「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」+D Style 最新シネマ情報

» 2009年01月22日 17時36分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C) 2008 DW Studios LLC. All Rights Reserved.

 「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが、11年ぶりにカップルとしてスクリーンに復活する。しかし「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」で彼らが演じるフランクとエイプリルは、「タイタニック」の甘い恋人たちとは正反対だ。

 舞台は1950年代のアメリカ。新婚カップルのフランクとエイプリルは、富裕層が暮らす高級ベッドタウンとして知られるコネチカット州のレボリューショナリー・ロードに引っ越してくる。2人のかわいい子供にも恵まれ、誰もがうらやむ美女美男のカップルだったが、数年後、結婚生活は輝きを失う。

 マンハッタンの事務機の会社に勤めるフランクは仕事に喜びを見出せないし、女優を目指していたエイプリルは平凡な主婦に嫌気が差していた。自分たちが絶望的に退屈な日常生活に埋もれつつある、と気づき始め、お互いのエゴがぶつかり合い、険悪なムードに。そこでエイプリルは環境を変えようと、フランクにパリで暮らすことを提案するが……。

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 フランクとエイプリルは人並み以上の幸せを手に入れたように見える。たが「このままでいいのか」「こんなハズじゃなかった」と人並みを嫌い、パリ移住計画という当時としては突飛な行動を思いつく。その決断を聞いた隣人夫婦ほか、周囲の人々はアッと驚く、というよりも困惑する。困惑したのはなぜか? それは、彼らが退屈な日常生活に気づかないふりをして生きているからだ。

 監督は「アメリカン・ビューティー」で、やはり理想の家庭が崩壊する様をシニカルに描いてアカデミー監督賞を受賞したサム・メンデス(ケイトの旦那さん)。リチャード・イエーツの短編小説を基に、再び危うい夫婦の関係を描いている。

 この映画、夫婦喧嘩のシーンと、喧嘩後の朝食のシーンが手に汗握るほど生々しい。男のズルイ部分を見事に演じたレオも上手いが、自意識過剰によって崩れていく主婦を演じさせたら右に出るものはいないケイトが抜群に上手い。ゴールデングローブ主演女優賞を受賞したのも納得だ。

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 夫婦に一番必要なのは思いやりなのか。結婚は墓場なのか。波風立てずにやり過ごして生きることが結婚生活には必要なのか。“婚活”に勤しむ男女が見たら間違いなく結婚を考え直すよ、とも思うが、素晴らしく面白い作品なので、将来の予行演習としておススメしたい。夫婦仲がこじれている人にとってはかなり酷な作品なので、パートナーとは見に行かず、ひとりで見に行くように。

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

監督・製作:サム・メンデス/原作:リチャード・イエーツ/脚色:ジャスティン・ヘイス

出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、キャスリン・ハーン、マイケル・シャノン、キャシー・ベイツ

配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン

1月24日より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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