「紀元前1万年」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年04月17日 13時00分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C) 2008 Warner Bros. Entertainment Inc.

 「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」のローランド・エメリッヒ監督は、常にバカでかいスケールを追求し、荒唐無稽なCG大作を作り出す達人として知られているが、今回もその期待を裏切られることはなかった。

 舞台は大昔の紀元前1万年。山奥に住む若きハンターのデレー(スティーブン・ストレイト)と青い目を持つ美しいエバレット(カミーラ・ベル)は幼い頃から惹かれ合い、将来を誓う。ある日、デレーは人々が“マナク”と呼んで恐れるマンモス狩りに挑むが、持っていた槍の上にたまたまマンモスが倒れてきたために、図らずも射止めたと誤解されてしまう。偶然の産物のはずが、ヒーローとして祭り上げられ、その褒美としてエバレットとの結婚を許される。デレーの心境は複雑だった。そんな中、奴隷狩りの一団が現れ、村を破壊し、エバレットと仲間を連れ去っていく。デレーは愛する者を救い、真の勇者になるべく、彼らを地の果てまで追うが……。

photophotophoto (C) 2008 Warner Bros. Entertainment Inc.

 話の筋はメル・ギブソン監督作「アポカリプト」(2006)と被るが、残念ながら、主人公が走って、走って、走り抜けたあちらほどの高揚感はない。しかも、とにかく頭の中に「?」が浮かび、ツッコミたいシーンがてんこ盛りだ。なにせ何カ国語も話す部族もいれば、マンモスを利用してピラミッドらしき建造物を建設しているシーンもある。だが、そんなことに目くじらを立ててはいけない。エメリッヒの意図はあくまでSFXによるダイナミックな映像を見せること、マンモスの大群をスクリーン一杯に走らせること。それは、やたらと俯瞰するオーバーなカメラワークにも表れている。つまり歴史の勉強は教科書でどうぞ、ということだ。もう、その点は見ごたえ十分。「毛筋1本までよみがえらせた」と宣伝文句にうたわれているマンモスはもちろん、“牙”と呼ばれるタイガーも生き生きと描かれ、そのリアルさは別次元。

 最低映画の称号“ラジー賞”にノミネートされそうな匂いがプンプンするが、地味なラインアップのゴールデンウィーク映画の中にあって、マンモス狩りも、ピラミッド建設も、これぞ映画! と思わせるダイナミックなシーンが度々登場するので、ぜひスクリーンで体感してください。

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(C) 2008 Warner Bros. Entertainment Inc.

紀元前1万年

監督・脚本・製作:ローランド・エメリッヒ/脚本・製作総指揮・音楽:ハラルド・クローサー

出演:スティーブン・ストレイト、カミーラ・ベル、クリフ・カーティス

2008年4月26日(土)より丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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