モダンリビングコンセプト――上質なライフスタイルを求める大人に向けたセダンとして、リビング空間のような落ち着きとデザイン性を追求し、2003年に登場した日産自動車の「ティアナ」。初代の登場から約5年を経てフルモデルチェンジした新型ティアナは、「時代に合ったデザイン」を表現すべく、新たなエッセンスが加わっている。今回は新型ティアナのデザイン、そして同モデルが提案する新たな“セダン像”を、日産自動車デザイン本部プロダクトデザイン部・齋藤欣一チーフデザイナーの言葉とともに探る。
「初代ティアナで提案した“モダンリビングコンセプト”を軸とするセダン像は、マーケット的にも評価をもらうことができました。しかし、新型を作るにあたっては、初代の哲学を踏襲しながらも、時代の要求で変わってくるデザインやニュアンスを新たに取り入れています」(齋藤氏)。その要求とは、精神的、そして肉体的な“リラックス”への対応だと齋藤氏は語る。
新型ティアナのエクステリアを見てまず気付くのは、従来モデルよりも強調された曲線とボディの起伏。「初代ティアナのプロジェクトが始まったのは1998年ごろで、世紀をまたぎ、また21世紀初頭に出すモデルとして“しっかりとしたものを作る”という意識がありました。ですから、水平、垂直、平面といった要素を重視したデザインを採用しています」(同氏)。そうしたシンプルで普遍的なデザインを追求することで、先代ティアナはスタイリッシュでモダン、静的で落ち着いた雰囲気の内外装を表現していた。
ところが、新型ではうって変わって、“ウェーブ”をデザインの重要なテーマとしている。ボディの両サイドに刻まれたキャラクターラインはなだらかなアーチを描きながらフロントとリアをつなぎ、ダイナミックな外観を演出。さらにホイールにも曲線のデザインを施すなど、エクステリア全体のアクセントとしてウェーブラインが使われている。
そして、こうしたデザインアイデンティティーがさらに色濃く反映されたのがインテリアだ。木目調パネルといった従来の構成要素を引き継いではいるが、外観と同じく曲線を多用したデザインで、全く別物といっていい。インストルメントパネルをパッと見た時に感じるスタイリッシュさという点では、先代ほどのインパクトを受けなかったというのが筆者の正直な感想だが、シートに座りハンドルを握ると、圧迫感のない“居心地の良さ”とともに、初めて乗った車らしからぬ安心感に包まれる。ここに先代モデルとは異なる、日産の新しいモダンの切り口があった。
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