M42マウントのカメラがもう少し欲しかった。今、手元には、旧ソ連製のZENIT-Eがあるのみだ。これはこれで面白いカメラではあるが、いかんせんシャッタースピードが1/500秒しかないので、せっかくの明るいレンズも絞って使わなければならないのが難点である。
いつかはアサヒペンタックスの古いヤツを見つけて使ってみたいとは思うのだが、なかなか綺麗なジャンクに出会わない。
そんなときに目にとまったのが、Edixa Reflexであった。
予備知識が無かったので、ExaktaやExaの派生モデルかと思ったのだが、マウントが全然違う。またシャッターも右側にある。ファインダが変えられるのは同じで、そのカメラにはウエストレベルファインダが付いていたのが気に入った。
西ドイツのwirgin社が作ったこれらのカメラは、Edixa Flex、Edixa Reflex、Edixa-mat Reflex、Edixa Prismatと、似たようなモデルが沢山あるようだ。Edixa Reflex自体も、Type AからDまで、少しずつ改良された4種類がある。
Edixaは基本的なデザインは変えずに次々に機能を追加していったことが仇となって、後期モデルはものすごくゴテゴテしたルックスになってしまった。ドイツ製カメラではあるが日本ではほとんど評価されず、完動品でも1万円程度で売られている。
そのカメラは、ちょっと外装がはがれかけて、あちこちにマジックで塗ったような痕があるものの、動作は問題ないようだった。外装の汚さでジャンク扱いになっているらしい。タイプが無記名なので、Type Aということのようだ。4200円で購入した。
じっくり眺めてみると、非常に味わい深いカメラだ。製造年はよく分からないが、WikipediaによればType Bが登場したのが1960年ということだから、おそらく1956年から1959年の間に作られたものだろう。塗装のはがれも少しあるが、特にさびもなく、驚異的に綺麗だ。
シャッタースピードは最高1/1000秒だが、その下のダイヤルを使って最低1秒までの低速シャッターが切れる。このあたりの機能も、Exaktaによく似ている。
フィルムカウンターは増算式で、手動で0に合わせる。フィルム巻き戻しノブの下には、フィルムのメモダイヤルがある。露出計がないので、機能的に何をするものでもないが、入れたフィルムがなんだったかをメモするためのものだ。
ウエストレベルファインダは、背面のポッチを押すとバネ仕掛けでバシャッと開く。ルーペも仕込んであり、小さなレバーを右側に倒すと、これまたバネ仕掛けでビヨンと開く。スクリーンはスプリットイメージで、昔のブラウン管式のテレビのように少し曲面になっている。
ファインダは背面にある2つの大きなねじを左右に開くようにすると、簡単に外れる。おそらくこれに普通のファインダが付いていたら、特におもしろくも何ともないカメラだったろう。
シャッターは前面に付いている。手前から後ろ側に向かって押すスタイルだ。ちょうどExaktaを左右ひっくり返したようなスタイルだが、さすがにExaktaよりも25年ぐらい後に設計されただけあって、こちらのほうがより洗練されている。
シャッターは布製横走りである。底部には三脚用のねじ穴が台になって飛び出しているが、水平に自立させるために、足が引っ張り出せるようになっている。
重量はかなり重いが、Exaktaほどではない。
映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。
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