今回はMT、AT両方の試乗をさせていただきましたが、双方に共通して言えるのは「なんとキレ味鋭い走りなんだ!」って新鮮な感動です。
パイロット気分が味わえる計器類がずらっと並んだ、飛行機みたいなコックピットに身を沈めたら(実際センターメーター類の大きさはかなりのモノ! 目の前にすると迫力満点)、Zは従順にドライバーの意思をなぞります。
スポーツカーなのに、ハンドリングや足回りの性能はとっても素直。まさに“フェア”レディなんですよね。この心地いい人馬一体感はなんというか、アクセルペダルを踏むたびにワクワクしてしまう気持ちのよさなんです。この「官能的」な部分は先代以上。
今回のZは100ミリのショートホイールベース化が図られたことに加え、安全性はそのままに軽量化をされています。そのことによって生み出される軽快さ、走りのキレはピカイチ。最近のスポーツモデルにありがちなもったりしたドライブフィール、言うなれば「車重をパワーでカバー」的な小手先感が払拭され、完全に洗練されたと言ってもいいでしょう。
ATも先代の5速からマニュアルモード付き7速トランスミッションに進化。これまでATに関してはちょっと出遅れた感のあった日産ですが、これで胸を張って日常ユースカーにも肩を並べる使用感を実現しました。
実際、街中などの超低速域でもなめらかで、相当に扱いやすいです。いくらスポーツカーっていっても、日常使いに不便だとかわいさ半減しちゃいますものね。
しかし、MT大好きっ子な私からすると、やはり注目はMTモデル。国産ではすでにスポーツカー、しかもMTが設定されてる車種なんて虫の息。絶滅危惧種に指定して助成金出して保護してやんなさい! とモンクのひとつも言いたくなるくらいです。
だから、MT設定がまだあるっていうだけで相当ひいき目で見てしまうのですが、今回は世界初のMT用シンクロレブコントロールが搭載されたことで注目度5割増し。
これは電子スロットルの制御によってシフトダウンの際、自動的に最適な回転数までブリッピングしてくれるというもの。つまりヒール&トウを機械が代行してくれ、回転数を合わせてくれるんです。それによって変速ショックがなくなる非常に便利な機能。この恩恵を一番感じたのは、交差点のような90度カーブでした。ブレーキを踏み、4速から2速などに落とした時も、とてもスムーズに再加速が行えますし、単純に回転が合うってキモチイイ!!
上級者もしくはヒール&トウ大好きな人のために、オフスイッチが付いているのも、走りマインドを良く分かっていらっしゃる。
女性ももっとどんどんコレを使って、ダンナのZをMTで乗り倒してほしいって思っちゃいました。
しかもこんなに凝りまくったスポーツカーが300万円台というお得な価格設定にも注目していただきたいです。今年中にはハイスペック版であるバージョンニスモやオープンモデルであるロードスターの登場もささやかれていますから、こちらも待ちきれませんね。
Zはその女性的な雰囲気から、コックピットに座る人間を選ばない、懐深い貴重な国産スポーツだと思います。若い世代の男女にも、選んでもらいたいモテカーです。
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
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