連載
IC CARD WORLD 2007:
2007年はおサイフケータイがライフスタイルを変える年――フェリカネットワークスに聞く
携帯向けのモバイルFeliCaについて、ソリューションや各種サービスを手がけるフェリカネットワークス。おサイフケータイビジネスの主役である同社から見た2007年、そしてIC CARD WORLD 2007の見どころについて聞いた。
3月6日、東京ビッグサイトで第9回「IC CARD WORLD 2007」が始まった(3月7日の記事参照)。同展示会は非接触ICやRFID関連のイベントとしては最大規模のものであり、今年はFeliCa関連の展示を集めた特別企画「FeliCa World 2007」が過去最大の規模になるなど、注目のトピックスが盛りだくさんだ。
筆者は初日に行われたFeliCaワークショップに司会として参加し、その後は会場内の取材を行ったが、どこに行っても人だかりができており、FeliCaに対する関心の高さがうかがえた。今年のIC CARD WORLD 2007は3月9日まで開催されるが、直接FeliCaビジネスに関わる人だけでなく、多くのビジネスパーソンにとっても足を運ぶ価値のある展示会になっている。
今日の時事日想は趣向を変えて、会場内で行ったフェリカネットワークス河内聡一社長のミニインタビューをお届けする(本文中敬称略)。
フェリカネットワークス社長の河内聡一氏FeliCaが「面で広がる」手応え
――IC CARD WORLD2007がいよいよ始まりましたが、会場をご覧になってどのような感想を持たれましたか。
河内「(FeliCaが)とにかく盛り上がってきたな』というのが率直な感想ですね。また、これまでFeliCaビジネスは、サービスが使える場所を『点から線にする』と言ってきましたが、これが『面』になろうとしている。これを実感しました」
――ワークショップや展示ブースを見ても、もはや“FeliCaのサービスが普及するかどうか”といった議論をする段階ではなくなりましたね。
河内「面展開という点では(3月18日から始まる)PASMOが及ぼした波及効果が大きいと考えています。大手私鉄の対応で、流通系の動きが加速しています。ほかにも、マクドナルドやセブン&アイ、イオングループなどのFeliCa決済採用もインパクトがあります。生活の中でFeliCaを使う場所が面的に広がってきた。主婦の方が生活の中でFeliCa(決済などのサービス)を使うシーンが構築されてきている。FeliCaのサービスが生活動線の中で繋がってきた感じですね」
――今回のIC CARD WORLD2007ではFeliCaの展示エリアが広がってますね。FeliCa Worldがメインに見えてしまうほどです(笑)
河内「そうですね。今まで参加していなかったような会社がFeliCa Worldに出展されているのも特徴的です。プレーヤーの増加を感じます」
――確かに。来場者も変化していますね。これまでは“FeliCaに関わる人”がメインの展示会だったのが、今年は“FeliCaに興味がある人”が多く来ている。「最近、話題のFeliCaや電子マネーについて知りたい」といった来場者が増えている印象ですね。
重要なのは、おサイフケータイならではのサービス作り
――Suica、そしてPASMOを筆頭にFeliCaを使ったインフラ的なサービスが増えて、社会的な関心度が高まっているいますが、河内さんの立場でも環境の変化を感じることはありましたか。
河内「FeliCaやおサイフケータイに対するメディアの注目が集まっているのはもちろんですが、もっと一般的な視点での関心が高まっていると感じます。例えば、私の父親がおサイフケータイを使いたいと言い出したり、幹部の子どもが通う学校のPTAで(FeliCaを使った)グーパスの導入が話題になったり。ごく普通の人たちが、FeliCaを使ったサービスを使い始めたり、関心を持ってきている。それが、この1年間で起きた大きな変化だと感じています」
――フェリカネットワークスはFeliCaサービスの中でも、より高付加価値なおサイフケータイ(モバイルFeliCa)を担当しています。SuicaやPASMO、Edyなど、FeliCaのサービスは決済を軸に大きく広がってきていますが、おサイフケータイを取り巻く環境の変化をどのように捉えていますか。
河内「おそらく今春には、おサイフケータイの普及台数が3000万台になります。携帯電話全体の3割ですね。『おサイフケータイではない』ことが、携帯選びの際にデメリットだと考える人も増えてくるでしょう。
一方で、これから重要になるのは(おサイフケータイの)利用率向上ですね。これはおサイフケータイだから、モバイルFeliCaならではのメリットを強く打ち出していく必要があります。ここをしっかりやらないと、『(おサイフケータイではなく)FeliCaカードでいいじゃないか』という事になってしまう。様々な業種・業態に強いシステムインテグレーターと連携し、おサイフケータイならではのサービスを作っていく必要があります」
――ユーザー視点では、やはりケータイを使うからこそのサービスや利便性が欲しいですね。UIもまだまだ改良の余地がある。FeliCaカード以上のベネフィットがあり、FeliCaカード並みの手軽さ・使いやすさが構築できるかがポイントですね。
FeliCa World 2007の見どころは?
――IC CARD WORLD 2007は3月9日まで開催されますが、これから来場する方に今回の見どころを教えてください。
河内「1つの切り口としては、『ソリューションのパッケージ化』ですね。これまでのFeliCa導入事例は大規模でオーダーメイド的なものが多かったのですが、これからFeliCaやおサイフケータイをビジネス活用をする方の中には、比較的小規模で経済合理性を重視する方が増えると考えています。そういったニーズに向けた商品が増えています。
我々フェリカネットワークスでも、『電子チケット』、『金融向けATM』、『流通』向けに導入しやすいアプリケーションプラットホームの提案を展示しています。これらを活用していただければ、これまでより短期間かつ低コストで、おサイフケータイ活用のサービスが始められるというソリューションを用意しています。すでに何社の事業者には興味を持ってもらっています」
――おサイフケータイ対応は個々の企業で行うと負担が大きかったので、パッケージ商品が出てくると導入がしやすくなりますね。
河内「流通向けはすでにFeliCa導入事例が増えていますし、今後も増加します。特に今回(プロモーションに)力を入れているのは電子チケットと金融ATMですね。前者はすでに導入に向けた取り組みが始まっています。また、金融ATMは実現すればおサイフケータイがキャッシュカード代わりになりますし、携帯電話画面を金融商品の広告表示に使えますから、大々的にPRしていきたい」
フェリカネットワークスにとっての2007年
――FeliCa World 2007は大きく盛り上がっているわけですが、フェリカネットワークスにとって2007年はどういう年にしたいですか?
河内「今までは『おサイフケータイのユーザーをどう増やすか』というのが大きなミッションだったわけですが、その中で我々が重視したのが、『(おサイフケータイの)規模を拡大するだけでなく、ユーザーのライフスタイルを変えていく』というところでした。これはフェリカネットワークスの志といってもいい。
そこから2007年を考えると、いよいよそれが実現可能な段階になってきました。我々やパートナーの技術力、ノウハウが蓄積されましたし、FeliCa決済インフラの普及やアプリケーションプラットフォームの準備も整ってきた。いよいよ、おサイフケータイでライフスタイルを変えていく、そういった年に2007年はなっていくと考えています」
――FeliCaをベースにした土壌はできてきているので、ここでおサイフケータイがどのような花を咲かせるか。2007年は大変興味深い年になりそうです。本日はありがとうございました。
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[神尾寿,ITmedia]
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