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» 2007年04月02日 00時00分 UPDATE

今さら聞けない、おサイフケータイの基礎知識(前編)

おサイフケータイ、Suica、PASMO、Edy、nanaco――電子マネーにまつわる言葉を最近よく耳にするが、どれがどれだかよく分からない、という人は多いのではないだろうか。おサイフケータイとはそもそも何か? 携帯でお金を払うことにどんなメリットがあるのか? まずは基本的な情報を整理しよう。

[房野麻子,Business Media 誠]

おサイフケータイの始まりと現在の状況

 「おサイフケータイ」とは、FeliCa機能を内蔵した携帯電話のことを指し、「モバイルFeliCa」と呼ぶこともある。2004年6月に行われたドコモの新機種発表会で初めて登場し、翌7月には第1号機である「P506iC」が発売された。

 auからは、それから1年後の2005年8月に「W32H」と「W32S」が、ボーダフォン(現ソフトバンク)からは9月に「703SHf」が発表され、携帯3キャリアからおサイフケータイが出揃うことになった。

 おサイフケータイはその数を着実に増やしており、フェリカネットワークスによれば、2007年3月末の普及台数は約3000万台。2007年春の最新機種を見ると、ドコモは903iシリーズ全機種と703iシリーズで5機種、auは春モデル10機種中8機種、ソフトバンクは春モデル14機種中4機種がおサイフケータイとなっている。キャリア別のおサイフケータイ契約数としては、ドコモが2月末で2000万契約(3月9日の記事参照)、auは3月で500万契約を超えたと発表している(3月13日の記事参照)

photophoto 初のおサイフケータイ、NTTドコモ「P506iC」(左)。モバイルFeliCaを搭載したおサイフケータイは現在約3000万台ある(右、フェリカネットワークスの資料)

 おサイフケータイのサービスが始まった当初は、電子マネーの「Edy」を利用するために必要なアプリが端末にプリセットされ、おサイフケータイのもっともポピュラーなサービスとして利用されていた。しかし現在では、「iD」「QUICPay」、「スマートプラス/VISA TOUCH」(参考記事1記事2)といったクレジットカードサービスや会員証サービスの増加、これらの決済方式に対応する店舗の拡大、JR東日本の非接触IC乗車券「Suica」のおサイフケータイ対応(2006年1月開始のモバイルSuica、2006年1月の記事参照)など、サービスが多様化している。最近は電子クーポン分野の動きが目立っており、2007年はおサイフケータイの普及がさらに進むと予想される。

非接触ICカード「FeliCa」

 おサイフケータイの個々の話に入る前に、まずFeliCaについて簡単に説明しておこう。

 一般に、プラスチックカードにICチップが埋め込まれたものを「ICカード」といい、このうち、情報を読み取るリーダー/ライターとカード表面との間に物理的な接点が必要なものを「接触ICカード」、不要なものを「非接触ICカード」という。

 FeliCaは非接触ICカードの1種で、FeliCaカードの中には、ICチップ(FeliCaチップ)のほか、CPU、アンテナなどが内蔵されている。非接触ICカードはリーダー/ライターと微弱な電波を使って情報をやりとりするので、利用するときにはカードを軽くタッチするようにかざすだけでいい。

 また、ICカードの利点として、高いセキュリティ性能があげられる。ICチップに保存されたデータは暗号化されており、不正な読み取りや改ざん、偽造、変造が非常に難しくなっている。磁気式カードがICカードに続々と切り替わっているのもこのためだ。

ay_osaifu01.giffig_mobile_01.gif カードタイプのFeliCaと、リーダーライターの仕組み。ソニーのWebサイトより引用(左)。最近は、接触ICチップと非接触ICチップの両方を搭載した、デュアルインタフェースカードも利用されている。接触ICチップには銀行キャッシュカードや個人認証などの機能を、非接触ICチップには交通乗車券や電子マネー、社員証・学生証や扉の入退出管理などの機能を載せることが多い(右)

 カードタイプのFeliCaの中で最も普及しているのが、JR東日本のSuicaだろう。2007年3月からは、首都圏の私鉄・バスで利用できる「PASMO」がスタートし、こちらもほぼ同機能が利用できる(3月16日の記事参照)。Suica/PASMOはプリペイドで入金して繰り返し使える乗車券で、定期券タイプもある。駅構内のコンビニエンスストアや自動販売機、飲食店を中心に、電子マネーとして利用できる場所も多い。ロッカーの鍵として利用することも可能だ。JR西日本の「ICOCA」、JR東海の「TOICA」もSuicaと同様のサービスを提供するほか、愛媛・伊予鉄道や長崎バス協会でもFeliCaカードを交通乗車券として利用している(記事1記事2)。

