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Interview:

おサイフケータイでチケット&クーポン。その効果は――ディズニー・モバイル (1/4)

従来、おサイフケータイユーザーの中心は若い男性であり、成功した事例はほとんどが電子マネー関連のものというのが“常識”だった。しかしある実証実験では、若い女性がおサイフケータイを使って、チケットやクーポンを積極的に利用したという。
2007年03月14日 08時43分 更新

 おサイフケータイは「FeliCa決済」以外にも様々な用途で活用することができる。なかでも最近の注目は、電子チケットや電子クーポンだ。それは、3月6日から開催された「IC CARD WORLD 2007」の見どころの1つであったし、今年2月にはNTTドコモと日本マクドナルドホールディングスがおサイフケータイの電子クーポンを使ったe-マーケティングの共同推進を行うと発表している(2月26日の記事参照)。電子クーポンやチケットは、FeliCa関連ビジネスの中でも“熱い”分野のひとつだ。

 おサイフケータイを使った電子チケット/クーポンにはどれだけの効果があるのか。今日の時事日想は特別編として、昨年7月におサイフケータイ向け電子チケット/クーポン配信実証実験を行ったウォルト・ディズニー・ジャパンとフェリカネットワークスにインタビューを行った。

 おサイフケータイ向け電子クーポンの効果はどれくらい上がったのか、またどのような可能性を感じているのかなどについて、実証実験の結果と合わせながら聞いていく。

ay_disney01.jpg ウォルト・ディズニー・ジャパン、ウォルト・ディズニー・インターネットグループのバイス・プレジデント、鳥海 清氏

マーケティングの土壌としてのディズニー・モバイル

 ウォルト・ディズニー・ジャパンは、以前から積極的に携帯電話向けサービスへ取り組んできた。2000年8月にはドコモ向けのiモードサイト「ディズニー i」をオープン。その後、3キャリア展開を果たして、現在の「ディズニー・モバイル」に至っている。現在のディズニー・モバイル関連サイト数は約80サイト、会員数は約400万人超に上る。

 「(ディズニー・モバイルは)単一のエンタテイメントブランドとして、携帯電話向けのコンテンツ・サービスでは最大規模になるでしょう。むろん、総合的なエンターテイメントサイトならもっと会員数が多いところはあるのかもしれませんが、僕らはあくまで『ディズニー』しかやっていませんから。ディズニーブランドの下に約400万人のお客様に集まっていただいているのが現在の姿です」(ウォルト・ディズニー・ジャパンの鳥海 清氏)

 携帯電話向けコンテンツ市場の急成長期は、ディズニー・モバイルもコンテンツ販売で大きく伸びてきた。しかし、現在は携帯コンテンツ市場そのものの成熟もあり、「コンテンツ販売の成長は、ほぼ横ばいになってきた」(鳥海氏)のが現状である。

 「(コンテンツ市場の成熟で)コンテンツを出し続けるだけでなく、新たなビジネスを考えるフェーズになってきている。ここ数年では、同じディズニー内のビジネスユニット同士の連携が重視されています。例えば、映画やインターネット、パークといった別々のビジネスユニットが横のつながりを持ち、ディズニーブランドを強くしていく。これは、この数年のディズニーが(グループ全体で)力を入れている取り組みです。

 そのような流れの中で、ディズニー・モバイルはマーケティングツールとしての活用が期待されています。ほかのディズニーのビジネスに貢献し、ディズニーの価値を高めていくことですね。そのような役割の重要性が高まっているな、と実感しています」(鳥海氏)

 ディズニー・モバイルを“マーケティングの土壌”として捉えると、非常に恵まれた状況にある。先述のとおり会員数は約400万人と多く、解約率が低い。「平均契約期間は一般的なエンタテイメントコンテンツの倍近くあると思います。1年以上、契約し続ける方も10%以上いる」(鳥海氏)。このように、ロイヤリティの高い会員が多い。

 会員構成もディズニーブランドの影響を強く受けており、女性比率が約85%と大きい。さらに6割の会員が10代後半から20代で占められているという。

タッチパスの取り組み

 2006年7月、ディズニー・モバイルが取り組んだおサイフケータイ向けサービス「Disney’s Touch Pass」(以下「タッチパス」)は、新たなマーケティングの取り組みであり、ユーザー参加型の本格的な実証実験だった。

 ここで少し、タッチパスについて説明しよう。タッチパスは2006年7月から9月まで、東京・木場にある東京都現代美術館で開催された「ディズニー・アート展」に合わせて投入されたおサイフケータイ向けiCアプリだ。ディズニー・モバイルのiモード向けサイトからダウンロードできるようになっており、アプリをダウンロードして設定すると携帯が同美術展の電子チケットになるほか、館内でスタンプラリーや電子クーポンの利用ができるものだった。

ay_disney03.jpg

 「ディズニー・モバイルには400万人の会員がいて、皆さんディズニーが好きという特徴を持っています。ですから、ここ(ディズニー・モバイル)からイベント会場などリアルな場に送客する。さらにディズニー・アート展のようなイベント会場からイクスピアリや都内各所のディズニーストアといった具合に『リアル to リアル』で回遊させるという試みが、我々ならばできるのではないかという考えが以前からありました。

 その時、ちょうど普及し始めていたおサイフケータイに注目したのです。ディズニーは昔から『イノベイティブなことは他社に先駆けてやる』という社風がありまして、その意味でも、おサイフケータイ活用は我々にとってメリットがあると判断しました」(鳥海氏)

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[神尾寿,ITmedia]

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