誠

プリンタ用表示
連載

Interview:

SIMロックフリーの「E61」で、日本の法人市場に風穴を開けたい──ノキアに聞く法人戦略 (1/2)

ノキア・ジャパンがSIMロックフリーの法人向け端末「E61」を日本市場に投入した。キャリアブランドの端末が主流の日本市場において、ノキア・ジャパンはどんなユーザー層を開拓しようとしているのか。2人のキーパーソンに聞いた。
2007年01月15日 13時43分 更新

 海外のビジネスパーソンに人気のアイテムといえば、高機能なスマートフォンだ。特に欧米のホワイトカラーの間ではビジネスの必須ツールになってきており、企業として導入・活用するケースが増えている。

 翻って日本市場を見渡すと、2006年はシャープのPHS「W-ZERO3」を筆頭に、多くのスマートフォンが注目された年であった。日本はホワイトカラーのスマートフォン活用が海外に比べてやや出遅れたが、その芽は確かに顔を見せ始めている。

 そのような中で2006年12月、ノキア・ジャパンがスマートフォン「E61」をSIMロックフリーで発売した。ノキアのEシリーズはビジネス市場向けと位置づけられており(2006年12月の記事参照)、欧米で人気の“本場のスマートフォン”である。さらにE61は北米市場で特に人気のあるQWERTYキーボードを備えている。

 今日の時事日想は特別編として、ノキア・ジャパン カントリージェネラルマネージャー エンタープライズソリューション事業部の森本昌夫氏と、同テクノロジーマーケティング プロダクトマーケティング部マネージャーの大塚孝之氏にインタビュー。ノキアのEシリーズをはじめとする、ビジネス向けスマートフォンの展望について聞いた。

sa_ne03.jpgPhoto GSM/W-CDMAネットワークに対応する「E61」。国内ではドコモやソフトバンクモバイルのUSIMカードを差して利用できる

「ビジネス向け」の取り組みが昇華したスマートフォン

Photo ノキア・ジャパン エンタープライズ・ソリューション事業部テクノロジーマーケティング プロダクトマーケティング部マネージャーの大塚孝之氏

 ノキアはこの10年、携帯電話の1分野として“ビジネス向け端末”の開発に取り組んできた。

 「昔のビジネス向けコミュニケーターは、モバイルで『FAXが送受信できること』が重要でした。それがこの10年で(ビジネスの世界でも)インターネットが一般的なものになり、いかに『モバイルでインターネットが使えるか』が重要になってきました」(大塚氏)

 それはすなわち、モバイルコンピューティングの歴史そのものでもある。この分野ではモバイルノートPCにデータカードを組み合わせて使うというソリューションもあるが、ノキアはあくまで“モバイルでの使いやすさ”の視点から、サービスと一体化した端末を重視してきた。その流れの中にあるのが、ビジネス/エンタープライズ向けのスマートフォンであるEシリーズだ。

 「かつてのモバイルコミュニケーターの利用者は、エグゼクティブの方々でした。時間を有効に使い、ビジネスの判断をしなければならない人たちがメインユーザーだった。しかし、現代のようにビジネスにおいてEメールなどメッセージングが重要になると、多くのビジネスパーソンが情報武装しなければならない。そこで(裾野の広い)ターゲットを狙うのが、E61を筆頭とするEシリーズ各機種になります」(大塚氏)

 当初はエグゼクティブ向けだったものが、時代の変化と情報ニーズの高まりによって洗練され、また多くの人にとって使いやすくなった。ノキアは、このスマートフォンの系譜に常に関わり、積極的に推進している。

 「現在の(ノキアの)事業全体でいうと、モバイルエンタープライズ関連の規模は10%ほどですが、今後はビジネスとプライベートで(携帯電話の)2台持ち市場が広がると考えています。(ノキアとしても)力を入れている分野です」(大塚氏)

なぜ「スタンダードモデル」として発売したのか

Photo ノキア・ジャパン エンタープライズ・ソリューション事業部の森本昌夫氏

 周知のとおり、日本の携帯電話はSIMロックが施された状態で、キャリアブランドで発売されるのが一般的だ。端末メーカーは広告やマーケティングに関わることはあるが、メーカー自身が製品を販売チャネルに乗せるという手法が取られることはほとんどない。

 しかし、ノキアジャパンは、E61をSIMロックフリーのスタンダードモデルとして発売。キャリアから距離を置く形で日本市場に投入した。

 「日本はキャリアドリブンの市場で、端末の企画や流通も含めて垂直統合的なモデルになっています。コンシューマー分野ではキャリアが市場をコントロールする構図になっているのですが、エンタープライズ市場に目を向けると、その牽引はITビジネスのような水平分業型にならざるを得ないのではないか、と考えています。

 ビジネス市場のニーズは多様ですから、ひとつの会社がすべてのアプリケーションやサービスを開発・提供するのは難しい。企業向けとして考えると、PC(の役割の一部)がスマートフォンに代わるような位置づけになる、と見ることができます」(森本氏)

       1|2 次のページへ

[神尾寿,ITmedia]

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.