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2006年の携帯業界を振り返る(3):

番号ポータビリティーがもたらしたもの──3キャリアはどうなる? (1/4)

通信ジャーナリストの神尾寿氏とケータイジャーナリスト石川温氏を迎え、2006年の携帯業界を振り返る年末特別企画。第3回のテーマは「番号ポータビリティ(MNP)」。MNPの雑感に始まり、ソフトバンク騒動やドコモの純減、auの一人勝ちを振り返りながら、キャリアの問題点や来年の課題などを言いまくる。
2006年12月30日 23時58分 更新

MNPより多い新規加入者──ソフトバンク騒動とドコモの純減

ITmedia 今年は「番号ポータビリティ」(MNP)が始まった年でした。春先から常に話題に上り、前回までで見てきたように端末は大量にリリースされ(関連記事1関連記事2)、11月にはドコモが初の純減を記録しました。また、草刈り場になるといわれていたボーダフォンはソフトバンクに買収され、10月23日には「予想外割」などの新機軸を打ち出して11月も大幅増ではないものの純増を維持(2006年12月の記事参照)。ただ、ソフトバンクモバイルが打ち出した新料金プランはわかりにくい部分もあって、販売の現場では混乱を来しています。このMNPを巡る状況を、どうご覧になりましたか?

石川 予想外に新規契約者数が多いな、と思いました。電話番号が変わってもいい人が、案外多いのかなと感じました。

ITmedia 確かに、MNPによるポートイン(他社からの転入)よりも新規契約の方が多いですね。

神尾 端末の新規購入価格が下がったことの方が追い風になっているんですよ。先日話したKDDIの人は、「MNPを使わずに、元のキャリアを解約してウチに来てくれる人が結構いる」と言っていました。端末価格が(キャリア変更の)ハードルの1つということがよく分かります。あと、キャンペーンも色々やりましたしね。

石川 それは非常に感じましたね。確かに端末がいっぱい増えて盛り上がったけれど、MNPを利用しているかというと、そうでもないのがちょっと意外でした。

神尾 ちなみにソフトバンクは東京と福岡だけ増えているんですよね。不思議な増え方ですね(苦笑)

ITmedia ドコモの純減は予想していましたか?

石川 はい。たぶんドコモが純減しないことには総務省も顔も立たず、導入するからには減ってもらわないと困るという感じですよね。だからドコモとしても、ある程度は計算済みのような気がします。シェアが本当に50%を切るようになってしまうとマズイでしょうけど、多少減る分には仕方ないと思っているんじゃないでしょうか。まあ、減ったといっても約5200万のうちの2万弱くらいですから微々たるものですよ。ただ、ソフトバンクモバイルが、プリペイド契約の数を明らかにしていないので、本当の状況が見えてこない。この仕事をやっている人間として、もうちょっと情報を公開してほしいな、という気はします。

ITmedia プリペイドケータイは、電話番号の有効期間が360日あるので、実際には使われていないものも数に入れられている、という話はよく聞きますね。

石川 ソフトバンクとしては体裁が整っていると思っているかもしれないですが。見た目は増えているようで、でも、本当のARPUはこれからどんどん下がっていくのではないか、という気がしています。

ITmedia 「端末の3G化が進めばARPUは上がる」と孫社長は話していましたが。

石川 そのうち3Gでもプリペイドを出すんじゃないかと思っちゃいますよ。

ITmedia 「ゴールドプラン」は大きな話題になりましたね。大創業祭キャンペーンで、基本料金7割引で契約できるになるのが1月15日までなので、16日以降どうするのかにも注目です。ただ、12月21日からは新スーパーボーナスなし/2G端末でもゴールドプランに加入可能にして、継続割引や家族割引に未加入の場合は、月額基本使用料の割引がなくなることになったので、ゴールドプランの本来の基本料金である9600円で契約するパターンもできました。実際それで契約する人はあまりいないと思いますが、7割引後の2880円が“見せかけ”の数字ではなくなったわけですね。そんな状況なので、16日からまた別なキャンペーンをするのかな、という気もします。そのほかにも、ソフトバンクは色々と物議をかもしました。

神尾 携帯電話業界に世間の注目を集めたという点では、私は評価しています。おかげさまで、石川さんも私もメディアに引っ張りだこでしたからね。

石川 そうですね(笑)。ホントあれは孫さんに感謝しないと。

神尾 この業界が注目されることは悪くないことです。また、MNPを使うにせよ新規契約にせよ、自分の料金プランをちょっと見直してみようだとか、自分は今の契約でいいのかな、と考えてみるきっかけは作ってくれましたよね。そこは評価しています。ただその手法が良いか悪いかは別ですけど。

石川 そうですね。ただ他社が追随しなかったので、ソフトバンクが1人で踊っていた感じにしかならなかった。そこが非常に残念だと思います。やっぱり競争が起きるくらいじゃないと盛り上がリに欠けますし、ユーザーのためにもなりませんからね。

ITmedia ユーザーが意外と冷静だったということもありますね。他キャリアでの契約期間を引き継げます、などとぶち上げたわりには、ソフトバンクには先ほど神尾さんがおっしゃった「不思議な増加」しかなかった。やはりユーザーの多くは3月くらいまで様子見なんでしょうか。

神尾 様子見でしょうね。年末商戦でどれくらい動くか、3月がどれくらい動くかでしょうね。また、auがどれだけ伸びるかというのと、ドコモがどれだけFOMAへシフトするかというのも注目かなと思っています。

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[聞き手:房野麻子,ITmedia]

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