JCの最大の特徴は、その車内にちりばめられた仕掛けの多さ。まず、ルームミラー下部に背後の乗員を確認できる「室内リアビューカンバセーションミラー」が、そして「保冷機能付きグローブボックス」、助手席シートクッションを前に倒すと現れる「Flip'n Stow助手席シート下収納」、2列目のインフロア収納ボックス、そして3列目シート後方にはフタ付きの収納スペースまでもが用意されている。
このほかにも、2列目シートを前方にスライドさせる「Tilt'n Slide」機能、夜間の荷物出し入れ時に便利な充電式フラッシュライト、90度に開くリアドア、車内4カ所に用意された12V電源ソケットと、まさにいたれりつくせり。それでいて、ひろびろと使える空間を実現したところは、さすがの一言。
試乗時に小一時間ほど、市内〜郊外〜高速道路というルートで運転をさせてもらったが、前述の静粛性、必要にして充分なパワー、ハンドル動作に素直についてくる挙動と、クルマを運転していること自体についての感想はこれといってないのが正直なところ。ダッジブランドにパワーやスピードを求めている人からすると肩すかしを食ってしまうだろうが「ダッジがファミリーのために何が必要なのかを真剣に考えた結論」がこのJCなのかもしれない。
車両本体価格は362万2500円。ミニバンの購入を考えている方にとって、国産以外の選択肢に充分に加えられる一台と言えるだろう。
試乗会でプレゼンテーションを行ったクライスラー日本社長エリス氏にお時間を頂き、JC導入の経緯、そして今後のクライスラーグループについてのお話を伺った。
「ダッジ JCは市場の研究の結果、家族を持つ女性が運転できるミニバンとして生み出されたものです。先般導入した、クライスラー グランドボイジャーでは少し大きいという方にもJCはフィットするのではないでしょうか」(エリス氏)
また、昨年からいろいろな面で騒がれているアメリカの自動車業界においては「今、いろいろなバッドニュースが流れているにも関わらず、日本のクライスラー・ジープ・ダッジ ディーラーには多くのお客様に足を運んでいただいています。まずはその方たちの気持ちにしっかりと応えていくことが私たちの仕事だと思っています。そして、私たちは今までと同じように日本で働いています。今はたくさん仕事があって前よりも忙しいくらいです」と、日本におけるクライスラー社の存在をアピール。これからのクライスラーについてどういったアプローチを取っていくのか、という質問については「現在、14車種あるクライスラー・ジープ・ダッジのブランドですが、これらのモデルの数を今後戦略的に検討していく必要はあるでしょう」ということで、もしかしたら今後ラインアップに変動があるのかもしれない。
最後に、アメ車好きの一人として、大変ぶしつけな、しかし重要な質問をぶつけてみた。「これからも私が記事で、そして仲間にクライスラーの車を勧めてもいいのでしょうか?」と。エリス氏は力強く筆者の手を握り「もちろんです」と答えてくれた。
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