杉山淳一の+R Style:第1鉄 西武特急レッドアロー号で芝桜に会いに行く (1/2)

肉食系鉄道ライター・杉山淳一が贈る、旅と鉄道がテーマの「+R Style」。日々の生活に+Railwayするだけで、毎日がぐっと楽しくなる――そんなコンセプトの新連載、第1回は西武鉄道に乗って、今が見頃の芝桜を見にいきます。

 「さぁ、旅に出よう」なんて気合いを入れなくても、旅の扉は身近な所に開いている。もしあなたが通勤電車を利用しているなら、休日はいつもとは違う駅で降りてみよう。例えばこの時期、西武鉄道なら、都心と逆の方向に向かうだけで花の里が待っている。

 西武鉄道は4月4日から5月6日までの休日と、4月20日から5月1日の平日に、池袋発西武秩父行きの特急電車「レッドアロー号」を増発する。平日は2往復を追加して合計18往復に。休日は3往復を追加して20往復になる。ゴールデンウィークの増発にしては運行開始日が早いけれど、その理由は、終点の西武秩父駅付近の羊山公園で芝桜が見ごろになるからだ。

ay_ccb01.jpg 西武鉄道の特急電車、レッドアロー号は全車指定席。池袋から西武秩父まで78分で結ぶ

池袋から西武秩父まで約1時間半の旅

 池袋から特急レッドアローに乗ってみよう。ドーム形の欧風な駅舎を出た列車は、右にカーブして勾配を上る。鉄道ファンにとって最初の見どころは、JRの線路を越えるところ。山手線だけではなく、湘南新宿ラインのさまざまな車両が通過する。地上に降りると下町風の住宅密集地。ここはまだ日常の世界だ。そんな景色が桜台の先で変貌する。立派なコンクリートの線路になり、高架の複々線区間となった。特急レッドアローは時速100キロメートルで疾走する。各駅停車を走行中に抜き去る瞬間は、鉄道ファンでなくても楽しいはず。

 このレッドアローの車両は10000系という。1993年にデビューした車両だ。車体側面にはNRAとデザインされた文字が入っている。これは「New Red Arrow」の略。先代レッドアロー号の5000系が初代「レッドアロー」で、その後継車だからNewが付いた。ちなみに5000系は6両編成で、10000系は7両編成。1両増えたけど1編成全体の定員は同じ。つまり、それだけ座席がゆったりと配置されている。二人掛けのシートはリクライニング可能でフットレストもついている。シートピッチは1メートル以上もあってとても快適。もちろんシートを回転させて4人グループで向かい合わせにできる。

 複々線区間が終わると石神井公園を通過。続いて大泉学園も通過。レッドアローは池袋を出ると所沢まで停まらないのだ。大泉学園駅は最近、発車ベルがアニメ「銀河鉄道999」のテーマ曲になった。原作者の松本零士氏の壁画もある。しかしレッドフローは通過してしまう。999のファンなら帰りにぜひ立ち寄りたい。車窓右手に電車の車庫が見えると保谷駅。これも通過してしまう。風景はずっと住宅街だけれど、このあたりから樹木が目立ち、武蔵野丘陵地帯に入っていく。

 所沢を出て西武新宿線を越え、しばらく走ると右手に大きな電車基地が見える。小手指車両基地だ。西武鉄道最大の電車の車庫で、電車の収容能力は346両。奥行きが長く、10両編成の電車がタテに3本はいるという。西武鉄道の様々な電車の他に、相互乗り入れする東京メトロの電車も見えるはず。飛行機好きはそのまま窓から目を離さないように。航空自衛隊の入間基地がチラ見できるぞ。

 遠くに山が見え始めた頃、レッドアローは飯能に到着する。ここで列車の進行方向が変わる。西武秩父まではあと40分ほどかかるから、前後の席のお客さんに声をかけて、シートの向きを変えておきたい。ここからがレッドアローの車窓のハイライトシーンだ。東飯能駅でJR八高線にタッチした後、風景はがらりと変わって山岳路線になる。武蔵丘車両検修場を過ぎると線路は単線に。やや急になった勾配を上りつつ、列車は右へ左へと車体をくねらせる。大都会を出発した列車が、約1時間後に山里を走っている。これがレッドアローの車窓の面白さだ。

ay_ccb02.jpgay_ccb03.jpg 横瀬駅付近で見つけた電気機関車(左)。普通電車なら停車時間の長い駅でちょっと下りてみるのもいい。ホームに停まっているのはライオンズカラーの西武4000系。4000系は秩父鉄道乗り入れのために作られた車両だ(右)

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