「勝手アプリ」がないBREWアプリの場合、アプリをどのように流通させるか、は非常に重要な問題だ。
ゲームのように、配信から告知、課金まで流通システムができあがっているものはいいが、それ以外のジャンルのアプリは「どのように売るか」が非常に難しい。アプリの性格、対象ユーザー、そして開発メーカーがKDDIやクアルコムとどのような関係にあるかによっても、ビジネスモデルは大きく変わってくるからだ。
ゲーム以外のBREWアプリには、どのようなビジネスモデルがあり得るのか、ここでは2つのソフトを例に見ていこう。前編となる本稿では、メディアソケットが開発したBREWアプリ「聴かせて検索」を取り上げる。
「聴かせて検索アプリ」を開発したメディアソケットは、BREWが出てきて間もない頃から、BREWを使ったアプリケーション開発に取り組んでいる会社である。2001年に米QualcommとBREWアドバンスドデベロッパーMOUを締結、その後2003年、2005年と2回にわたり、米国で開かれた「BREW AWARD」で「最優秀コミュニケーションアプリケーション賞」を受賞している。
メディアソケットCTOの西本雅一氏は、早くからBREWに着目した理由について「携帯の世界を広げる可能性を感じた。BREWを使えば“携帯ならでは”のアプリを作れそうだと思ったから」と話す。「特に、通信に対していろいろオープンである点がいい。コミュニケーション用アプリに使うことに可能性を感じた」
メディアソケットでは、自社のことを「つなぎ屋」と呼んでいるという。メディアソケットのポリシーは「携帯電話を中心として、気持ちをつなぎ、技術とサービスをつなぎ、音楽や映像を携帯電話につなぎ、携帯と他メディアをつなぐこと」。特に“人と人をつなぐ”メールアプリには力を入れており、BREW AWARDで受賞したBREWアプリは、1回目が動画メールサービス、2回目が法人向けのメールアプリ(2月28日の記事参照)である。
「聴かせて検索」は、テレビなどで流れている音楽を携帯電話に聴かせると、曲名などを検索して教えてくれるというサービスだ。
仕組みとしては、携帯がマイクやテレビチューナーから検索したい音を取り込み、それをデータ化して、米Gracenoteのデータベースへ送る。データベースには、CDの楽曲から取り出した「FingerPrint」(指紋の意味。音の波形から特徴的な部分を抽出したデータで、音の骨組みのようなもの)が登録されており、携帯から送られてきたデータとFingerPrintを照合して曲名を検索し、携帯端末に結果を送る。
検索された楽曲は、タイトル、アーティスト名などが表示されるだけでなく、着うたや着うたフルがあればダウンロードサイトへ誘導、au Recordsで販売されている音楽CDがあればそのまま購入できる。
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