電子キャビネットの非接触ICはFeliCaが主流にSECURITY SHOW 2007

» 2007年03月07日 03時18分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 “鍵の管理”から社員証を使った電子錠へ。企業の機密書類などを保管するキャビネットの施錠手段として、非接触ICチップFeliCaを使うシステムが増えてきた。「SECURITY SHOW 2007」に出店している各社は、「FeliCa対応のニーズが高い」と口を揃える。

 「みんなFeliCaカードを共通カードとして使っている。特に入退室管理のカードと共通にしたいというニーズが強い」。そう話したのは、FeliCa対応の電子キャビネットを展示しているコクヨ。

 従来の鍵を使ったキャビネットの管理では、施錠という意味は果たしても「誰がいつキャビネットを開いたのか」というログの保管は難しい。これを解決するため電子化する際には、ICカードの種類が増えることを嫌い、既に入退室用に使われているFeliCaカードを流用したいというニーズが高い。

 同社は、サーバで各キャビネットを一元管理するシステムだけでなく、配線や電源供給もなしで単独で動作する「セキュア収納スタンドアローンタイプ」も展示しており、“鍵ではなくFeliCa”のニーズが高いことを伺わせる。

 岡村製作所の「InfoCabin」や「パーソナルロッカー」も、すべてFeliCaを使う。非接触ICには、国際的に使われるMifare(TypeA)や、メモリ容量が大きな高機能タイプのeLWISE(TypeB)も存在する。しかしJR東日本のSuicaや電子マネーEdy、そして「おサイフケータイ」の普及もあり、「最近では圧倒的にFeliCaが多い」(非接触ICを使ったプリントソリューションを展示している富士ゼロックス)という状況だ。

 デファクトスタンダードとしてのFeliCa対応が見えてきた電子錠だが、コスト面はまだまだ課題が残っている。読み取り機だけでなく、制御用の基板、ログを保管するメモリ、そして電子錠そのものが、シリンダー錠と比べてまだまだ高価だからだ。コクヨの電子キャビネットの場合、制御装置1台のもので定価40万円。8つの読み取り機と制御装置を持つ岡村製作所のパーソナルロッカーは、シリンダー錠タイプの5倍近い価格となる135万円の値付けがされている。

 まだまだ高価だが、管理の容易さ、利便性があるのは確か。ログの保持などの機能強化とともに、“施錠といえばFeliCa”と広く認識されることが普及の第一歩となりそうだ。

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