2006年、携帯電話業界はどうなる? 2005年の携帯業界を振り返る(5): (1/6 ページ)

» 2005年12月31日 23時59分 公開
[聞き手:房野麻子,ITmedia]

ITmedia これまで2005年の端末や機能、サービスを振り返ってきましたが、それらを踏まえて2006年はどうなるのか。何が起きるのか、どんな影響があるのか、を予想していきたいと思います。

 →2005年の携帯業界を振り返る(1):3Gの成熟で進む、携帯のセグメント化と多様化

 →2005年の携帯業界を振り返る(2):どうなる、携帯のビジネス利用

 →2005年の携帯業界を振り返る(3):「おサイフケータイ」「iチャネル」「トルカ」普及の条件

 →2005年の携帯業界を振り返る(4):「プッシュトーク」「安心ナビ」「災害伝言板」とPDCの今後の行方

「モバイルSuica」で分かった、おサイフケータイの今後の問題

ITmedia まず、1月28日にはおサイフケータイで利用できる新サービス「モバイルSuica」が始まります

斎藤 おサイフケータイの話の部分で、端末が増えるといい、というような話をしていましたが、実は「おサイフケータイ、そんなに急ぎすぎてもいけないなあ」と思ったのが、モバイルSuicaの「D902i」未対応事件です(12月3日の記事参照)。「作ったけど対応できませんでした」という端末がいっぱいあっても困る。少しずつ少しずつスキルを貯めていかなくてはいけないんですよ。いろんなサービスが今後も出てくるのは当然予想できるので、端末メーカーもノウハウを貯めながらラインアップを拡充していく、というのが現実的な線なのだろうな、という気がしました。

神尾 FeliCaのアンテナとリーダー/ライターの相性もあるので、過去に販売した端末のサポートもしなくてはならない。この検証が大変らしいですよ。まだ累積の端末数が少ないのでなんとかなっていますが、これから増えると困るというのは、長崎バスでも伊予鉄でも言っていました。

 携帯電話の場合、アンテナ位置がカードのように一定ではないし、表面素材の材質や本体基盤や他のデバイスとの位置関係も機種によって異なる。カード型のように(実装状況が)一定ではないので、リーダーライターからの距離や読み取り向きで「機種による誤差」がでてしまうんです。実際、長崎県バス協会の事例では、おサイフケータイの機種ごとに窓口のリーダーライターに設置する向きを変えるようにマニュアルに書かれている

斎藤 ある程度ノウハウが固まるまでは、一挙に全機種搭載してしまうと、余計混乱が増すだけだと。それに、まだいつなのかは分かりませんが、FeliCaチップの容量アップも控えているはず。それが分かっているときに古いチップで無理矢理端末数を増やしても誰も幸せにならないと思います。端末は増えてほしいですけれど、使えない端末が増えて混乱、というのは最悪のパターンです。

ITmedia D902iの件は、ハード的に問題が起きたのが初のケースでしたね。

斎藤 それはJRが求める基準が、関係者の予想を超えて高かったからでしょう。判断基準が非公開というのも問題。全機種モバイルSuicaをうたっていたau端末でも、改修が必要になってしまったあたり、不透明感が残ります。

ITmedia モバイルSuicaを利用するためには、ビューカードの会員にならなくてはなりません。モバイルSuicaが始まると、ビューカードの会員が増えるかも。

斎藤 ビューカードはすごく審査が厳しくて、3週間くらいかかるらしいですよ。だから初日の1月28日から使うには、今すぐ申し込んでもギリギリ。早く申し込んでおかないとマズイですよ。

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