前述のように、秋は3連休が多い。ニーズが高まる国内旅行で考えると、単なる“観光”ならこの3連休で事足りてしまうのかもしれない。
そこでTIJが今年から始めた提案が“1ウィークバカンス”。本日9月1日からスタートしたこのキャンペーンでは、“体験”という言葉がキーワードになる。観光以外の目的を持って訪れてもらうロングステイプランを用意し、現地で実際にいろいろな体験を行うことにより、旅行を“単なる観光”から“交流や学びの場”へと発展させていくのが狙いだ。キャンペーン期間もこれまでの秋季のみから9月〜翌年3月までとし、ユーザー側だけでなく旅行会社側もプランを立てやすくしている。
「例えば家族連れをターゲットにしたプランでは、旅行をただの観光で終わらせるのではなく“体験型の学びの場”へと変えることで、旅を通じて子供たちの成長を促す……といったこともできるでしょう」(須田氏)
その1つが“農業体験”を組み込んだプラン。実際に現地で農作業を行うことで、自分も学び、現地の人たちとの交流も生まれる。「目的を持った旅が、日常の授業とリンクし(授業の一環、課外教室のような)“○○教室”という認識になるのが理想」と語る須田氏。実現すれば、“秋季に子供たちが学校を休めない”という秋休みの課題も解決するかもしれない。
体験型の旅を楽しむのは子供や家族連れだけではない。大人も、旅を通して成長や交流を図ることを望んでいるようだ。須田氏によると「現在の国内旅行は“安さ”だけを追求する時代は終わり、内容の充実度を核にして、追加で休みをとってでも旅行に出ようと思う層が増えている」のだという。女性や、若者だけでなく定年後の男性が大学のシニア向け講座を受けに、長期の1人旅をすることも少なくないそうだ。
「旅行先での精密検査や、温泉療法、森林浴を行い健康促進を行うヘルスツーリズムや、観光しながらも“世界遺産を守るにはどうすればいいか”を考えるエコツアーも主流になりつつある」(須田氏)
また「素材を集めて“自分で作る旅”が今後増えるのでは」と須田氏。自ら情報を集めて体験型の名所を探して予約を行い、交通手段と宿を手配する。地方が発信した情報を旅行予定者が受け取ってプランを組む……といった旅のスタイルだ。
観光地をあげてこういった旅のスタイルを応援している好例が九州の黒川温泉。この温泉は代理店を通しての部屋の提供をほとんどしない。キャパシティ以上に多くの人が来て温泉の雰囲気が崩れてしまうのを防ぐためだ。須田氏は「よいものは自然に広まり、地方と旅行者がダイレクトにつながる。地域と旅行者の交流が増えていくことで、徐々に地域の活性化につながっていく」と語る。
実際に体験し、学び、地域との交流にもつながる“体験型”の旅。プランの立て方次第でオリジナリティの高い“自分だけの旅”になり、さらに地方・地域に飛び込むことで自分と一緒に旅先(受けて側)も成長していく妙味も味わえる……。
今年の秋は、そんな特別な旅行をしてみてはいかがだろうか。
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