 電子マネーEdyも普及率の高いFeliCaカードだ。am/pmやサークルKサンクスといったコンビニエンスストアチェーンを始め、コーヒーショップ、ドラッグストア、デパートなど、利用できる場所は全国に広がっている。横浜中華街やお台場、道後温泉、長崎ハウステンボスのように、エリア全体で面展開している場所も多い。

 また4月28日からは、セブン&アイホールディングスが発行するプリペイド型電子マネー「nanaco(ナナコ)」もスタート、カードタイプとおサイフケータイ用アプリの両方が用意される。まずはセブンーイレブンを始めとしたグループ内各店舗から利用できるが、その後はJCB加盟店を中心にグループ外店舗にも広めたいとしている(3月28日の記事参照)

ay_osaifu02.jpgay_nanaco.jpg JR東日本の交通乗車券兼電子マネー、Suica(左)、セブン&アイグループの独自電子マネー、nanaco(右)。いずれもプリペイドタイプの電子マネーで、カードタイプと携帯用の両方がある

 FeliCaカードには会員証という用途もある。ドラッグストアのマツモトキヨシや、大手家電量販店のヨドバシカメラなどでは、FeliCaを内蔵したカードタイプの会員証を発行している。このほか、社員証や学生証にFeliCaが内蔵されているケースもある(2005年11月の記事参照)。大学や専門学校で講座の出欠を取ったり、社員の出退勤管理や、社員食堂での支払いに利用したりといった例もある(3月8日の記事参照)

ay_osaifu05.jpg FeliCaを使った会員証カードは、複数の機能を組み合わせたものが多い。特に多いのは電子マネーのEdy機能を組み合わせたもの。左はサークルKサンクスのポイントカード、右は全日本空輸のマイレージカード

おサイフケータイの心臓部「モバイルFeliCa」

 これらカードタイプのFeliCaの機能を、携帯で利用できるようにしたのがモバイルFeliCa ICチップだ。モバイルFeliCa ICチップを搭載した携帯を通称“おサイフケータイ”と呼ぶ。おサイフケータイはドコモが登録商標を持っているが、通称としてはNTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリア共通で利用することになっており、オレンジ色のロゴもほぼ同じものを利用している。基本的な仕組みは同じだが若干の違いもあり、各キャリアはおサイフケータイを共通の愛称としながらも、ドコモは「iモードFeliCa」、auは「EZ FeliCa」、ソフトバンクは「S! FeliCa」というサービス名称もそれぞれ持っている。

 おサイフケータイはカードタイプFeliCaと同様に、チップやアンテナといったハードウェアを内蔵しているが、もっとも大きく異なる点は、モバイルFeliCaの場合、FeliCaチップに対応した専用アプリをインストールすることによって、さまざまな機能が可能になることだ。

 現在販売されているおサイフケータイには、EdyやQUICPay、iDなどの決済用アプリがプリインストールされており、ユーザーが各種設定を行えば利用できるようになる(どのアプリがプリインストールされているかは、通信キャリアによって異なる)。ほかのサービスを利用したい場合は、サービスに対応したアプリを自分でダウンロードし、初期設定をすることで機能を追加できる。この点が、入手するとそのまま使えるが、実質的に1つのサービスしか利用できないカードタイプFeliCaと異なる点といえる。例えばEdyカードをSuicaの改札にかざしても改札は通れないが、Suica用アプリとEdy用アプリの両方をインストールしたおサイフケータイなら、ユーザーは1つの携帯電話で、駅の改札を通ることも、Edyで買い物をすることもできるのだ。

おサイフケータイのメリット

 カードタイプのFeliCaが携帯電話に入ることで、どのようなメリットがあるのだろうか。カードに比べ、おサイフケータイには以下のようなメリットが考えられる。

  1. 1つの携帯にまとめられる
  2. 通信機能がある
  3. 本人認証により、セキュリティを高められる
  4. ロック機能がある

 まず1つは、複数のFeliCaカードを1台の携帯にまとめられることだ。カードタイプのFeliCaは単機能なものが多いが、携帯電話なら前述のように、アプリの数を増やすだけで、さまざまなサービスを利用できるようになる。たくさんのカードを持ち歩くのは面倒だし財布もかさばる。それが携帯電話1台で済めば、ユーザーにとって大きなメリットだ。

fig_mobile_02.gif おサイフケータイであれば、複数のFeliCaカードを1台の携帯にまとめられる

 アプリだけでなく、ポイントやマイルもまとめられる。例えば、am/pmやヨドバシカメラなどはEdyに対応するポイントカードを発行しているが、カードタイプの場合、それぞれのカードに電子マネーをチャージして、それぞれ使うということになり面倒だ。それがおサイフケータイなら、1つのEdyで両方のポイントサービスに対応できる。また、Edyを利用するとANA(全日空)のマイルを貯めることができるのだが、おサイフケータイにANAのサービスを導入しておけば、お店のポイントとANAのマイルを同時に効率よく貯めることができる。

fig_mobile_03.gif Edy連動の会員証やポイントカードを複数使っている場合は、カード別に持つよりもおサイフケータイにまとめたほうがメリットが大きい。Edyのチャージが複数のカードに分散しない上、ANAのマイルのようにEdy決済であれば利用店舗を問わずに付くものは、他の事業者が提供するポイントとダブルでためることができる

