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神尾寿の時事日想:

じわじわ広がる“iDの環”。ドコモが取るべき次の一手は?

DCMX/DCMX miniが100万契約を突破、また提携カードも増え、“iD”は順調に成長を続けている。次の課題は、ユーザーの利用を促進し、利用率を上げることだ。
2006年11月24日 16時46分 更新

 11月14日、NTTドコモが、おサイフケータイ向けクレジットサービス「DCMX」「DCMX mini」の契約数が11月12日の段階で100万契約を突破したと発表した(11月14日の記事参照)。DCMX / DCMX miniは約半年あまりで100万契約を達成したことになる。これは他のFeliCaクレジット決済はもとより、新興のクレジットカードビジネスとして見ても驚くべき速度だ。最後発のイシュアとして十分以上の急成長と言えるだろう。

 DCMX / DCMX miniの急成長ぶりには目が奪われるが、他のイシュアにおける“iDの環”も広がり始めている。

 11月20日、全日本空輸と三井住友カードが両社が提携して発行する「ANA VISAカード/MasterCard」会員向けに、12月1日からiDのサービスを開始すると発表(11月20日の記事参照)。また同じく11月20日には、NTTドコモとみずほ銀行、クレディセゾンが、みずほマイレージクラブ会員に発行するクレジットカード「みずほマイレージクラブカード」向けにiDサービスを開始した(11月20日の記事参照)。クレディセゾンは今後、自ら発行するほかのセゾンカード、UCカードを持っているユーザーにもiDサービスの提供を順次開始していく模様だ。

 さらに11月21日には、NTTドコモとオリエントコーポレーションがiDの共同推進に関する業務提携、および携帯を活用した新たなサービス提供の共同検討について合意したことを発表。2007年春を目処にiD対応を開始するという(11月21日の記事参照)

 このようにiDを取り巻く環境は、ドコモのDCMX / DCMX miniを求心力として、次第に強固なものへとまとまってきている。

iDならではの「+α」に期待

 iDを採用するイシュアと利用者数は順調に増えている。この事実が、iDの加盟店増加の追い風になるのは間違いない。これから来年にかけて、iDを採用する事業者は増えるだろう。iDはドコモ自身がイシュアになって後押ししたことが奏功し、好循環のサイクルが回り始めている。

 しかし、その一方で、今後は iDの利用率向上が重要になるだろう。これはiDだけに限らないが、いくらユーザーがいても、FeliCa決済は「使われなければ意味がない」のだ。

 FeliCa決済の利用率向上・利用促進では、この分野で先行したビットワレットのEdyが、全日空のANAマイレージクラブ(AMC)とともに「マイル連携」を推進することで成功モデルを築いている。クレジットカードには以前から各種ポイントサービスがあったが、サービスの目新しさや分かりやすさ、応用例の多さで、Edy=マイル連携が普及と利用促進に一役買ったのは事実だろう。

 翻ってiDを見てみると、従来通りクレジットカードのポイントサービスは利用できるが、Edyマイルに比べると、分かりやすさや目新しさで少し見劣りする。FeliCaクレジットの成り立ちが「クレジットカードを少額市場にも広げる」ことである以上、ポイントプログラムがクレジットカードと同じなのは正しいのかもしれないが、積極的にiDを使いたくなるよう、“ユーザーの背中を押す”仕掛けが欲しいとも感じる。FeliCaクレジットが新しいサービスである以上、特典の部分でも目新しさや従来のクレジットカードとの違いがあってもいいのではないだろうか。

 特にドコモには、ドコモポイントが貯まるだけで未だ「DCMXらしさ」が見えてこないDCMX / DCMX miniのサービス拡充が必要だ。今のDCMXは「ドコモカード」では実現しているドコモプレミアクラブのステージアップサービスがなく、かといってDCMX独自のポイントメリットも感じられず、特典の部分では中途半端な感が否めない。ユーザー獲得でiDの中核になっているからこそ、ドコモプレミアクラブ連携やトルカ活用などで、おサイフケータイでiDを使うメリットを、分かりやすい形でユーザーに提供すべきだろう。

 順調に成長の環を広げるiDは、FeliCaクレジット分野の牽引役といってよい存在になっている。おサイフケータイやFeliCaクレジットの利用を促進をするためにも、iDならではのメリットや特典拡大に期待したい。

[神尾寿,ITmedia]

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