新入社員は転職する?――「しないつもり」の学生を「する」と見る採用担当者

» 2007年03月29日 15時28分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 いよいよ4月から新入社員が職場に現れる。景気の回復や団塊世代の大量退出によって、大量採用を行った企業も少なくない。そんな新入社員たちだが、せっかく入社した会社から転職するつもりがあるのだろうか。

転職意識“調査”にギャップあり

 2007年新入社員のうち、「転職しないつもり」は56.4%――。こんな調査結果をソースネクストが発表した。4月に社会人になる2007年卒業の大学生1464サンプルを対象にしたもの。いずれも事前に登録したサンプルとなっており、調査は2月23日〜26日にインターネット上で行われた。

 「転職しないつもり」は2006年の前回調査では54.0%。今回調査では2.4ポイントの微増となった。一方で、「3年以内の転職を意識」も前回の9.7%から1.8%増の11.5%。ただし、「5年以内の転職を意識」は前回の24.9%から20.8%に、「入社前から転職を意識」も前回の10.4%から9.4%に減少。新入社員の側から見ると、総じて安定志向が強まったようだ。

 一方、2007年新入社員は、常によい待遇、よい仕事を求めて銘柄を乗り換えるように転職を目論む「デイトレーダー型」だと見るのは財団法人の社会経済生産性本部。景気の回復で学生側の売り手市場だった今年の新入社員は“安定株主”にはならないと分析する。「企業とともに成長しようとは考えておらず、むしろネット上の個人投資家に近い」という。「ネットを駆使した横のつながりで情報交換するのもいいが、一人前の働き手になるにはそれなりに時間がかかることを新入社員たちには忘れないでほしい」と苦言を呈した。

 社会経済生産性本部による新入社員のタイプ判定は毎年恒例。例えば、2006年の新入社員は「ブログ型」で、「表面は従順だが、さまざまな思いを内に秘め、時にインターネット上の日記を通じて大胆に自己主張する」のが特徴だという。

学生の「転職しない」を人事担当者は信じられない!?

 2つの調査結果が異なる内容になったのには理由がある。ソースネクストの調査が大学生を対象にしたものであったのに対して、社会経済生産性本部の発表は、上場企業を中心とした企業の採用担当者20数人や都内にある大学の就職課担当スタッフ数名に対する聞き取り調査をベースにしているからだ。つまり、新入社員は自分たちを安定志向だと意識しているが、企業の採用担当者は必ずしもそのようには見ていない――というわけである。

 社会経済生産性本部では、「すべての新入社員がデイトレーダー型に当てはまるわけではない」とした上で、新入社員のうち、3年以内に離職する割合が中卒で7割、高卒で5割、大学卒で3割に上るという、いわゆる「753現象」は「現在も続いている」という。いくら、学生が「転職はしないつもりです」と安定を望んでも、採用担当者としては「にわかに信じられない」というのが本音のようだ。

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