「252 生存者あり」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年10月29日 10時39分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C)2008「252」製作委員会

 この夏、ゲリラ豪雨が全国各地を襲い、諸外国でもハリケーン直撃や大地震で被害が出た。地球温暖化を筆頭に、環境の異変を身近に感じる。

 そんな自然の脅威に対して人間はどう立ち向かうのか? リアルなシミュレーションとして体感できるパニック映画が「252 生存者あり」である。

 発端は、首都圏を襲った直下型地震。数日後、巨大なエネルギーによって海水温度が上昇し、太平洋上に巨大台風が出現。これによって雹(ひょう)が降り注ぎ、高潮でお台場のレインボーブリッジが崩壊、地下鉄には鉄砲水が押し寄せる。元ハイパーレスキュー隊員の篠原祐司(伊藤英明)、7歳の耳の不自由な娘しおり(大森綾音)、そして研修医の重村(山田孝之)、中小企業を営む藤井(木村祐一)、韓国人ホステスのスミン(MINJI)ら5人の男女は何とか生き残るが、新橋駅の地下構内に閉じ込められてしまう。

 台風はさらに勢力を増し、地盤がゆるんだ地下構内はいつ崩れてもおかしくない状態だった。レスキュー隊隊長の篠原静馬(内野聖陽)は二次災害の危険があるため、弟・祐司を救出することができずに苦悶する。あきらめかけたその瞬間、地下から“252”を知らせる音が。それはレスキュー隊だけが知り得る「生存者あり」という暗号だった!

photophoto (C)2008「252」製作委員会

 「史上最大の巨大台風、日本直撃!」というキャッチコピーが付いているが、見どころは巨大台風よりも雹と鉄砲水のシーン。雹によって銀座4丁目付近はボロボロ、それを避けようと地下へ逃げ込んだ人々は、階段から転げ落ち、将棋倒しになり、鉄砲水に飲み込まれていく。

 鉄砲水のシーンは、地下鉄構内をセットで再現し、プール3つ分の水(約300トン)と5000人のエキストラを動員しているという。ハリウッド映画と比べるとどうしても陳腐になりがちだったパニックシーンだが、日本映画もここまで来たかと思えるほどの緊迫感があって、本当に恐い。

photo (C)2008「252」製作委員会

 ちなみに製作に日本テレビが参加しているのだが、フジテレビの本社ビルが崩壊し、トレードマークの球体展望台が海に浮かぶシーンは大笑い。

 前半はスペクタクル、やがてメインキャラクターの過去が明かされていく。パニックに陥った人々のもろさをクローズアップし、家族愛あり、兄弟の葛藤ありの人間ドラマが描かれていくが、以降も脱出劇、救出劇と盛りだくさんで、人間ドラマの部分は少し散漫な印象。ラストもやり過ぎな展開(「海猿」以上)が待ち受けるが、パニック映画としてはハリウッドに負けないくらいのパワーがあり、十分に及第点。

 2回、5回、2回と叩いて音を出し、生存を知らせる。とりあえず、これは何かのときのために覚えておこう。

252 生存者あり

監督・脚本:水田生伸/原作・脚本:小森陽一/脚本:斉藤ひろし

出演:伊藤英明、内野聖陽、山田孝之、香椎由宇、木村祐一、MINJI、山本太郎、桜井幸子、大森絢音、松田悟志、杉本哲太

配給:ワーナー・ブラザース映画

2008年12月6日(土)より全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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