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+D Styleセレクト “HQ”が高い、おすすめリストランテ&バー
NY仕込みのHQ――「Union Square Tokyo」

 「特別な1日」のための店選びをする時に、写真や文章だけでは分かりにくい重要な要素が、HQ(ホスピタリティ・クオリティ)である。たとえ味や雰囲気が良くてもHQが低ければ、気合いを入れた店選びも台無しになってしまう可能性が……。

 ホスピタリティとは、つまり”おもてなしの心”。HQ値が高いほど、顧客の細かなリクエストに応える、心配りの行き届いた店ということになる。とはいえ、明確に説明するのがなかなか難しい“HQの高さ”とは、どういったことを言うのだろう。

 昨年の春、東京ミッドタウンにオープンした「Union Square Tokyo」は、ニューヨークで20年の歴史があり、マンハッタンで最も愛され続けている「Union Square Cafe」の姉妹店である。

 同店のサービスは、「レストランの料理やインテリアが良いのは当たり前。もっとも大切なのはホスピタリティである」という創業者のダニー・マイヤー氏の信条に、そのまま基づいている。

Union Square Tokyo

 「アメリカでは“サービス”と“ホスピタリティ”をはっきり二分化しています。カジュアルな料理を出す、オーソドックスなインテリアの店である『Union Square Cafe』がZAGATで高い評価を得ているのは、HQのレベルの高さからです。細かいサービスならば、日本の方がレベルは高い。ですが、レストランで過ごす時間の楽しさを提供する意識は、むしろアメリカの方が高いんです」(茂木秀夫支配人)

 そんな茂木さん自身もアメリカの外食産業を2年間経験しており、HQの大切さを肌で実感したサービスマンのひとりだ。

 「当店では、常に“Your Side”――お客様に喜んでいただくために、お客様の目線に立って行動することを心がけています。お客様の“感動”とは、我々への期待値を20%以上上回る心配りができた時に生まれると思っています。そのために、事前に綿密な打ち合わせや段取りなどをご提案させていただくこともございます。大切な日やサプライズのイベントなどの時は、ぜひご相談ください!」

 訪れたすべての人の“感動”のために、全力で尽くすことをモットーとする「Union Square Tokyo」。大切な日を演出するための、頼もしいリストランテとして、ぜひ押さえておきたい。

Union Square Tokyoオリジナルメニュー
『Union Square Tokyo』

東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス DB-112(B1F)
03-5413-7780
平日  11:00〜15:00(L.O.14:00)、17:00〜23:00(L.O.22:00)
土日祝 11:00〜23:00(L.O.22:00)
http://r.gnavi.co.jp/a068865/

目指したのは“街中のディズニーランド”――「BANQUE」

 六本木・ミッドタウンのほど近く、路地のビルの地下へ降りると、岩が立ちふさがるかのような扉が現れる。中へ足を踏み入れると広がる空間に、初めての方は驚くに違いない。

 古城のように秘密めいた、ちょっと隠微な空間……。高いHQに加えて、非日常的な空間を提供しているのが「BANQUE」である。

 「当店が目指すのは“街中のディズニーランド”。ここだけにしかない、only oneの店舗を作りたかったんです。大人になると、人それぞれにさまざまな現実をお持ちですよね。そんな日常を忘れることのできる場所でありたいと思っています」(横川毅副社長)

 “店に入ってから帰るまで、贅沢な非現実感を継続させる”ことに徹底的にこだわっているため、化粧室にすらもアッと驚く仕掛けがある。どんな仕掛けかというと……、最初に入った時の感動が薄れてしまうため、ここでは“訪れた時のお楽しみ”としておきたい、スミマセン(汗)!

 1000種以上のストックがあるワインは、自然ワインから世界の古酒までさまざま。鰻の名店「野田岩」のうなぎ煮こごりや燻製、国内産の生ハムなど、美味しくて体に優しい“究極のお取り寄せ”メニューも楽しめる。非日常なインテリアや仕掛けに加えて、食の本質も追究しているのだ。

 「当店の理念は、食文化の向上に貢献するために、“可能な限り、最高の状態のものを”お出しすることです。今まで召し上がれなかったものも食べられるようになったと、喜んでくださるお客様もいらっしゃいます。当店がきっかけで、外食の楽しみ方が広がりましたら幸いです」

 “提供できる中で、可能な限り、最高の状態のものを”。この理念は、たとえば1000円台のグラスワインもリーデル社の最高級グラスでサービスされるなど、随所に現れている。

 「我々が売っているのは、ここで過ごす“時間”です。お客様へは価値ある質実を提供したいと思っております」と横川さんは語る。

 “感動”のひとときを過ごすには、サプライズの仕掛けだけではなく、“味・雰囲気・ホスピタリティ”のバランスがとれた店を選ぶことが大切なのである。

BANQUE
「BANQUE」

東京都港区六本木7-3-21 来山ビルB1F
03-3479-0098
月〜土 18:00〜27:00 最終入店
日・祝 18:00〜23:00 最終入店
年末年始休
http://www.banque.jp/

取材・文/似鳥陽子