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トップアスリートOBが語る、スタイル維持の秘訣
「まずは“歩くこと”から始めよう」―― 荻原次晴さん

 仕事に遊びに飲みにバリバリ忙しい、働き盛りの「+D Style」世代。健康に自信があるつもりでいても、30代を過ぎたある日にふとウエスト周りの脂肪が気になったり、運動やダイエットをしても思うように体重が落ちなくなったと嘆く読者も多いのではないだろうか。

 普通のサラリーマン生活を送っていてもそうなのだから、引退後に運動量が急速に低下してしまうアスリートの場合はなおさらである。1998年の長野オリンピックにてスキー・ノルディック複合で日本を代表し、日本中を興奮させた“双子の荻原兄弟”、現在はスポーツキャスターとして活躍する荻原次晴さんも、引退後にウェイトが増えてしまったのだそうだ。

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 「僕の食生活のモットーは“好きなものを好きなだけ”。選手時代の運動量をキープすることは無理ですし、汗をかかない生活が3年続いた時、ウエイトはずいぶん増えてしまっていたんです。ところが、ある撮影のためにからだを絞らなければいけなくなってしまった。それで一念発起して、ウォーキングとランニングをすることにしたんです」

 近所の公園で決まったコースを走ることにした荻原さん。公園までの往復のウォーキングで30分・公園内のランニングで30分・合計約1時間を夕食前に走る、ということを日課にしたところ、ゆるやかに体重が落ち始めて、4カ月で4〜5キログラムのダイエットに成功!

 「友人が『痩せてカッコ良くなったね』と言ってくれたのが励みになりましたし、今ではランニングはすっかり日課になりましたね。僕はお酒も大好きで、ビールや焼酎などを好んで飲んでいます。美味しく晩酌するために走っているといってもいいかもしれない(笑)。ほんとうはお酒を控えて走り込めば、もっと早く痩せられるんだろうけれど、過度な我慢は続かないですよね。特に、仕事が忙しい30代の方は、相当の精神力で挑まないと、食事制限や運動を習慣づけるのは難しいと思うんです。“運動をしていない俺はカッコ悪い”と、イメージトレーニングでモチベーションを上げることも必要かもしれません。そしてライフスタイルを大きく変えずに、今自分ができる小さなことから始めていくのが、メタボリック対策を成功させるポイントだと思います」

荻原次晴03 荻原次晴

1998年長野オリンピック・スキー・ノルディック複合日本代表。幼少の頃から双子の兄・健司とスキーを始め、2人で切磋琢磨しノルディック複合で日本を代表する選手となる。現役引退後は、ウインタースポーツ普及のためにメディアや講演会の活動、ノルディックのツアーのプロデュースなどを行っている。

<年内の参加予定ウォーキングイベント>
10月7日「ピンクリボンスマイルウォーク 東京大会」
10月13日「ピンクリボンスマイルウォーク 仙台大会」
10月28日「ピンクリボンスマイルウォーク 神戸大会」
11月23日「宇都宮歩け歩け大会」
11月24日「海峡のまち 下関歴史ウォーク」

「歩くことを見つめ直す」―― 勅使川原郁恵さん
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 1998年長野、2002年ソルトレイクシティー、2006年トリノと、スピードスケート選手としてオリンピックに3回の出場を果たしている、スポーツコメンテーターの勅使川原郁恵さんは、現役時代の方が冷えなどで悩んでいたのだという。

 「常にスケートリンクの上にいましたので、どうしてもからだが冷えてしまい、半身浴などで温めることを心がけていました。現在、私は日本ウォーキング協会の親善大使としてウォーキング普及活動を行っており、普段もなるべく交通機関を使わずに歩くことを心がけています。甲州街道や中山道も踏破しましたし、休みの日は30キロメートルは歩いていますね。私の場合はむしろ、引退後の方が体調が良くなったんですよ」

 勅使川原さんは、フードアナリストの資格も取得しており、「食」と「歩」の視点から「美」と「健康」へのアプローチを行っている。

 「メタボリック対策には、代謝の良いしっかりとしたからだづくりが大切です。選手時代に実感したのは、『人をつくるのは食べもの』だということです。1日350グラム以上の野菜と、炭水化物やたんぱく質など栄養バランスを心がけた食事を、3食しっかりとりましょう。特に朝食は大切です。外食が多い方は、野菜ジュースを飲んだり、和食を選ぶように心がけるのがおすすめです」

勅使川原郁恵02 勅使川原郁恵

元五輪代表ショートトラック・スピードスケート選手。現役引退後は、明るいキャラクターと言動で、スポーツコメンテーターとして第2の人生をスタート。日本ウォーキング協会の親善大使として活躍するとともに、ウォーキング指導員の資格を取得、ウォーキングの普及活動に貢献している。
オフィシャルブログ:「あたしがてっしーです

<年内の参加予定ウォーキングイベント>
10月7日「岐阜歩け歩け大会」
10月14日「岐阜あるこまいかウォーキング」
11月2〜4日「日本スリーデーマーチ」
11月11日「勅使川原郁恵さんとふれあい健康キャンペーン」
12月1日〜2日「グアム国際ツーデーマーチ」

 ウィンタースポーツのアスリートとしてもともと親交のあった勅使川原さんと荻原次晴さん、そして現在は参議院議員を務める兄の健司さんたちは、「歩くことを見つめ直すことによって、何かできないだろうか」と意気投合し、今春に「R9」というプロジェクトユニットを結成した。

 「“歩く”ことは誰にでもできる手軽で身近な運動です。走っている時に会話はできませんが、歩くスピードなら会話が共有できてコミュニケーションの場にもなります。まずは自分たちが勉強しながら、さまざまな活動を広げていきたいですね」(荻原次晴さん)

 「選手時代はスピードとのたたかいでした。引退して、歩く速度で世の中を見つめ直した時、大気汚染など身の回りの環境を知るきっかけにもなったんです。それになにより、美容と健康にとてもいいんですよ。これからは、女性も楽しめるウォーキングイベントもプロデュースしたいです」(勅使川原郁恵さん)

荻原次晴さん&勅使川原郁恵さん

 現在、ウォーキング人口は3700万人(!)とも言われているそうだが、メタボリック対策のみならず、自分と周囲を見つめ直すきっかけとしても、はじめの一歩を踏み出してみたい。

R9 R9

一歩踏み出せば始まる、動き出すことで新しい世界が広がる、そのはじめの一歩を踏み出す「あるく」ことを推進し、現代社会に起こる様々な問題に対して何ができるかを考えるプロジェクト。プロジェクトリーダーは荻原健司・荻原次晴・勅使川原郁恵さんのトリオ。

http://sports.nifty.com/dosports/r9-project/

取材・文/似鳥 陽子
撮影/永山 昌克
取材協力/(株)スポーツビズ