 2つ目は携帯電話の液晶画面と通信機能を利用できることだ。これによって、カードタイプのFeliCaにはできなかったさまざまなことが可能になる。携帯電話だけで電子マネーの残高や利用履歴を確認したり、指定した銀行口座からオンラインチャージをしたり、といった操作だ。カードタイプではチャージや残高確認のために別の機器が必要になるが、携帯電話ならいつでもどこでも単体で行える。

 最後が本人認証とセキュリティだ。例えば従来は、チケットをオンライン購入した場合、発券するときには予約番号や暗証番号など、いくつもの数字を入れて初めてチケットを発券できた。しかしアプリとFeliCaチップが連携することで、面倒な番号入力が不要になり、このような本人認証のためのオペレーションが非常に楽になる。

 携帯電話を落としたりなくしたりした場合は、キャリアのオペレータに電話をかけたり(ドコモの「おまかせロック」、auの「安心ロックサービス」)、端末の遠隔ロック機能を利用したりして、FeliCaを含めた携帯電話の機能にロックをかけ、第三者に使えないようにできる。無記名のSuicaカードやEdyカードでは落としてしまったら泣き寝入り、という可能性が高いが、携帯電話なら自分で不正使用を防止できる。

 ロック解除には、生体認証を取り入れたおサイフケータイも増えてきている。顔認証、声認証など方法はいくつかあるが、日常的に利用するなら指紋認証機能を搭載した携帯がオススメだ。

ay_osaifu06.jpg 「F903iX HIGH-SPEED」。最近の富士通製ドコモ端末には、本体裏側に指紋認証センサがあり、端末を閉じたままでロック解除ができる。複数のFeliCaアプリ(iCアプリ)をインストールしている場合、アプリごとにロックをかける/かけないを設定できるなど、使い勝手が良い

新しいモバイルFeliCaチップの特性

 ドコモの903iシリーズやauの2007年春モデルからは、新バージョンのモバイルFeliCaチップが搭載されるようになった。メモリ容量が従来の約3倍にアップし、ユーザーはより多くのサービスを登録できるというメリットがある。

 また、FeliCaチップ同士で通信できるようになったため、新バージョンのFeliCaチップを搭載した端末同士をかざすと、携帯内のデータを送受信できるようになった。自局電話番号やアドレス帳情報、画像ファイルなど、これまで赤外線通信でやりとりしていたようなものを送受信できる。

ay_osaifu07.jpg ドコモのFOMA 903iシリーズ同士でFeliCaチップを使った通信を行っている様子。新バージョンのFeliCaチップには近距離通信機能がついているため、対応端末同士をくっつけるようにすると通信できる。自局電話番号やアドレス帳情報、画像ファイルなど、従来赤外線通信でやりとりしていたようなデータを送受信できる

 対応するリーダー/ライターから電子クーポンを入手できるドコモの「トルカ」の仕様も拡張された。変更点は大きく2つある。1つは、リーダー/ライター側から、おサイフケータイの中にあるトルカを読み取れるようになったことだ。従来は、リーダー/ライターはトルカを携帯に送ることはできても、読み取ることはできなかったため、クーポンを利用するには、ユーザーが端末内からトルカを選んで液晶画面に表示し、店員に見せる必要があった。しかしリーダー/ライターから端末内のトルカを呼び出せるようになったことにより、たとえばiDやEdyなどで決済をした場合、支払いと同時に使えるトルカがあるかどうかチェックし、ない場合には次回来店時に利用できるトルカを発行する、などのアクションが可能になる。

 もう1つは、トルカに日時の制限や再配布不可指定などを付けられるようになったことだ。新しい仕様では「1回限り/○回以内なら使える」や「今年いっぱい有効」といった制限を付けることができるので、店舗としても発行しやすく、利用履歴やユーザーのトラッキングができるようになった。

 トルカに関しては、現時点で対応しているサービスが少なく、利用できる店舗もまだ少ない(2006年12月の記事参照)。しかしマクドナルドが10月以降トルカを使ったサービスを行うと発表(2月26日の記事参照)するなど、徐々に使える場所が増えていく見込み。電子クーポンの分野は2007年の注目ポイントといえそうだ。

 なお、auでもトルカとほぼ同様のサービス「auケータイクーポン」の提供を開始しており、春モデルの端末から対応している(1月18日の記事参照)

今さら聞けない、おサイフケータイの基礎知識(後編)

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