連載
神尾寿の時事日想:
“普通の人”向けノキア「705NK」に、海外ケータイの質的変化を感じた
これまでの海外メーカー製端末は、PC連携をウリにした“スマートフォン”や、初心者向けエントリーモデルが中心で、日本市場で一般的に受け入れられるモデルがほとんどなかった。しかしその状態も、徐々に変わり始めている。
11月30日、ノキア・ジャパンは都内で記者説明会を行い、ソフトバンク向け3G端末「705NK」(Nokia N73)の新色であるメタリックレッドを発表するとともに、705NKのコンセプト紹介や実機を使ったデモンストレーションを行った(11月30日の記事参照)。
筆者もこの説明会に参加したのだが、705NKについてのプレゼンテーション、そして実機のテストを通じて感じたのが“日本市場における海外ケータイの質的な変化”だ。
ノキアを始め、海外メーカーはこれまでも日本市場への進出に意欲を見せていた。特に日本市場が3Gに移行してからは、欧州のノキア、北米のモトローラ、韓国のサムスンやPantech&Curitelなどが相次いで端末を投入している。いずれも日本市場でプレゼンスを向上させ、いずれは鎖国状態の日本市場を“開国”させようと力を注いでいる。
705NKは、“普通の人”向けのノキア
これまで日本市場に投入された海外メーカー製端末を振り返ると、欧米のホワイトカラー向けスマートフォンか、基本機能を重視したエントリーモデルばかり。コンシューマー層のニーズがハイエンド寄りで、しかもキャリア主導型のコンテンツ市場が発達した日本市場の特性にはあまり合致していなかった。
例えばノキアの日本市場向け端末ラインアップを見ても、よくも悪くも“通好み”の品揃えであることがわかる。ドコモ向けの「FOMA NM850iG」(3月17日の記事参照)、ソフトバンクモバイル向けの「702NK II」(2005年9月の記事参照)は、充実したPC連携と海外ローミング機能が最大の魅力だが、それらを重視するユーザーは日本では少数派だ。スペックで見れば、日本市場のニーズに応えるには欧米市場のハイエンドモデルになるのだろうが、その“ハイエンド”が向く方向性とそれを求めるユーザー層が、日本と欧米市場では違う。ここに海外メーカーと日本市場の乖離があった。
しかし今回の705NKを試してみて、明らかにノキアの日本向けラインアップの魅力が“底上げ”されたと感じた。Nokia Nシリーズに位置づけられる今回の新端末は、欧米でもコンシューマー層向けのハイエンドモデルに位置づけられている。そのため日本市場の一般ユーザーと、コンセプト面での乖離が少ない。
Nokia Nシリーズから日本市場に投入されたモデルとしては、すでに総合力を重視した「804NK」(Nokia N71、5月19日の記事参照)が存在するが、705NKは「カメラ」にこだわり抜いた分、よりコンセプトが伝わりやすいのも強みだ。おサイフケータイなど日本のローカル的なサービスは実装していないものの、カメラ機能やデザインを重視する“日本の普通のユーザー”にも魅力的な端末に仕上がっている。実際、記者懇親会に参加した女性誌や一般誌の記者にも好評だった。販売店でノキアや705NKの魅力やコンセプトがしっかりと訴求されれば、海外ケータイのこれまでのイメージを変えることができるかもしれない。
魅力が増した今年後半の海外メーカー製モデル
実はノキアの705NKに限らず、今年後半の海外メーカー製端末には感心させられることが多かった。例えばドコモ向けに投入されるモトローラの「M702iS」「M702iG」(7月4日の記事参照)や、ソフトバンクモバイル向けにラインアップされた一連のサムスン製端末(11月20日の記事参照)などは、“スリム”という切り口で日本市場でも十分に成立する商品力を得ている。総合的なハイエンドモデルでは未だ日本メーカーに分があるが、基本機能にプラスした個性という点では、海外メーカー製端末の競争力は確実に上がってきた。
今後、異業種から新たな海外のプレーヤーが日本上陸をする可能性も考えられる。彼らが“ケータイ鎖国ニッポン”にどのような変化を促すか。来年はさらに注目である。
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[神尾寿,ITmedia]
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