連載
神尾寿の時事日想:
auシステム障害もこれが原因? 年末商戦で注目の「機種変更」需要
MNPの転出入、年末商戦の前哨戦が原因で、システム障害が発生、KDDIは一時、関連業務を停止した。年末商戦では、3キャリアはどこも自社ユーザー機種変更を進め、転出を抑制しなくてはならない。
12月17日、KDDIがシステム障害のためモバイル番号ポータビリティ(MNP)関連の業務を一時停止した(12月18日の記事参照)。システム障害に対するKDDIの対策は素早く、17日午後の障害発生から一夜明けた18日には通常業務に復帰。「システム全体の処理能力不足ではなく、過負荷分散の設定ミスが原因。すでに負荷分散の調整済みなので、今後は心配ないと考えている」(KDDI広報部)という。
一方、今回のシステム障害が発生した背景事情について聞いたところ、その原因はMNPの転出入に伴う処理増加だけではないようだ。むしろ、「新規契約と機種変更がかつてないほど多く、その影響が大きかった」(KDDI広報部)という。auはMNP開始のタイミングに合わせて、端末やサービスのラインアップを戦略性を持って投入。この年末商戦では豊富かつ魅力的な商品群と、発売後の値下がりを織り込んで競争力のある店頭価格を両立させた。その結果、純粋な新規契約はもちろん、au内での機種変更が特に増加したようだ。機種変更の需要が想定以上に高いということは既存ユーザーの転出抑止が計れているということであり、この“守りの力が強い”ことが、現在のauが有利な要因の1つになっている。
ドコモも機種変更促進で転出を抑止
この年末商戦で機種変更の増加が見込まれるのはドコモも同じである。特にドコモはauの攻勢を受ける立場であり、そこで狙われているのはmovaとプラスエリア非対応の旧FOMAを使うユーザーだ。エリアやサービス、端末機能などでauに見劣りしていた部分を打ち消し、MNPによる転出を抑止するには、既存ユーザーを現行モデル、特に最新の903iシリーズに機種変更させることが即効性があり効果的だ。すでに一部地域では903iシリーズの価格が新規だけでなく機種変更でも値下がりしているが、この傾向は年末商戦の山場に向かってさらに進むだろう。ドコモが本気で痛みを伴う“MNP対策”に乗り出せば、ドコモ向け端末市場でも機種変更需要の大幅な増加が起きるだろう。
一方、ソフトバンクモバイルに目を向ければ、同社もドコモと同じくMNPによる転出抑制を図る必要がある。新規契約獲得に向けて「0円」を乱発する派手なプロモーションに公正取引委員会から物言いがついたこともあり、新規契約の獲得には引き続き力を入れつつも、既存ユーザーの囲い込みと転出抑制に繋がる新端末への機種変更促進に今後は力が入るだろう。
この年末商戦では、各キャリアでMNPの転出入がどれだけ起こるかが注目されている。しかし、MNPによる競争の山場が春商戦であることを鑑みると、この年末商戦でのもう1つの注目ポイントは「各キャリアの機種変更利用」の結果だ。なぜなら、ここで最新モデルに機種変更したユーザーは来年の春商戦でMNPを利用する可能性が低くなり、各キャリア内での機種変更の促進は「砦を築く」効果があるからだ。特にドコモが既存ユーザーの“903iシフト”をどれだけ進められるかは、春商戦でのシェア変動に与える影響が少なくない。これから始まるクリスマス、年末年始の店頭動向から目が離せそうにない。
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