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神尾寿の時事日想:

「ユーザーは本当にワンセグを見ているのか?」という問いに答えよう

ワンセグ対応機の普及が順調に進んでいるが、半面「本当にユーザーはワンセグを見ているのか?」とよく尋ねられる。しかし重要なのは実際にワンセグを見ているかどうかではなく“その先”だと筆者は考えている。
2007年03月01日 11時22分 更新

 KDDIがワンセグに対応したau端末の累計契約数が、2月23日時点で200万を突破したと発表した(2月28日の記事参照)。2月28日時点で同社から発売されているワンセグ端末は、全部で12機種に上る。auは昨年からワンセグ機能の搭載に力を入れており、今年の春商戦モデルは「ワンセグ」「大画面・高画質液晶」に重点を置いたラインアップを揃えている(1月16日の記事参照)。その効果が、早くも数字として現れたようだ。また、ソフトバンクモバイルでも昨年からシャープの「アクオスケータイ」シリーズが人気であり、ここにきてワンセグ機能の搭載は定着してきている(2006年11月の記事参照)。ワンセグ端末の投入で大きく出遅れたドコモも、ようやくワンセグ担当のラインアップを揃えてきており、「ワンセグブーム」はしばらく続きそうだ。

 ところで最近、多くの携帯電話業界関係者から「ユーザーはワンセグを本当に見ているのだろうか」と尋ねられることが多い。特にワンセグ対応に遅れたキャリアやメーカー関係者から質問されるのだが、その答えは「実際のワンセグ利用率はそれほど高くない。しかし、売り場では重要な訴求ポイントになる」だろう。

 実際、auのワンセグ端末の売れ方を見ていても、それがわかる。例えば、筆者は2月中旬に沖縄の取材をしたのだが、彼の地ではワンセグが入るのは那覇市中心部のみ。それでも「ワンセグ対応機が人気。順調に売れている」(沖縄セルラー)という。同様の事例は、ワンセグ受信可能エリアが未だ狭い全国の各地域で見られる現象だ。

 極論すれば、重要なのは“ワンセグ機能付き”であることで、実際に“ワンセグを見る”ことではない。ワンセグ対応機は液晶サイズが大きく、しかも高画質なので、これらをあわせた分かりやすいキャッチフレーズとしての“ワンセグ”が訴求力になっているのだと思う。

次の注目ポイントは「横向き」「大画面・高画質」液晶の活用

 このワンセグ対応の流れは、今後しばらく続きそうであり、付随的に大画面・高画質液晶の普及を促すだろう。液晶サイズの最低ラインが現在の2.4インチから、2.6インチ〜2.8インチにまで底上げされる可能性が高い。また、シャープのサイクロイド液晶に代表とされる「横向き」でも使える液晶搭載機が今後増えるはずだ。

 そうなると期待したいのは、これら液晶の進化に対応したサービスやコンテンツの拡充である。すぐに考えつくのはメール、オフィスドキュメントリーダー、フルブラウザでの活用だが、それ以外にもGPSナビゲーションやスケジューラ、ゲームなど応用範囲は広そうだ。さらにもっとベーシックな部分として、大画面化で広がるデスクトップを、分かりやすく使いやすいUIで活用する試みも重要になる。

 振り返れば、カメラ付き携帯電話が出始めた時も、一部のキャリアが「携帯電話カメラの利用率は低い、写真付きメールなんか使わない」と頑強に主張していたことがあった。しかし実際は、カメラ付き携帯電話は急速に普及し、そこで重要だったのは「実際に使うかどうかではなく、カメラが付いていること」だった。その後、カメラはQRコードの読み取りなど多方面で利用されることになり、携帯電話の可能性を広げた。

 ワンセグも、カメラと同じく新たなデバイスの普及・進化を促し、携帯電話の可能性を広げる「入り口」になる。ワンセグ端末の普及を睨み、そこで底上げされる機能を活用した新たなサービスやコンテンツが登場することに期待したい。

[神尾寿,ITmedia]

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