修理に大変な苦労と時間を要したExakta Varex IIbだが、ちゃんと撮れるようになってみると、楽しいカメラだ。これまでウエストレベルファインダと言えば、6×6の二眼カメラしか触ったことがなかったが、普通の35mmフィルムが使えて気軽に撮れるのがいい。
巻き上げレバーは270度ぐらい回さないと行けないので、一息では回せない。途中でレバーを持ち替えて、ようやく1回チャージできる。シャッターは左なので、カメラのホールドは右手で行なうことになる。ついほかのカメラの癖で左手でホールドしてしまい、構図や露出、フォーカスなど全部決まったところで、あれーと思うことがしばしばある。妙な使い勝手だが、それもまた楽しい。
フォーカスの精査は、内蔵のルーペを出してファインダに写った映像の細部を確認する。とてもスナップ的に撮れるカメラではないので、1カットごとじっくり取り組む必要がある。ファインダは、上下は正対しているが左右が逆なので、最初は水平を撮るのが難しかった。ただローアングル撮影は自由自在なので、花など小さなものを撮るときには重宝する。
シャッターを押すと、ビュッ! と激しくシャッター幕が巻き上がる音がして、シャッターが切れる。ちょっとテンションをかけ過ぎかもしれないが、歯切れの良い音が気持ちいいので、そのままにしている。
すでに手に入れて1年になるので、いろんな撮影にトライしている。昨年スペインにも持って行って、街撮りを楽しんだ。見た目がゴツいが、直ってみると頑丈なカメラで、安心して使える。
露出計が内蔵されていないので、別途計る必要があるが、その手間よりも、ファインダに映し出される鏡像の美しさに見とれてしまって、なかなかシャッターを押すまでに時間がかかる。Exaktaはシャッターを押すとファインダが見えなくなってしまうので、シャッターを押したらそれでこの風景は幕引き、という感じになってしまうのだ。
長時間露出用のタイマーが付いているのも、大きな特徴だ。数値の見方がいまひとつよく分からないのだが、各ダイヤルごとにシャッタースピードを計測して、メモを作った。それを見ながら、新宿の街を撮ってみたりもした。
そして最近、偶然Exaktaマウント用の中間リングを中古カメラ店で発見、2100円で購入した。ちゃんとイハゲー社純正品である。もっともExaktaは特殊撮影に強いカメラなので、中間リングもそれほど珍しいものではないのだろう。
レンズは、今では一番のお気に入りであるZeiss Jena 50mm/F2.8。以前からこれでマクロ撮影をしたらどんなことになるのかと思っていたので、これは是非試してみたかった。
中間リング自体はバヨネットなので、簡単に取り外しできる。ただ露出がTTLではないので、別途露出計で測ったのち、だいたい1絞り分ぐらい案分して撮影してみた。
もともと端正な描写をするレンズだけあって、中間リングを使ったマクロ撮影でも、美しい独特の世界観を映し出してくれた。Exaktaマウントのレンズは、ドイツを中心にヨーロッパ系メーカーで種類が多いのだが、もっぱらこのZeiss Jenaで満足している。
映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。
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