Samsung Electronicsはこの日、バスの中でWiBroを体験できる「WiBroバス」を用意した。WiBroといえば最低時速60キロでの移動中でも高速インターネットができるのが特徴。その実力を確かめるべく、バスに乗り込んでみた。
残念ながらバスは、道路事情のため常にスピードをあげて走ることはできず、加速と減速を繰り返しながら15分ほど走行した。しかしこの間、WiBro通信は一度も途切れることはなかった。高画質な動画ではやや荒さが感じられたが、通常のWebページなどは難なく読み込め、リンクをクリックしてからのページアクセスもスムーズだった。
このデモで利用したWiBro網は、特別に準備したものではなく、KTによる商用ネットワークだった。これまでWiBroはソウル市内の限られた地域でしか利用できず、エリアの狭さを感じることが多かった。今回のWiBroバスルートは、サービスを拡大したエリアで、急速なWiBro網の広がりを実感できた。
SPH-P9000と並び、2007年初めごろに発売予定の端末「SPH-M8100」も展示された。このPDA型端末は、WiBroでの通信機能を利用してVoIP/ビデオチャット/インスタントメッセンジャーなどのサービスを利用できる。
画面はQVGA(320×240ピクセル)対応の2.8インチ液晶で、アウトカメラに200万画素、ビデオチャット用のインカメラに30万画素のカメラを搭載している。地上波DMBの視聴も可能だ。OSはWindows Mobile 5.0 Pocket PCを採用した。
モバイルWiMAX Summitでは、KTやKDDI、Sprint Nextel、TI(Italia Telecom)などの代表による、モバイルWiMAX戦略の紹介やディスカッション、米Yankee Groupからの市場展望の発表など、さまざまなカンファレンスが行われた。
Yankee Groupが予想するモバイルWiMAX市場は2010年で1900万人、2011年に2770万人規模。商用サービスの開始が早まれば、2010年中にも2770万人の達成が可能だという。
また、2011年の段階でアジア・アジア太平洋地域における加入者を810万人と予測。北米では780万人、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域では890万人に達するとしている。端末の普及台数は3200万台となる見込みだ。
この数字を実現するには、当然世界各国での商用化が大前提となる。2006年11月現在で、Samsung Electronicsと提携しすでにモバイルWiMAX事業を行っている、または行う予定の企業は世界22カ国33キャリアに上っているという。うち、商用サービスを確定しているのは4カ国5キャリア、試験サービスを行っているのは6カ国6キャリア、MOUを締結したのは5カ国6キャリアだ。
Samsung Electronics社長のイ・キテ氏は、「WiBroはこれまで、ソウルの一部地域でしか利用できなかった。そのためユーザーに不便を強いていたが、今後は急速に拡大していく。来年初めには注目の端末が出る予定であり、世界への普及もそう長くはかからないだろう」と述べた。
Samsung Electronicsを中心に、世界的な企業が商用化に動いているモバイルWiMAX。ここに来て大きな展開を見せており、今後も注目の規格だといえる。
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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