東京・築地にある築地本願寺で9月27日、境内に21日からオープンしているカフェ「カフェ・ド・シンラン」のプレスレセプションが行われた。このカフェは、環境に優しいライフスタイルを提案する月刊誌ソトコト(木楽舎)がプロデュースしたもの。メニューや店舗設計に“ロハス”を取り入れている。有限責任中間法人ロハスクラブと、国産雑穀を販売するベストアメニティがプロジェクトに参加し、実現した企画だ。カフェは12月31日までの期間限定で運営される。
お寺とカフェという珍しいコラボレーションだが、「お断りする理由はなかった」と、築地本願寺の副輪番・山内教嶺(きょうれい)氏は語る。実現のポイントは、カフェが掲げる“ロハス”というテーマだ。
同氏によれば、もともと仏教はロハス的な要素を持っていて、仏典の中にもそれは表れているという。その1例が「依正不二」(えしょうふに)という考え方。“依”は自然世界や環境、“正”は自分自身を表し、“不二”はその2つが切り離せない関係にあることを意味している。
「例えば“自分”と“空気”は別物だけれども、空気がなければ自分も存在できない。環境が汚れれば、同じように自分も汚れてしまうということ。しかし私たちはそれを口で説くことはできても、実際に生活の中でそれを具体的に示すことは難しい。それがカフェにはできる。迷いはなかった」(山内氏)
2006年12月まで丸の内ビルディング地下にオープンしていた「ソトコト Lohas Kitchen & Bar」の後継店舗でもあるカフェ・ド・シンランは、前店舗の“スローフード”というコンセプトを継承しつつ、新たにフードマイレージ(食品の輸送距離)にも考慮。つまり、輸送距離の短い国産食材を使うことでCO2削減に貢献することができるというわけだ。
目玉となるのは国内産16種雑穀米を使用したメニュー。この雑穀米はベストアメニティが国内農家1軒1軒と契約し、独自の配分で調合したもので、「第2回ロハスデザイン大賞2007」を受賞した。ランチタイムには、この雑穀米を使った「本格インドカレー」を食べることができる。
ディナータイムには、カレー以外のメニューも登場。長野県や岡山県から仕入れる無農薬・低農薬の旬野菜、築地市場の魚介類、国産の肉類を使ったこだわりの料理がメニューに並ぶ。
店舗は自然光を多く取り込めるスケルトン構造で、なるべく照明を使わないように工夫されている。また、店内では一部を除いてエアコンを使用せず、壁面に設けられた通風口で風を取り入れている。こうした電力を極力使わない工夫で、通常の半分程度の電気使用量に抑えられているという。また、使用した電力はバイオマス発電や風力発電などの、環境に優しいグリーン電力を買い取ることで、CO2を増やさず循環させる「カーボンニュートラル」な運営を目指す。
このほか、売り上げの3%を「ロハススマイル基金」に寄付するオリジナルプリペイドカードの販売や、「ロハス&エコプロダクト」の展示/販売なども行うほか、各種イベントや、“築地市場の文化を守る活動”なども行っていくという。
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