もともとは人間だったのに何らかのアクシデントで超人的なパワーを手に入れ、人生が一変。そのパワーを活かして悪と戦いながらも、ヒーローとしての自分と葛藤する。スーパーヒーローとはいえ、人間的な悩みを抱えた彼らに共感できる部分が多い。
その筆頭がアメコミの映画化史上、最大のヒットシリーズとなった「スパイダーマン」。特殊なクモに噛まれたことにより正義の味方になった主人公のピーター。ヒーローの誕生と苦悩の日々が描かれるが、このシリーズはスパイダーマンと戦う怪人たちも、もともと一般人で根っからの悪人ではない。彼らは絶望と怒りを抱えた中で、暴走してしまうのだ。誰もが善と悪の心を持っているというドラマ性が最大の魅力といえる。
他にも、遺伝子の突然変異によるミュータント集団「X-MEN」、両親を目の前で惨殺されたトラウマを克服して正義の味方になった「バットマン」、放射線を浴びて緑の怪物になった「ハルク」、ヴァンパイアと人間のハーフで、自らの運命を憎んでヴァンパイア絶滅を誓う「ブレイド」など、理由はさまざまだが、映画界は悩めるヒーローだらけだ。
今後の注目作として、「バットマン」最新作の「ダークナイト」、リニューアルした「インクレディブル・ハルク」が挙げられる。故ヒース・レジャーのジョーカー役が話題となり、オスカー候補も夢ではない「ダークナイト」、前作より遥かにアクション度がアップしたエドワード・ノートン主演の「インクレディブル・ハルク」。演技派俳優が荒唐無稽なアメコミを演じることで、ストーリーに見応えと説得力が与えられ、全米大ヒットにつながったといえる。
悩めるヒーローは超人だけではない。スパイたちも大いに悩んでいるのだ。例えばトム・クルーズ=イーサン・ハント。明晰な頭脳を武器にしていた「ミッション:インポッシブル」、抜群の戦闘能力を発揮した「M:i-2」に比べ、3作目「M:i-?」でのイーサンは、エモーショナルで人間的な部分がクローズアップされていた。
そして、最近のアクション・ヒーローを語る上で外せないのが、マット・デイモンの当たり役となったジェイソン・ボーン。記憶喪失になった元CIA工作員ボーンは自分が何者なのか?と自問自答し、その奔走はあくまで無駄がなく、全編緊張感が漲っている。「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」とシリーズ3作のクオリティが全く落ちていないのも凄い。ボーンにはぜひ帰ってきてほしい。
ミラ・ジョヴォヴィッチの「ウルトラヴァイオレット」、ハル・ベリーの「X-MEN」、ジェニファー・ガーナーの「エレクトラ」、シャーリーズ・セロンの「イーオン・フラックス」、ケイト・ベッキンセールの「アンダーワールド」、アンジェリーナ・ジョリーの「トゥームレイダー」など、ダーク系ヒロインの活躍が目立つ。彼女たちに求められるのは強さとセクシーさ。飛んで、跳ねて、ガンにナイフと、俊敏な動きが求められるからか(?)、共通点は皆、ボディスーツを着ていること。ヒロインたちの縦横無尽の活躍に惚れ惚れするだろう。
最新のヒロインはアンジェリーナ・ジョリー主演、マーク・ミラーの人気グラフィック・ノベルを映画化した「ウォンテッド」だ。知られざる暗殺組織を描くハード・アクションで、組織の紅一点フォックスを演じる。銃弾がカーブを描いて飛んでいくなどの映像が見もの。ピチピチスーツこそ着てないが、主人公(ジェームズ・マカヴォイ)を一人前の暗殺者に育てようと、殴る蹴るといったサディスティックな役がアンジェリーナ・ジョリーにピッタリ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング