+D Style News:「時計は格好よくなくては駄目」――“エディフィス”日本投入の裏側

カシオ計算機が新たに日本展開するアナログウォッチブランド「エディフィス」。1万〜7万円の価格帯で若者のビジネスユースを視野に入れたという、“ダイナミックかつアクティブ”な投入モデルと、その日本投入の裏側を紹介する。

 カシオ計算機の腕時計――そう言われると「G-SHOCK」を思い浮かべる読者の皆様も多いのではないだろうか。「寿命10年、10気圧防水、落下強度10メートル」という“トリプル10”をコンセプトに掲げ、発売から26年たっても色あせずに愛され続けているモデルだ。

 同モデルの人気から、“タフ”“カジュアル”“デジタル”といったキーワードを連想するカシオの腕時計だが、2月12日に発表されたウォッチシリーズ「EDIFICE」(エディフィス)は、同社がアナログウォッチ市場のシェア拡大を目指して投入する注目モデル。アナログ文字盤を備えたメタルボディにスポーティーなエッセンスを加え、ビジネスシーンにも合わせられる腕時計として、1万〜7万円という中価格帯で展開する。

photo エディフィスの「EQW-M1000」

 もともとは2000年に誕生したブランドであり、北米、中国、ヨーロッパなど海外での評価は高い。電波ソーラーモデルからリチウム電池モデルまで、販売地域に合わせた柔軟な製品作りを行っているが、今回日本で発売されるのはいずれも電波ソーラーモデルであり、“中価格帯の電波ソーラー時計が欲しい”という人には魅力的なコレクションである。今回は日本投入に合わせて、同社の国内営業統轄部時計企画部長・藤本純一氏にお話を伺った。


photo 藤本純一氏

 「腕時計離れの進む若い男性がビジネスタイムにも使えるデザインを意識して開発を行っています」――比較的若い男性をターゲットにしたエディフィスのコンセプトは、モータースポーツをイメージさせるようなアクティブさや、ダイナミズムだと藤本氏は話す。同社はすでにアナログ電波ソーラーモデルとして、チタンを素材とする「オシアナス」を展開しているが、エレガントテクノロジーをコンセプトにした同モデルに比べステンレススチールを利用したエディフィスは若干重く、ケース径も大きめに設定されている。


photophoto 「EQW-M1000」(左)と、「EQW-700」(右)

 2月20日発売の「EQW-700」は、電波3局(日本2局・米)対応で、蛍光灯の光でも駆動する“タフソーラー”を採用、スポーティーな3つのインダイヤルを備え、1/100秒ストップウォッチ機能も搭載した。ダイヤルの4時位置にはデジタル表示の小窓も配されている。後述する「EQW-M1000」に比べればオーソドックスなデザインではあるが、価格は3万3600〜3万6750円と、若者も手に取りやすい。

 同シリーズを日本投入した理由の1つはこの“価格帯”だ。アナログモデルとして前述したオシアナスの価格帯は7万〜15万円程度、対してエディフィスの価格帯は1万〜7万円に設定されている。「日本の時計市場で、ボリューム的に最も大きな市場が1万〜7万円のゾーンです。そこを見据えて製品の展開をしたい」と藤本氏は語る。

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 また、藤本氏は同価格帯におけるビジネスユース向きアナログモデルの選択肢の少なさも指摘する。「(この価格帯で展開される電波時計は)今までは、カシオで言う『wave ceptor』(ウェーブ セプター)のような、実用に特化した電波時計ばかりでした。でも今回は、商品作りのコンセプトも、実際の機能もターゲットをきっちり絞って開発をしています」(藤本氏)

自己表現としての時計

 藤本氏は、製品作りの中で一番力を入れた点に「ダイナミズムと、アクティブさを両立させるためのテクノロジー」を挙げる。5月に販売を開始する世界6局対応(日本2局、独、英、米、中)の電波ソーラーモデル「EQW-M1000」は、その思いを存分に実感させるモデルだ。文字盤には2層構造の“多層立体フェイス”を採用し、文字盤の左下を大胆に切り取ることで立体感や素材感をダイナミックに演出。ストップウォッチ機能を持つ9時位置のサブダイヤルには、車のブレーキディスクをイメージしたディスク針を採用する。機能利用時にはディスク針が回転し、スピード感やアクティブさを演出した。

 サブプライムローンに端を発する世界的な不況の中、藤本氏は「個性のあるものしか生き残れない」と分析する。「こういった不況の時代ですが、“欲しい物”というのはこの時代でも買わずにはいられない。お客様が欲しくなる製品は何かと考えたときに、それは個性のある製品ではないかと思っています。携帯電話の普及によって、時計を必要ないと言う人もいる。でも、一方で、“今まで人が持っていなかったもの”や、“自分を主張できるアイテム”として時計には根強い人気があると思います」(藤本氏)。このように強く語るには理由がある。「実は、実用的なタイプは苦戦したんです。逆にG-SHOCKやBaby-Gはこういう環境下でも伸びたんですね。お客様の欲しくなるような製品であればご購入いただけるのか、と思いました。これからもそんな個性のある製品を出していきたいと思っています」(藤本氏)。

世界に誇れる技術「電波時計」

 デザインだけではなく、採用した技術にも思い入れはある。今回日本に投入される2モデルは両方とも電波時計。「電波時計は、日本人の国民性に合っているし、世界に誇れる技術だと思います。今後も製品に搭載して行きたい」(藤本氏)。しかし、エディフィスを海外展開した際には、電波時計を認知してもらうための地道な活動も行った。「日本が誇るものづくりの面からもこういった精密技術や、電波時計のよさを分かってもらいたい」と藤本氏は話す。


 「時計は格好よくなくては駄目だ。まず、格好いい製品を作ろう」――それを胸に開発を行ってきたというエディフィス。「カシオ計算機がこれまで培ってきたテクノロジーを利用して、時計の中でアクティブさやスピード感、躍動感を表現していくブランド」と同社が語るように、個性と機能性、格好よさと使いやすさが両立するウォッチとして、今後登場する新たなコレクションにも期待したい。

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