Yahoo! Japanはソフトバンクと何を目指すのか――ヤフーに聞く Interview: (1/3 ページ)

» 2006年08月05日 04時23分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 現在、携帯業界で最も注目されているトピックスが、ボーダフォンを買収したソフトバンクの戦略だろう(3月17日の記事参照)。徐々にその動きを見せ始めてはいるものの、ボーダフォンからどう変わるのか、どのようなサービスやビジネスを展開するのか、その手札の多くは伏せられたままだ。

 しかし、ソフトバンクが持つカードの中で、“スペードのエース”がYahoo! Japanであることは間違いない。いわゆる「ヤフー」は、国内トップのポータルサイトであり、その集客力とメディアとしての規模は強力だ(3月17日の記事参照)。Yahoo! Japanとソフトバンクの携帯電話事業の連携・融合が、携帯電話業界に“ソフトバンク・ショック”が起こるか否かの鍵になるだろう。

 今日の時事日想は特別編として、Yahoo! Japanモバイル事業部事業部長の松本真尚氏にインタビュー。Yahoo! Japanのモバイル事業の取り組みや、ソフトバンクとの連携・融合とのスタンス、今後のサービスについてのビジョンなどについて聞いていく。

Yahoo! Japanモバイル事業部事業部長 の松本真尚氏

ドコモ、au、ボーダフォンへの“距離感”は等距離

 Yahoo! Japanのモバイル向けサービスは、「Yahoo! モバイル」として3キャリア向けに展開されている。約50ほどのサービスが用意されており、モバイルだけで「3キャリア合計で、月間14億ページビューほど」(松本氏)だという。

 「各キャリアからのPVの比率は基本的にシェアの分布に近いですが、定額制の普及率が高いauからのご利用が多いなど、完全に(3キャリアの)シェアのとおりにはなっていません。やはり定額制が普及していることが、インターネット的にYahoo!をお使いいただけるポイントになっています」(松本氏)

 Yahoo! モバイルはPC向けYahoo!と基本的なサービスが共通化されており、オークション、ショッピングなど各種サービスは、同じYahoo! Japan IDで利用できる。PCですでにYahoo!を使っているユーザーならば、そのままYahoo!モバイルの各種サービスが利用できる。シームレスに「PCやケータイを意識するのではなく、Yahoo!の体験を広げていくもの」(松本氏)だという。

 「(Yahoo! Japanの立場では)PCを使っているユーザー、ケータイを使っているユーザーをそれぞれ分けて見るという考えはありません。すべて『インターネットユーザー』という見方をしています。このインターネットユーザーすべてにYahoo!のサービスを展開していくというのが基本的なスタンスになります」(松本氏)

 PC向けポータルサイトとしてのYahoo! Japanは、裾野が広いことで知られている。利用者層の性別や年齢分布は、他のポータルサイトと比べて偏りが少ない。Yahoo! モバイルも同様に、PC向けサービスを特定の年齢層や性別で補完するのではなく、「裾野の広い利用者層」を作り上げるものと言えそうだ。

 「Yahoo!モバイルについては、全キャリアに対してすべてのサービスやコンテンツを提供する方針で進めています。この点で、ドコモ、au、ボーダフォン(ソフトバンク)との距離感は等しいと言えるでしょう」(松本氏)

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