KDDIは11月16日、国内で初めてデジタルラジオに対応した携帯電話「W44S」を発表した(11月16日の記事参照)。FMラジオを搭載した機種はこれまでにも多数登場しているほか、NTTドコモの「RADIDEN」のようにFMラジオに加えてAMラジオの受信に対応した機種などもあったが、デジタルラジオへの対応は携帯電話としては本機が初めてだ。
3セグメントのデジタルラジオは、従来のFMラジオと比べて格段に情報量が増えており、音声だけでなく映像やデータなども放送できる、さまざまな可能性を秘めた放送サービスとして注目を集めている。従来なかったサービスであり、ある意味ワンセグを超える部分もあるだけに、KDDIもエフエム東京も、力のこもった説明を行った。
KDDIの小野寺正社長兼会長は、FMラジオが受信できる「EZ・FM」サービスに対応した端末「A5503SA」を2003年秋に発売して以来、放送中の楽曲名やアーティスト名が表示できる便利さや、着うたフルなどのダウンロードやCDの販売との連携機能が好評を博し、順次対応機種を拡大してきたことを紹介。今秋、EZ・FM対応携帯が累計1000万台を超えたことを明らかにした。
そして新たにサービスが始まるデジタルラジオは「従来のFMラジオ以上に携帯と連携したさまざまなサービスを提供できるポテンシャルがある魅力的なサービス。新たなラジオ放送の楽しみ方を提案できるだろう」(小野寺氏)と期待を寄せた。
12月1日からデジタルラジオサービスを本格的に開始するエフエム東京の後藤亘会長も「3年前に携帯電話にFMラジオを付けていただいたことが、ラジオの復活に大きな役割を果たした。今回デジタルラジオが新たに携帯に搭載されることで、また大きな威力を発揮して新しい世界が出てくる」と熱い思いを話した。
「デジタルラジオの世界は、今までのラジオの概念を超えたところに魅力がある。従来のラジオが持つ、音声放送ならではのイマジネーションの世界をベースに、映像を取り込んで、さらに想像力を引き立てるトリガーになればと考えている」(後藤氏)
エフエム東京では、現在実用化試験放送の中で1日あたり7〜8時間の番組を放送しているが、12月1日からは1日20時間の放送体制を築いて視聴者に番組を届けていく。ちなみにデジタルラジオは、ワンセグのようなサイマルキャストではなく、独自の編成で番組を放送する。音声だけでなく、映像も放送できるため、テレビのような番組も作れる。
「夢にまで見ていた携帯電話による3セグメントデジタルラジオの受信。この新機種によって多くの人にデジタルラジオを気に入っていただければやりがいがある。今後は本当にいい番組を作って行かなくてはならない。デジタル時代の“JET STREAM”のような象徴的な番組を作りたい」(後藤氏)
このデジタルラジオが視聴できる国内初の携帯電話がW44Sだ。W44Sでは、ワンセグとデジタルラジオ、EZチャンネルプラスがシームレスに楽しめる「au Media Tuner」というアプリを搭載している。
デジタルラジオは音楽や高音質にこだわり続けたエフエム東京が開始するサービスということで、「同じく音楽や高音質にこだわってきたauとはぴったりの組み合わせ」だとコンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏は胸を張る。
高橋氏はデジタルラジオについて「auでは従来から、ユーザーが音楽に触れる“タッチポイント”、つまり音楽を楽しむためのツールを1つ1つ増やしてきた。LISMOやEZ Music、EZ・FM、聴かせて検索などと同様に、デジタルラジオ対応もタッチポイントの1つ」だと話す。
エフエム東京が提供する3セグメントのデジタルラジオは、テレビのデジタル放送のように、単純にアナログだったものをデジタルに置き換えたものではない。またワンセグのように、デジタル放送で流している番組をサイマルキャストで放送しているわけでもない。音声に加えて、映像やデータも放送できるまったく新しい放送サービスだ。音声のコーデックにはHE-AACを採用しており、ビットレートは64k〜96kbpsと着うたフルよりも高音質だ。放送波を利用したファイルのダウンロードサービスも提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング