ドコモ四国愛媛支店が考える「おサイフケータイ戦略」(前編)神尾寿の時事日想: (1/3 ページ)

» 2005年09月01日 16時53分 公開
[ITmedia]

 伊予鉄道のおサイフケータイ対応で、もう1つ印象的だったのが、NTTドコモ四国愛媛支店が実に積極的に関っている点である。

 昨日のインタビューでも明らかにされたが、「い〜カード」の実証試験にはドコモ四国愛媛支店が端末を提供し、サービス検証にも深く関わっている。伊予鉄のICカード事業会社であるe-カードには、ドコモ四国が資本参加している。ドコモ四国愛媛支店は「おサイフケータイソリューション」を通じて、社会インフラ整備・街作りに深くコミットしているのだ。

 今日と明日の時事日想は特別編として、NTTドコモ愛媛支店の大西一秀氏へのインタビューを掲載する。地方のドコモにおける“おサイフケータイ普及戦略”について聞いた。

NTTドコモ愛媛支店の大西一秀氏

全支店で普及促進プロジェクトを結成

 当たり前のことだが、おサイフケータイは使える場所がなければ意味がない。これまでの携帯電話はネットワーク側のサービスが主体だったので、端末を売るだけでユーザーの利用が始まるが、リアル連携を前提とするおサイフケータイには「端末を売るだけではダメ」という面がある。

 ドコモ四国愛媛支店では、2004年7月におサイフケータイが発売された時、おサイフケータイが利用できる場所の整備が、端末の販売促進・普及において重要だと判断。支店内におサイフケータイのためのプロジェクトを作った。

 「(プロジェクトでは)おサイフケータイの普及には戦略性が必要だと考えました。おサイフケータイ対応の携帯電話は、ドコモグループが目指す『生活インフラビジネス』の鍵になるものですから、これをうまくリリースして市場に適合させていかなければならない。非常に重要なミッションと考え、全支店体制で取り組みました」(大西氏)

 愛媛支店のプロジェクトでは、おサイフケータイ普及戦略に「3本の柱」を用意。それを段階的に実現する事で、県内でのおサイフケータイの認知・利用促進が効果的に進むように計画した。

まずは道後温泉に「Edy」を導入

 計画の第1段階で重視されたのが、まずは「おサイフケータイを使える場所を作る」という点だった。これは2004年8月から2005年の2月までの期間で取り組まれた。

 「(おサイフケータイを)特定の地域で面的に使えるようにする。これが計画の第一段階です。おサイフケータイが使える場所は、ポツンポツンと点在していても、本当の便利さをお客様が感じる事ができない。逆に(使える場所が少ないと)不便に感じられてしまう可能性がある。だったら特定の地域でいいので、『面エリアとして使える』場所を用意しようと考えました」(大西氏)

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