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“SIMロック解除”で安くもならないし便利にもならない──ドコモの中村社長

影響の大きさを考えてから議論を進めたい――NTTドコモの中村維夫社長が、決算発表の会見でSIMロック解除やインティブモデルの廃止議論に対する考えを述べた。
2007年02月02日 23時59分 更新

 NTTドコモの中村維夫社長は、1月31日の決算発表の会見において、SIMロック解除やインセンティブモデルの廃止議論に対する考えを述べた。

 中村社長はSIMロック解除の是非を問う前に、現在の日本の携帯電話市場を正しく捉える必要があるとし、「非常に複雑で、多岐に渡り大きな影響が出る問題と認識したうえで、こうした議論をしていきたい」とコメントした。

“SIMロック解除”で安くもならないし便利にもならない

photo NTTドコモ 代表取締役社長 中村維夫氏

 日本の携帯電話サービスは、携帯電話回線というインフラを提供する企業が、ハードウェアである端末や、アプリケーションである音声通話以外のサービスも提供している。SIMロックでこれらを関連づけることで、確実性のある月額料金からコストを補い、効率的に新端末や新サービスの普及を後押ししてきたという側面がある。

 現状のままSIMロックを解除した場合、端末と契約回線およびサービスとの関連付けができなくなるため、Eメールの送受信やiモードなどのパケット通信といった、今や基本となったサービスが利用できなくなる。

 「その場合、音声通話とSMSのみの端末しか提供できず、これまでのようなサービスを提供することはできない。(ドコモ端末にソフトバンクのSIMを入れても)iモードボタンからYahoo!ケータイにアクセスできるわけではない」(中村社長)と、SIMロックを解除しても不便になることが多く、これまでのニーズに答えられるわけではないと話した。

 また、「SIMロックを解除するのであれば、(インセンティブモデルも廃止し)正価に近い価格で販売するか、期間拘束のある回線契約を行わないと、経営が成り立たず競争にならない」(中村社長)と、必ずしもユーザーの利益になるわけではないという考えも示した。

 さらに、使用する通信方式の違いにも触れ、「W-CDMAを採用するNTTドコモとソフトバンクモバイル、3月に新規参入するイー・モバイルでは通話とSMSに関しては互換性があるが、CDMA2000を採用するキャリアはKDDI(au)しか存在しない。こうしたau端末でSIMロックを解除する意味とは何か。また、競争条件が著しく変わってくるが、この点をどう考えるのか」(中村社長)と、不平等競争をもたらす可能性についても指摘した。

 加えて、インセンティブモデルの廃止により端末の価格が上がると、買い換え需要が低下し携帯電話市場が縮小することから、「日本で11社ある携帯メーカーがどのような影響を受けるのか。また、販売代理店に与える影響はどれくらいかを考慮しないといけない。その結果、日本の国際競争力がどうなるのか。SIMロック解除やインセンティブの廃止が、経済全体にどのよう循環していくのか、よくよく見極める必要がある」(中村社長)と訴えた。

“在庫は1000万台もありません”

photo

 2006年度の第3四半期で解約率が0.93%に上昇したドコモだが(1月31日の記事参照)、番号ポータビリティ制度開始の影響は予想よりも小さかったと説明。「この時期の解約率は、番号ポータビリティの影響から1%と見込んでいた。それに近いが下回る数字となり、我々の予測通りMNPは静かなスタートを切ったと言える」(中村社長)

 番号ポータビリティについて中村社長は、加入者がキャリアを移動するだけのことであり、長期戦にはなるがその効果は次第に薄れると解析。これといった特効薬が見あたらないため、この春商戦ではMNP対策と言えるような施策は打たないと言明した。

 また、一部で報道されている「1000万台の不良在庫」という情報について、「在庫は1000万台もありません。そんなに持ってないです」(中村社長)と全面否定した。12月末段階の在庫は約350万台で、1カ月半の販売量になるという。

 同日発表されたFOMAによる64Kbpsの定額サービス(1月31日の記事参照)は、年内の終了を予定している同社PHSサービスの代替であり、PHSユーザーのための救済措置であるとした。また、FOMAによるPC接続のサービスの拡充ついては、HSDPAエリアや端末の普及を踏まえ、これからの計画になるとコメント。

 そのHSDPAの高速化(2005年3月の記事参照)については、できるだけ早く開始するための準備を進めているとし、2008年3月末までに、7.2Mbpsへ増速する考えであることを明らかにした。

 また、新端末の発表から発売までの期間が長くなる傾向にあるが、「本来であればもう少し余裕のある発表をしたいが、競争上、開発発表を前倒ししている。開発スケジュールについては、早まることも無いが、当初の予定より遅れていくことも少ない」と、あくまで“開発発表”であるという考えを示した。

[平賀洋一,ITmedia]

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