地球に優しく、カッコよく エコスタイルで自分を磨く特集 エコスタイルのススメ(2/3 ページ)

» 2008年07月15日 09時30分 公開
[ITmedia]
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スマートドライブでモテドライバーになろう
ゆとりある運転で、エコに貢献
(上)首都高 (下)ホメパトGT-R 01

 首都高では毎日110万台のクルマが通行し、年間1万2000件以上もの事故が発生しているという。この事故によって発生する渋滞距離は約2万5000キロ以上と言われ、なんと東京とニューヨークを往復する距離に匹敵するそうだ。

 その首都高の事故原因の8割以上が、脇見などのちょっとした不注意や「人為的イライラ」なのだそう。合流でいじわるされて入れなかったり、入ったと思ったら後ろからパッシングされてしまったり、急ブレーキ踏まれてこちらも踏まざるを得なくなったり……きっとクルマで高速道路を走ったことがあるひとなら、一度ならずとも経験しているのでは?

 車のスペック上のエコは日々進化しているけれど、運転の仕方でエコに貢献するというのも、有効な手段。そんな、「安全を付き詰めていくとエコになる」という考え方を裏付けるちょっとしたデータがある。首都高の事故削減を目的に、ユニークな活動で注目を集めている「TOKYO SMART DRIVER」は、

・1件の事故が減ると
・2キロの事故渋滞が解消し
・3トンのCO2排出を軽減できる

という、「123の法則」を試算し、提唱している。

TOKYO SMART DRIVER(東京スマートドライバー)https://www.smartdriver.jp/

首都高の事故を減らすプロジェクトとして発足。発起人は放送作家の小山薫堂氏。2008年4月からは、良い運転を“褒める”というアプローチで事故削減を目指す「ホメドライブ」キャンペーンを開始し、クリエイターや企業と協力しつつ“ホメドラ”の輪を広げている。

+D Style関連記事:遭遇すると幸せに? “ホメパトGT-R”首都高を巡航

 イライラが原因で怒る不幸な交通事故を、ドライバーそれぞれが「他人を思いやる心」を持つことで解消し、エコにも貢献しようと呼びかけたのが「TOKYO SMART DRIVER」の1年目の活動だったそう。2年目に入った今年は、実際に人々にアクションを起こしてもらうのが目標と言う。

ホメパトに乗っちゃいました!

 今回は、同活動のなかでも話題を集めている「ホメパト」(首都高を巡回するキャンペーンカー。モデルはNISSAN GT-R)に乗せさせていただくことになり、取材前からワクワクしていた私。

 さっそうと現れたホメパト専属ドライバー・梅田和裕氏は長身&クールな2枚目で、ラリードライバーとして競技をしていた経歴の持ち主。ファッションデザイナーのSATOSHI TANAKA氏のデザインによるドライバーズコスチュームを着こなし(なんと「このコスチュームをカッコよく着こなせる人」、という選考基準もあったとのこと!)、スーパースポーツカーGT-Rにひらりと乗り込む姿はまさに「SMART DRIVER」だった!

 首都高を巡回し、目撃した人々に「褒める気持ち」を促進しているというホメパトだが、首都高を走るクルマは1日でおよそ110万台。つまりホメパトを目にすることができるのは110万分の1の確率というわけで、目撃したら幸せになる、という都市伝説のオマケも……。

 ドライバーの梅田さんは、「注目度は日に日に上がっていると感じます。追い越し車線のクルマから手を振ってもらったり、助手席から写真を撮られたり。嬉しいですね」と話す。

(上)梅田さんと記念撮影 (下)運転する梅田さん

 同乗して下さった首都高速道路株式会社の池田さんに、「このホメパトを観るために、減速したりするクルマがいたら、それはエコではないんじゃないですか?」とすこし意地悪な質問をしてみたところ、

 「はい、確かにそのクルマだけを見れば、エコではないのかもしれません。しかし、もっと大きな視線で見てみれば、そのクルマは笑顔を思い出し、ホメドライブをもっと周りに広めてくれるかもしれない。それは1台分のエコよりも、大きな輪になっていくと思うんです」と笑顔で答えてくれた。

 さらに今年はコミュニケーションの一環として、首都高のパーキングエリア内にて「ホメ玉」(アメ玉)を配り、ホメドライブを促進しているそう。写真撮影はもちろんのこと、希望すれば運転席にも座らせてもらえる! リニューアルされた代々木PAでの取材中も、たくさんのファンがカメラを構えていたのが印象的だった。

(左)代々木PAにて (右)ホメパトGT-R 02

 私自身も高速道路をヘビーユースする職業ドライバー。高速道路で嫌な思いをしたことも数多くある。自分勝手な運転は、どんな高級車でもどんなイケメンでも、ハッキリ言ってモテ度はゼロ。ゼロどころかマイナススタートに降格だと、断言してもいい。

 運転を職業とするレーシングドライバーのほとんどがこう口をそろえる。

 「サーキットよりも一般道のほうが、はるかに丁寧に運転しています。だって運転が上手い人ばかりが集まっているワケじゃないですから」

 本当に運転がうまい人は、決して無理をしない。そしてそれが、結果としてスマートドライブ&モテドライブにつながっているのである。

首都高を走るホメパトGT-R

 帰宅して、東京スマートドライバーのWebページ内に設置された「ホメブログ」をのぞいてみた。

 え、そんなことで褒めてくれるの?! と思うほど、気持ちのいいホメよう。そして、走るたびに悪態をつきたくなる東京にも、これだけのSMART DRIVERがいるということに、心が温かくなった。ナイスウインカー、サンクスハザード、グッドアクセル。なるほど、ちょっと気持ちや視点を変えれあげれば、いくらだってほっこりできるホメドライブは可能なのだ。

 この世界にたった1台のホメパト、当面は7月17日から31日まで、日産銀座ギャラリーに展示される。

取材・文/今井 優杏
編集/似鳥 陽子



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