“お茶の花”がメタボに効く!? 伝統食材の知られざる効能+D Style News

» 2008年02月13日 15時44分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo こちらが茶花。「メタボ対策の新素材」と銘打って紹介された

 お茶の花がメタボに効く?――そんな研究結果が、2月12日に行われた「国際茶花研究会」発足発表会で示された。一般的に食材としてはあまりなじみのない茶花(ちゃか)だが、日本には古来から茶花を食す、または煎じて飲む文化がある。気になる茶花の効能を、発表内容から紹介しよう。

“茶花”の食文化がある日本

 世界的にも珍しいという日本の茶花の食文化。例えば島根県では茶花を煎じた「花番茶」や、茶花を煮詰めたものに豆類や米類などの具を入れてお茶漬けのように食べる「ぼてぼて茶」の文化が古くから伝わっている。しかし、その茶花に含まれる成分や薬理作用に関しては、これまで検討されていなかったという。

photo 吉川教授

 研究メンバーはメディカルフラワー(薬用花)研究の一環としてこの茶花の研究に着手。その結果、抗肥満作用や、腸運動の活性化、抗アレルギー作用、血糖値上昇の抑制など、さまざまな作用を確認したという。ただし、研究はまだスタート地点であり、メタボリックシンドロームに対する有効性は今後も多角的に検証していく必要があると、京都薬科大学生薬学教室の吉川雅之教授は語る。

注目成分は“サポニン”

photo 写真の折れ線グラフが体重の比較。赤字が茶花エキスを摂取したマウスのグラフだ

 実験では、茶花エキスを摂取したマウスが通常のマウスに比べ、高脂肪食での体重増加割合が低く、血中の中性脂質上昇も抑えられるという結果が出たと吉川氏は話す。

 茶花の成分には、カフェインやカテキン、フラボノール配糖体といった茶葉でおなじみの成分に加え、多種のサポニン成分が含まれているという。同氏はこの茶花に含まれるサポニンが、血糖値や血中脂肪の上昇を抑制する主な成分と説明。サポニンは茶葉にはごく少量、種子には主成分として多く含有しているが、その種類(組成)は各部位ごとに違いがある。研究では、茶花のサポニンは種子に含まれるものと比較しても薬理活性が強いという結果が出た。また吉川氏は「サポニンに加え、さまざまな成分のバランスが影響しているのでは?」とも推測する。

 これらの実験は抽出したエキス・成分による動物実験の結果であり、昔ながらの飲食方法でどれほどの効果が得られるかはまだ検証されていない。しかし吉川氏は「サポニンは“シャボン”と同じ語源からきたもので、泡立つ特性を持っている。ばたばた茶の“ばたばた”という名はお茶を泡立てる様子から名付けられたと聞いており、実際にお茶を煎じても、とても泡立ちがいい。泡立つほどにサポニンが含まれているならば、その含有量は高いと考えられる」と話す。

photophoto 血糖値のテストでも、茶花エキスの効果が確認された。黒い棒グラフは茶花エキスを与えなかったマウスで、ピンクの棒グラフが茶花エキスを摂取したマウス(左)。研究ではこれ以外にも、さまざまな生体機能が確認された(右)

近い将来、“国際茶花研究会お墨付き”食品が出てくる?

photo 村岡教授

 4月から実施される、メタボリックシンドロームの早期発見を目的とした「特定健診」「特定保健指導」を受け、“メタボ抑制効果”が期待できる茶花の研究や認知の拡大を目指し発足した国際茶花研究会。研究成果の発表や一般市民への講演などに加え、食品としての茶花の品質・安全性の監視も行っていきたいと、近畿大学薬学部の村岡修教授は話す。「健康促進食品は玉石混交であり、また最近は中国の食品安全問題なども話題に上がる。ただ研究して終わりというだけでなく、こうした品質の保証といった取り組みも行っていく必要がある」(村岡氏)。

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