「アレキサンダー」「トロイ」と古代史劇ものが興行的に撃沈する中、全米ボックスオフィスのNo.1になり、2億ドル突破という怪物的ヒットを記録したのが「300〈スリーハンドレッド〉」だ。
舞台は紀元前480年のギリシャ。クセルクセス率いる100万人ものペルシア侵略軍に対して、スパルタ王レオニダスの下に集まったスパルタの兵士たちの死闘、“テルモピュライの戦い”を描く。その時の男の数がわずか300人。タイトルはこの人数からきている。
スパルタ人は生まれながらに戦士であり、母親から7歳で引き離され、打たれてけられて殴られて、戦士になれないと判断された弱い子供たちは、谷底に投げられるという、まさにスパルタ教育で鍛え上げられた屈強な男たち。「スパァルタァ〜」とレオニダス王が叱咤激励を飛ばす中、兵士たちは誇りと名誉をかけ、大軍を血祭りに上げていく。
職業=軍人という男たちの肉体がぶつかり合うさまはワイルドで、パワフル。彼らは全編フンドシとマント姿、普通なら笑いがこみ上げてくるところだが、このスタイルとほとばしる汗、滴る血の一滴までもが、なぜかカッコイイのだ。
原作はフランク・ミラーのグラフィック・ノベル。「ドーン・オブ・ザ・デッド」で注目されたザック・スナイダー監督が、実写とバーチャル・バックグラウンドの合成による「シン・シティ」パターンで、ミラー独特の世界観を再現している。
あっちこっちで首が飛ぶわ、死体は山積みだわ、R指定のバイオレンス描写に嫌悪感を抱く人も多いと思う。だが、筋肉にモノを言わせるだけでなく、敵の意表を突く見事な戦略と、さく裂する“男の散り際の美学”、血沸き肉踊る映像に最後まで魅了される。そろそろたるんだ体を何とかしようと考えている人も必見!なぜなら、誇らしげに胸板を見せつけるマッチョな男どもに触発されるに違いないから。
監督・脚本:ザック・スナイダー/原作・製作総指揮:フランク・ミラー
出演:ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディー、デイビッド・ウェナム、ドミニク・ウェスト
配給:ワーナー・ブラザース
2007年6月9日よりサロンパス ルーブル丸の内ほか全国超拡大ロードショー
本山由樹子
ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。
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