の有給休暇が法律で保障されており、中には25〜30日の有給休暇が一般的な国もある。さらに有給休日(paid holiday:祝日や創立記念日など特定の休日に休業した場合でも、賃金の全額または一部が支払われる)もある。

法律で定められた労働者の年次有給休暇(濃いブルー)と有給休日(薄いブルー)

 日本とカナダは米国に次いで有給休暇が少ない。日本は有給休日がないため、実質的にワースト2となる。

 このほか調査では、米国では低賃金やパートタイムの労働者、小規模企業の従業員ほど有給休暇が与えられない傾向にあることが示された。小規模企業の従業員の70%が有給休暇を支給されているのに対し、中規模企業・大企業では86%だった。低賃金(時給15ドル未満)の労働者の場合はこの割合が69%に低下する(時給15ドル以上は88%)。パートタイムはさらに下がって36%となる。これに対してフルタイム労働者は90%が有給休暇を支給されている。

 また国家によっては、有給休暇の取得時期を規定しているところもある。例えばオランダは、雇用主は可能であれば4月30日から10月1日の間に、従業員にある一定期間の休暇を与えなければならない。オーストリアは6月15日から9月15日の間に、15〜18歳の労働者に12日間以上連続した休暇を与えなければならない。

 有給休暇取得日の給与が上乗せされる国もあり、ニュージーランドは通常の給与の112%、スウェーデンは108%の金額が支払われる。オーストリアでは1カ月の休暇を取った場合に、通常の給与に加えて「13月分給与」が支払われ(つまり1カ月分多く支払われる)、税率が優遇される。

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