+D Style 最新シネマ情報:映画「スター・トレック」、「いいからスポックだけでも見ておけ」

新しいスポックはまさにぴったりのはまり役。

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 スター・トレックはテクノロジーにおける基本中の基本だ。

 大学の英米語科に入ったとき教授から「聖書は読んでおけ」と言われ、King James Version、略称KJVという聖書を買わされた。そこからの引用が英語の文献では頻出するからだ。

 同様に海外のテクノロジー関連の記事を読もうとするときに避けて通れないのがSFテレビ、映画からの引用。特に、スター・トレックに登場するエピソード、フレーズ、テクノロジーがさまざまな形で取り入れられているので、知らないとかなり戸惑うことになる。“Beam me up”とか“Communicator”とか“Energize”とか“Cloaking”とかはすべてスター・トレック用語だと言っていいものだ。

 しかし、このスター・トレック。いちから学ぼうとするとかなりの苦労が必要だ。複数のテレビシリーズと映画があり、映画だけをみればストーリーラインを追えるかというとそうではない。かといって、テレビシリーズを最初から追いかけるのはかなりしんどい。1960年代のチープなSFXに最初から入り込むのは難しい。

 そんなスター・トレック初心者に最適の映画がある。それは5月29日から一般公開される「スター・トレック」だ。

 当初日本では「宇宙大作戦」と呼ばれた、スター・トレックの最初のシリーズ。ファンはTOS(The Original Series)と愛情を込めて呼ぶ。その登場人物と宇宙船の造形、魅力的なストーリーは、続くほかのシリーズでも何度となく語られている。特に、ジェームズ・T・カーク、ミスター・スポック、ドクター・マッコイの3人の存在は大きい。

 今回公開される映画「スター・トレック」は、この3人の最初の出会いを中心に進む。

 テレビシリーズでは、カークは最初から艦長(TOSでは船長)だ。スポックは最初から副長、マッコイは船医という立場。しかし、映画「スター・トレック」はその3人がまだそうなっていないときを描く。

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 なぜカークは最初からキャプテンとしての資質があったのか。映画シリーズでは、「コバヤシ丸」というエピソードがある。宇宙艦隊の育生組織であるスターフリート・アカデミーにおける訓練プログラムに、コバヤシマル・シミュレーションというのが出てくるのだが、その経緯をどういう形でクリアしたのか、という部分は古いトレッキー(スター・トレックのファン)を満足させてくれるだろう。

 TOSや続く映画シリーズでは描かれていなかった、カークの父親のストーリー。U.S.S.エンタープライズ号の前任の艦長であったクリストファー・パイクからカークがどのような形で艦長を引き継いだのか。その謎がこの映画で解き明かされる。

 また、人間とヴァルカン人との混血であるスポックが、まだ論理だけでは自分を抑えられない時期、そして母親とのエピソードも描かれているのだ。ちなみに母親役はウィノナ・ライダー。

 若かりし頃のスポックを演じているのが、テレビシリーズ「HEROES」で悪役サイラーであるザッカリー・クイント。ちょっと鼻の下が長い特徴のある顔立ちで、眉で演技をするちょっとユニークな俳優なのだが、トレイラーで彼のスポックぶりをみて、「ああ、これはもうシリーズでいける」と確信した。

 もう彼以外のスポックはありえない。初代スポックのレナード・ニモイはよい後継者に恵まれた。

 新しいカークはたしかにカークだし、マッコイもまあまあ。ウフーラは美人すぎるけどそれはそれでよい。ヒカル・スールーは日本人でないのは残念だが、最初からフェンシングの見せ場があるし、演技に力がある。スコッティーも雰囲気がでている。宇宙へ旅立ったジェームズ・ドゥーアンも喜んでいることだろう(関連記事:スター・トレック初代エンジニア「チャーリー」の魂、宇宙へ旅立つ)。

 SFXやクリーチャーはJ・J・エイブラムズっぽさがでて笑ってしまうところがあるのだが、トレッキーの気持ちを逆なでしたり、デザインセンスを大きく逸脱するところはなかったように思う。

 古いファンは安心してこの「スター・トレック」を見るといい。タイムライン、転送、復讐、といったスター・トレック特有のフックは見事に生かされている。新しい人は、ここからスタートして、TOSの名作をいくつかと、映画シリーズをみて、次世代のシリーズである「The Next Generation」(新スター・トレック)、最高傑作との呼び声も高い「Deep Space Nine」などをこれから見ていくことができる。なんとしあわせなことだろう。

宇宙……。それは人類に残された最後の開拓地である。そこには人類の想像を絶する 新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない。これは宇宙船U.S.S.エンタープライズ号が人類最初の試みとして5年間の調査飛行に飛び立つ前の、驚異に満ちた物語である。

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(C)2008 Paramount Pictures. Star Trek and Related Marks and Logos are Trademarks of CBS Studio Inc. All Rights Reserved.

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「スター・トレック」

監督:J・J・エイブラムズ

キャスト:クリス・パイン、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、カール・アーバン、エリック・バナ

5月29日(金)より丸の内ルーブル他全国ロードショー

配給:パラマウント・ピクチャーズ


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